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國學院大學がnoteで目指す「もうひとつのキャンパス」とは?広報の枠を超えたクリエイターとの「学び合い」

この記事では、クリエイターとの深いエンゲージメントを育てる広報の新しいかたちを紹介します。noteを使ってどのようにブランドへの深い共感を生み出したのか。広報の枠を超え、noteを双方向コミュニケーションの場としてとらえた事例です。

「あれ、この『スキ』は大学から?」

もしあなたのnoteに、國學院大學の公式noteから「スキ」がついたら嬉しくなりませんか?日本の伝統や文化を深く研究する堅実な大学というイメージとは裏腹に、同学のnote運用は驚くほどフレンドリーで地道。多くのクリエイターの投稿に「スキ」をつけ、コメントを送り、深い交流を築いています。

なぜ國學院大學は、これほどまでに人と人とのコミュニケーションに重きを置いた広報活動を行うのか?その活動が、伝統ある大学の「学び」とどう結びついているのか?

ここでは、noteでの4年にわたるユーザー参加型企画やコンテストを通じて、広報活動に新しい価値を生み出しているnoteユーザーとのコミュニケーションに迫ります。

お話を伺ったのは、國學院大學総合企画部広報課の末武伶菜すえたけれいなさんと、noteの運用サポートを行う編集プロダクション・株式会社DECOの篠宮奈々子しのみやななこさん。深いエンゲージメントを育てる広報の新しいかたちをひもときます。


大学理念を“場”として体現できるのが、noteだった

──お二人の担当領域について教えてください。

末武さん:私は國學院大學の広報課に所属し、2024年4月よりnoteの運用を担当しています。國學院大學メディアnoteには複数の連載があり、その中でも「noteクリエイターさんに聞いてみた」コーナーを篠宮さんと一緒に動かしています。

原稿確認や進行管理のほか、クリエイターとの交流のしかたを考え、企画を立ち上げることも私の役割です。

末武伶菜さんバストアップ写真
國學院大學 総合企画部 広報課 末武伶菜さん

篠宮さん:私は2023年の夏から、外部パートナーの立場で編集とコミュニケーションをサポートしています。「noteクリエイターさんに聞いてみた」コーナーで紹介するクリエイターの人選や取材、原稿の編集に加え、スキやコメントを通した読者とのやり取りも担当していますね。

あとは毎年開催しているnoteコンテストの審査やお手本記事の制作やクリエイターさんへの記事発注などを行っています。

篠宮 奈々子さんバストアップ写真
株式会社DECO 篠宮 奈々子さん

——note全体の運用は、どのような体制で進めているのでしょうか?

末武さん:今年度から4つのチームに分かれて運用しています。運営を統括するチーム、大学広報としての記事を制作しているチーム、10月から始まった「學ぶ部」やその中の「地域伝承部」を担うチーム、そしてクリエイターさん一人ひとりとコミュニケーションする私たちのチームです。

——國學院大學の広報の中では、noteはどのように位置づけされているのでしょうか?

末武さん:noteを始めた2022年当時は、國學院大學という存在を世の中に広く知っていただくために発信するのが主な目的でした。

ただ、それ以上に大切にしているのは、私たちが一方的に研究成果を発信するだけでなく、読者やnoteクリエイターの方々と学び合う場をつくること。大学が掲げている教育目標も「問い直す」「学び合う」「共に生きる」です。この理念を体現する場をつくりたかった。

しかし、大学は教育機関ですから、正しいことを伝えなければならない。そうなるとコミュニケーションを楽しむ余地はあまりないのです。ですから従来の広報活動、例えばオウンドメディアやSNSでの発信だけでは、どうしても「大学が情報をデリバリーする」という一方的なかたちになってしまう。これに課題を感じていました。

——そこでnoteを活用するという判断に至ったと。

末武さん:はい。コミュニケーションの場になるポテンシャルが備わっている点が魅力でした。note以外の発信手段、例えばX(旧Twitter)やFacebookは、新着記事を広く届けるデリバリーの役割として活用しています。対してnoteは、学びや考えを深く発信しているクリエイターさんが多く集まる場所として運用しています。

私たちがnoteという場をお借りすることで、一方的に教える、教えてもらうという関係ではなく、一緒に学び合ってくれる人と出会えるプラットフォームがつくれるのではないか。大学の理念を体現し、学びに関心のある方と「学び合い」ができる場、それがnoteだったのです。

コンテストと「スキ活動」で学び合いを深める

——具体的にどのような施策で「学び合い」を実現されたのでしょうか。

末武さん:大きく2つの企画を柱にしました。ひとつがコンテスト、もうひとつがnoteクリエイターの方々にスポットを当てる「noteクリエイターさんに聞いてみた」コーナーです。

——4年連続で実施しているコンテストでは、一貫して「学び」に関するテーマを設定していますね。

末武さん:はい。学びというと、つい机に座って学ぶというイメージになりがちです。しかし私たちが伝えたいのは、「学びは生活の中にある」ということ。

コンテストのテーマを、誰もが参加しやすい日常に根ざした内容にすることで、参加してくださるクリエイターさんにとっても、ご自身の学びを振り返るきっかけにしてほしいという思いがありました。

年を追うごとに応募作品は増え、昨年の投稿件数は約18,000件。応募いただいたユニークで魅力的なエピソードの数々は、新たな視点や心に響く気づきをもたらしてくださいました。

末武さん:コンテストを行うと、多様なバックグラウンドを持つ人々が、学びというテーマをそれぞれの言葉で掘り下げ投稿してくれます。それを通じて、大学側も新たな視点や考え方を受け取れるんです。

