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「日本に電柱は何本ある?」地頭力を鍛える思考法「フェルミ推定」に挑戦しよう

結論:答えの分からない問題に直面した時、思考停止するのではなく「仮説を立てて概算する力」があなたの武器になります。

理由:この「フェルミ推定」という思考法を鍛えることで、未知の問題を分解し、論理的に答えに近づく「地頭力」が飛躍的に向上するからです。

今回は、コンサルの面接でも使われるこの思考トレーニングの面白さと、今日からできる実践方法をご紹介します。


こんにちは、文翔です。

会議で突然「この新サービスの市場規模って、ざっくりどれくらい?」と聞かれた時、あなたならどうしますか? 私はかつて、思考がフリーズし、「えーっと…調べてみます」と答えるのが精一杯でした。

まるで、広大な砂漠の真ん中で「オアシスはどっちだ?」と聞かれ、コンパスも地図も持たずに立ち尽くす冒険者のよう。

この「未知の問題」という砂漠で、自分だけの力でオアシスの方向を見つけ出すための思考のコンパス、それが「フェルミ推定」です。

この思考法の名前の由来となったのが、天才物理学者エンリコ・フェルミです。

提唱者について

エンリコ・フェルミ(Enrico Fermi)/1901年 1954年
出典:Nobel Prize Outreach

彼はイタリア出身の物理学者で、その業績から「原子力の父」とも呼ばれます。1938年にはノーベル物理学賞を受賞しました。

フェルミは、実験物理学と理論物理学の両方で卓越した才能を発揮しましたが、同時に、ごくわずかな情報から、驚くほど正確な数値を概算する能力でも有名でした。

有名な逸話として、人類初の核実験の際、爆風が到達する瞬間に紙切れを落とし、その紙が流された距離から爆発のエネルギー量(TNT換算で1万トン)を即座に算出した話があります。

これは、後に詳細な分析で得られた値(2万トン)に非常に近いものでした。彼のこの驚異的な概算能力が、「フェルミ推定」という名の由来となったのです。

 「正解」よりも「プロセス」が重要


フェルミ推定の核心は、最終的な数値の正確さそのものよりも、そこにたどり着くまでの「論理的な思考プロセス」にあります。

「シカゴにピアノ調律師は何人いるか?」という古典的なお題に対して、誰も正確な答えなど知りません。

重要なのは、答えを導き出すために、どのような仮説を立て、どのような要素に分解し、それらをどう積み上げていくか、という思考の「型」です。

これは、答えそのものを知っていること(知識)よりも、答えの出し方を知っていること(知恵)の方が、はるかに価値があるということを示しています。

未知の敵と遭遇した時、その敵の弱点を知っていることよりも、どんな敵の弱点でも見つけ出せる分析能力の方が、サバイバルでは役に立つのです。

フェルミ推定が、大きな問題を論理的に分解し、仮説を積み上げて答えを導き出す思考プロセスです

 「仮説力」があなたの解像度を上げる


フェルミ推定をトレーニングすると、物事を「構造化」して捉える癖がつきます。

例えば、「日本の電柱の数」を考える時、いきなり答えを出すのではなく、「①日本の面積は?」「②人が住める場所の割合は?」「③電柱の密度は都市部と地方でどう違う?」といったように、問題を構成する要素に分解していきます。

そして、それぞれの要素について、「おそらくこうだろう」という仮説(仮の数字)を置いて計算を進める。

このプロセスを繰り返すことで、漠然としていた問題の解像度が上がり、どこが重要な変数(ボトルネック)なのかが見えてくるのです。

それでは、この地頭力を鍛える思考法を、実際に体験してみましょう。

 ステップ1:お題を「要素」に分解する

まずは、お題を計算可能な小さな要素に分解する「構造化」から始めます。

例題:「日本全国にあるポストの数は?」

これを、以下のように分解してみます。

(ポストの数) = (A:郵便局にあるポストの数) + (B:街中にあるポストの数)

さらに、Bを分解します。

(B) = (C:コンビニ店内にあるポストの数) + (D:それ以外の街中ポストの数)

このように、自分が計算できそうなレベルまで、問題を細かく切り分けていきます。

 ステップ2:それぞれの要素に「仮説」を置く


次に、分解した各要素について、自分の知識や常識を元に「仮の数字(仮説)」を置いていきます。

   項目A:郵便局の数は全国で約24,000局。局内と局外に1つずつあるとして、

24,000 × 2 = 48,000本

   項目C:コンビニ大手3社の店舗数は合計約50,000店。そのうち2割が店内にポストを設置していると仮定すると、

50,000 × 0.2 = 10,000本

   項目D:これは難しい。人口ベースで考えてみよう。日本の人口は約1億2千万人。仮に、2,000人に1本の割合で街中ポストがあると仮定すると、

120,000,000 ÷ 2,000 = 60,000本

この「2,000人に1本」のような、一見根拠のない数字を、えいやっ!と置く勇気が重要です。

分解した要素に仮説の数値を置き、
論理モデルを組み立てて計算を進める

 ステップ3:計算し、結論を出す

最後に、立てた仮説を元に計算し、結論を導き出します。

(ポストの総数) = 48,000 + 10,000 + 60,000 = 118,000本

ちなみに、日本郵便の実際のデータ(2023年)によると、郵便局数は約24,000、ポストの数は約175,000本だそうです。

概算としては、かなり良い線を行っているのではないでしょうか。重要なのは、この思考プロセスを通じて、問題を構造的に捉え、論理的に答えに迫る訓練ができた、という事実です。

 まとめ


フェルミ推定は、単なるコンサルごっこやクイズではありません。それは、情報が溢れ、正解のない問題に満ちた現代社会を生き抜くための、必須のサバイバルスキルだと感じます。

この思考法が身につくと、日常生活で目にする様々な事象に対して、「これって、どれくらいの規模なんだろう?」と、自然に考える癖がつきます。

私自身、この記事を書くにあたり、改めていくつかのフェルミ推定に挑戦してみて、自分の思考の癖や、知識の穴に気づかされました。

それは、自分の脳の「解像度」を上げるための、最高のトレーニングです。答えが分からないからと諦めるのではなく、自分の頭の中にある材料だけで、いかにして答えの輪郭を描き出すか。

この知的なゲームは、あなたの日常を少しだけ面白く、そしてあなたを少しだけ賢くしてくれるはずです。

 今すぐできる3つのこと


1. あなたの家の近所(半径500m以内)に、自動販売機が何台あるか、頭の中だけで推定してみる(3分)

2. 今、あなたが読んでいる本の総文字数を、ページ数と1行あたりの文字数から概算してみる(2分)

3. 明日の朝、通勤・通学中にすれ違う人の数を、時間や場所から推定してみる(5分)


いつも読んでいただき、ありがとうございます。

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参照元:

  •    University of Chicago "Enrico Fermi" (https://www.uchicago.edu/about/history/enrico-fermi/)

  •    McKinsey & Company "Are you smart enough to work at McKinsey?" (An article discussing case interviews which often involve Fermi problems)

  •    The Decision Lab "Fermi Problems: The Art of Approximation" (https://thedecisionlab.com/reference-guide/problem-solving/fermi-problems)

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