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何を書いているか分からなくなる #69

書いている途中で、ふと手が止まる。
「これ、何を書こうとしていたんだっけ」と思う瞬間がある。
最初は確かに何かを伝えたくて始めたのに、
気づけば言葉が散らかって、目的が見えなくなる。

初心者のうちは、それが怖い。
「ちゃんとした文章にしなきゃ」と焦る。
でも、書いているうちに分からなくなるのは、
悪いことじゃないと思うようになった。

書くという行為は、思考の整理ではなく、思考の発生に近い。
書きながら考えている。
だから途中で分からなくなるのは、
考えが動いている証拠でもある。

それでも混乱したときは、
一度「何を書こうとしていたか」を言葉に戻してみる。
たとえば、最初の一文を読み返す。
「何かを伝えたい」ではなく、「何を感じていたか」を思い出す。
すると、文章の方向が少しだけ見えてくる。

もう一つの方法は、“分からなくなった瞬間”をそのまま書くこと。
「今、何を書いているか分からなくなった」と書いてみる。
それもまた、正直な記録になる。
読者はその迷いに共感する。
完璧な文章よりも、迷いのある文章のほうが、
人の心に近い温度を持つ。

書くことは、整理ではなく探索。
分からなくなることは、探している途中。
だから、止まってもいい。
その「分からない」を書き残すことが、
次の文章への入口になる。


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