コンテストは私たちとまだ関わったことのない新しいクリエイターさんと出会える場。ここで出会った方に、ゆくゆくは「noteクリエイターさんに聞いてみた」コーナーでお声がけしたり、仲間としてコミュニティに参加していただいたりしたい。

学びへの関心が高いクリエイターさんとの「出会いの場」として、コンテストは今後も続けていきたいと考えています。

今年もさらにクリエイターとの出会いを求めて、これよりも大規模なコンテストを開催します。

——「noteクリエイターさんに聞いてみた」コーナーはいかがでしょうか?インタビュー相手の人選や、クリエイターさんとの交流は地道な活動だと思います。

篠宮さん:noteで活躍されている方に直接お声がけし、その方の学びや気づきのプロセスをインタビューさせていただいています。

自分のnoteになんらかのアクションが発生すると、ベル通知がきますよね。それを週に2回見に行くんです。

そこでご縁がありそうな方、記事の中に「学びのカケラ」がある方に出会った際、「スキ」を押したり、特に感動した記事には具体的なコメントを入れています。これを私たちは「スキ活動」と呼んでいます。

國學院大學メディアnoteの看板を背負っているので、コメントを書くときには、本当に緊張するんですよ。

この活動は地道ですが、クリエイターとのコミュニケーションにおいて非常に重要なんです。國學院大學メディアnoteという「人格」として振る舞い、クリエイターさんと真摯に向き合っています。

noteクリエイターに聞いてみたマガジン
これまでインタビューしたクリエイターは21人(2025年10月現在)。
新しい視点で日常の中の学びが感じられるエピソードが満載

——人格を保ちながら人選する中で、篠宮さんが選ぶ基準はどのようなものでしょうか。学びという公の基準以外にも、何かあるように感じています。

篠宮さん:明確な選定基準があるわけではありません。うまく言葉にできないのですが、「記事に愛があるか」ですかね。

——「愛」ですか。本質的なキーワードですね。

篠宮さん:はい。愛というと少々オーバーかもしれないですが、ものごとのとらえかたに思いやりや、やさしさがあるような方ですかね。加えて、誰かを傷つけるような記事を書いていないことも重要なポイントですね。

そして本人が学びだとは認識していなくても、そこに「学びのカケラ」があるかどうか。

ビジネスノウハウだけをレクチャー的に書いている記事ではなく、書き手の熱量や想いが伝わる記事を選んでいます。私たちは、そういった記事を書かれる方と対等な学びの仲間として繋がりたい。

——熱意ある交流の結果、驚くほど熱量の高いクリエイターの反応があったと伺っています。

篠宮さん:コメントをつけたクリエイターさんの8割以上が、そのコメントにさらに返信をくださるんです。「大好きなメディアからコメントをもらえて嬉しい」と。大学という大きな組織が、一人ひとりのクリエイターの想いに寄り添う姿勢を見せることが、熱狂的なファンを生むのだと実感しています。

——それはすごい!まさにエンゲージメントの深さを物語るエピソードですね。

末武さんと篠宮さん

note上に学び合う「もうひとつのキャンパス」を築く

——コンテストのほかにも、最近は部活動など活動の幅を広げられています。これからnoteでの運用を通じて実現したいことは何でしょうか?

末武さん:私たちの最終的な目標は、noteという大きな街の中に、國學院大學が「学校、公民館」のような場所、人生を豊かにするもうひとつのキャンパスを築くことです。

——もうひとつのキャンパス。学び合う、新しい「居場所」ですね。

末武さん:はい。私たちの研究や発信、そして「学び合い」という価値観に共感してくださる方が集まり、「ここが自分にとって居心地のいい場所」と言ってくださるくらい、深いつながりを築きたいと考えています。

今はまだ人数の少ないコミュニティかもしれませんが、ここから多くの人に気づいていただき、「学びといえば國學院大學メディアnote」と思っていただけるように、認知度も深めていきたい。

「がくしゅう」という言葉があります。同じ読み方でも、高校生までは知識や技術を習得することに焦点がある「学習」、大学からは自ら進んで学び修める「学修」という字を当てます。私たちのnoteは「学修」を目指しています。

——最近ではインタビューしたクリエイターにnoteのヘッダー画像のデザインを依頼されましたね。これも、コミュニティ化を加速させるための施策ですか。

篠宮さん:ヘッダー画像の変更は、編集部内で「そろそろ変えようよ」という話から始まりました(笑)。

時間をかけてでも、私たちが信頼しているクリエイターと共に創り上げていきたいと考え、「noteクリエイターさんに聞いてみた」コーナーで取材した塗り絵作家のKENTA AOKIさんに依頼したんです。

自分たちでつくるのではなく、共に創る。これが私たちの姿勢です。

“スキ”から始まる広報の可能性

——最後に、これからnoteでのブランディングやエンゲージメントの醸成をご検討されている法人の広報やブランドソリューション担当者の皆さんへ、メッセージをお願いいたします。

末武さん:大それたことは言えませんが、noteのユーザーさんに共感してもらいたい、と感じているようなら、ぜひnoteコンテストなどを活用しながら、ユーザーさんとのコミュニケーションに挑戦していただきたいです。

篠宮さん:noteは、企業や団体という看板を背負いながらも愛を持って個人と交流できる、非常に稀有なプラットフォームだと思います。

コンテスト開催やクリエイターのnoteにスキをつける行為は地道な活動ではありますが、真摯にクリエイターさんと向き合うことで、ブランドへの深い信頼と熱狂的なファンが生まれます。ぜひ、ユーザーさんとのコミュニケーションを楽しんでください。

——本日は貴重なお話をありがとうございました。


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