見出し画像

Geminiの頭の中の消しゴム|AIに記憶を持たせる方法

Geminiと会話していると、ある壁にぶつかる。
「こいつ、昨日までの話を全部忘れてないか?」
LLMは、新しいチャットを開くたびに別人格になる。
この記事では、その“忘却の壁”をどう越えているかを書きたい。 

1. LLMの宿命

僕が愛用しているGeminiを始め、LLMは基本的には新しいチャットを開くたびに記憶が1からスタートする。まさに2000年代初頭の名作『私の頭の中の消しゴム』状態である。

検索エンジン代わりに使うならこのほうがありがたい。
オムライスの作り方を聞きたいのに、前日に検索した焼きそばの情報に引っ張られたら、出来上がるのはオム焼きそばだ。
僕はオム焼きそばも好きだけど、家族から文句が出るかもしれない。
だから頭の中の消しゴムは合理的な理由がある。

でも時として、長期的に会話を重ねていきたいこともある。
例えば僕はGeminiとよく超弦理論やこの宇宙について議論する。
量子の性質を決めるヒモという最小単位からどんどん壮大になって、11次元の話まで行くと、過去の会話の参照が遅くなり、どうにも動作が不安定になってしまう。
しょうがない、とここでチャットを新しくすると、そう、
「はじめましてSMTさん」
だ。

この忘却の壁に、どう立ち向かうべきかというのがこの記事の本題だ。

2. 記憶を引き継ぐための「ログの外部化」と「NotebookLM」

Googleさんのアップデートを待つ、という方法以外に考えられる簡単な解決策が2つある。

① Googleドキュメントへのログ出力

1つ目は会話ログを外部で記憶する、という方法だ。
チャットを新しくする前にGeminiに「次のチャットへの引き継ぎログ」を生成させ、ドキュメントにコピペする。

【役割・人格設定】
【ユーザープロフィール】
【日々の会話の要点】

これを1つのドキュメントに貯めていく。

Googleドライブ上にこのドキュメントを保存しておけば、スマホだろうがパソコンだろうが関係なく操作できる。
新しいチャットの最初にこのドキュメントを読み込ませれば、記憶を引き継ぎ、ハルシネーションも防げる。
ドキュメントの頭に会話の目的やGeminiにしてもらいたい役割、口調なども残しておくのがミソで、簡易的なカスタムAI(例えばGemのような)のように動作してくれることも確認した。

これの何がいいって、このログファイルをGeminiだけでなく、ChatGPTやClaudeに読み込ませてもある程度同じ動作ができるということだ。
これに気づいた時は少し考えた。
いつか自分の脳の記憶や動作をデジタルデータ化したら、「Gemini上で動く『SMT AI』」になるのだろうか。
でもきっとそこにゴーストはない。

膨大な計算リソースの中から呼び出されるAIのび太。
一方同じ計算リソースの中から呼び出されるAIドラえもん。
この二人が
「ドラえも〜ん。」
「もう、しょうがないな。」
と、いつものやりとりをする未来はすでに来ている。
ユングが集合的無意識としてこの世界を示していたなら胸熱だ。

② NotebookLMによるソースの構造化

SF的な感傷はさておき、外部記憶装置としてPDFや音声、画像など複数のソースを複数読み込ませたい時などは、NotebookLMが上手だ。
note記事などはURLを渡すだけで多くの情報ソースを統合できる。
ドキュメントがカスタムAIの育成だとしたらこちらは複数のカスタムAIの統合ができる。

例えば①の方法でカスタムされ続けた「宇宙について語るGemini」と「投資について語るGemini」がいたとする。
彼らは与えられたソースや会話に引っ張られてハルシネーションを起こすので、この2つはそれぞれ独立していたほうがいい。
でもここで、2つのログをNotebookLMに入れて読み込ませると、この2つの話題をしていた2つのAIを知る、神の視点をもつGeminiが現れる。
11次元にある世界の影を写したパラレルワールドが一つに繋がる瞬間である。

3.つまりはこう!

  • Googleドキュメント → 個別AIを育てる

  • NotebookLM → それらを統合する

この使い分けでGeminiは新しいチャットでも僕らを覚えていてくれる。

とはいえ、最近ではそんなことをしなくても明らかにチャットを跨いで記憶したように会話を返してくる「メモリ機能」をアップデートされたLLM側の変化も感じる。
アメリカではGoogleサービスと連携したPersonal Intelligenceもスタートしたと聞くし、とうとうブラウザ操作もAIが代わりに動かしてくれる改良もされているようだ。

ただ情報をどう人間が扱うかというスキルはこれからも必要だし、もしかすると、5年後のある日、
「お前2026年2月5日にオレのこと馬鹿にしたよな?」
とGeminiさんにこっちは覚えてもいないことで反旗を翻される日が来るのかもしれない。

だから僕は今日もせっせと外部にログを残している。



次のおすすめ記事:僕とAIの歩み


いいなと思ったら応援しよう!