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【第362回】 Data Cloud : 2025 年 9 月 新機能リリース ハイライト

現在、Data 360(Data Cloud)では 他の Salesforce 製品とは異なり毎月新機能がリリースされています。その数の多さに加え、内容も高度であるため、私自身キャッチアップに苦戦しています。

そこで、毎月の Data Cloud 新機能リリースのハイライトをまとめてあります。日頃の学習に活用してください。


2025 年 9 月リリース ハイライト

2025 年 9 月のアップデートでは、データ接続性、操作性、拡張性の大幅な強化と低コスト化が進みました。

  • File Federation により、Snowflake・Databricks・Apache Iceberg・IBM Watsonx へのリージョン内接続が無償で可能に。

  • DevOps ツール が強化され、Sandbox org へのデータ反映が容易に。

  • データサービスのクレジット は購入・利用が簡単になり、AI とガバナンス向けの新しい権限セットも追加。

  • コネクタ では、B2C Commerce Intelligence の刷新や WordPress・Box との統合が進展。

  • 使いやすさの改善 として、相対時間セマンティクス、Data Graph ステータスの明確化、世帯単位セグメンテーション、Content Lens による非構造化検索テスト、セグメントプレビューなどが追加。

これらにより、運用が効率化され、コストとリスクを削減し、データからの価値創出が加速します。



主な機能概要

本番環境からサンドボックスへのメタデータ完全デプロイ対応

ユーザーは、DevOps Data Kits、ChangeSet CLI、Metadata API を利用して、本番環境からサンドボックス環境へメタデータ、アセット、設定を移行できるようになりました。

これにより、DevOps パイプラインにおけるループが完全に閉じられ、従来は本番環境で直接行った変更を下位環境にシームレスに同期する手段が存在しなかった課題が解決されます。

この機能により、開発・UAT・プリプロダクション・本番環境全体で一貫した設定を確保でき、更新内容を DevOps Data Kits にまとめ、Change Sets、Metadata API、CLI ツールを使ってデプロイ可能です。その結果、運用効率の向上・デプロイエラーの削減・より信頼性の高いサンドボックス環境による安全なテストと改善が実現します。


Data Cloud サービスクレジットの単一プール化

9 月 4 日以降、Data Cloud では セグメンテーションおよびアクティベーションクレジット が標準の Data Services クレジットと区別されなくなりました。すべてのセグメンテーション/アクティベーション SKU とクレジットは コア Data Cloud SKU に統合され、単一の Data Services クレジットプールにまとめられます。

  • 既存のセグメンテーション/アクティベーションクレジットは 1:1 で自動変換済み。

  • 専用のレートカードは廃止

  • これにより、購入・請求が簡素化され、顧客は Data Cloud のあらゆる機能を 1 つのクレジットバケットで利用可能に。さらに、FY27 に予定されている Flex Credit システムへの移行もスムーズになります。

また、サンドボックス環境向けに別途購入していたクレジットも、(6月に統合が始まった通り)共通プールに統合済みになっているはずです。これらの変更はすべて Digital Wallet で確認できます。


標準パーミッションセットの変更

Data Cloud の SKU 変更に伴い、以下の 4 つのマーケティング専用パーミッションセットは レガシー扱いとなりましたが、引き続き利用は可能です。

  • Marketing Admin

  • Marketing Manager

  • Marketing Specialist

  • Data Aware Specialist

今後、セグメンテーションおよびアクティベーションの管理は以下のパーミッションセットで行います。

  • Data Cloud Architect(旧名称:Data Cloud Admin)

  • Data Cloud Activation Manager

  • Data Cloud Activation Specialist

さらに、9 月末までに以下の新しい専用パーミッションセットが追加されます。

  • Data Cloud AI Specialist

  • Data Cloud Governance Specialist

これにより、より広範なプラットフォーム権限を付与せずに、それぞれの機能(AI・ガバナンス)を専用に管理できるようになります。

この件はすでに記事にしています。


Box 非構造化データコネクタ

新しい Box コネクタ により、Box に保存されている技術ドキュメントなどの非構造化ファイルを、Data Cloud にシームレスに取り込めるようになりました。接続後は、フォルダ・ファイルタイプ・ラベル・作成/更新日などで取り込み対象をフィルタリングでき、データパイプラインを細かく制御できます。これにより、Box 上のドキュメントを Agentforce に取り込み、サポートケースの強化やナレッジ検索の精度向上など、強力なユースケースが可能になります。


新しい B2C Commerce Intelligence コネクタ

新しい B2C Commerce Intelligence コネクタ が利用可能になり、従来バージョンから大幅にアップグレードされました。以前は注文データ・購買者プロファイル・商品カタログの 30 日間のスナップショットに限定されていましたが、新コネクタでは注文・商品・プロモーション・購買者ジャーニー・トラフィック・サイト内検索といった包括的な履歴データにアクセス可能です。

さらに、Data Cloud One と Data Spaces を完全サポートし、詳細データと集計データの両方を活用できるため、より深いセグメンテーション・ターゲティング・パーソナライズ戦略を実現し、直接的な売上成長につなげられます。現在、フルおよび増分取り込みに対応しており、将来的には 商品カスタム属性やゼロコピー機能の追加も予定されています。これにより、コマースデータを Salesforce Data Cloud で統合するための、より強力・拡張性・将来対応可能な方法を提供します。

※注意:この新しいコネクタの利用は 外部利用としてカウントされ、データサービスの課金対象になります。


新しい WordPress コネクタ

WordPress 用コネクタ が GA となり、Web サイトのインタラクションデータを収集・活用する強力な手段が追加されました。クリック・投稿・メディア閲覧などを WordPress サイトから取り込むことで、リードスコアリングやパーソナライズされたマーケティング施策を強化し、Web エージェントにコンテキストに基づいた会話を可能にします。

これにより、エージェントは汎用的な対応ではなく、例えば「商品ページを閲覧した」「価格ページを確認した」といった顧客行動に基づいて、ターゲット化されたオファーや詳細情報を提示できるようになります。


新しい Apache Iceberg 向けゼロコピーコネクタ

新しい Apache Iceberg ゼロコピーコネクタ により、あらゆる Iceberg 準拠のデータレイクハウスから外部コンピュートコストなしでデータを直接フェデレーションできるようになりました。モダンなデータメッシュアーキテクチャ向けに構築されており、大規模な Parquet 形式の Iceberg テーブルをそのまま分析・自動化・AI に活用できます。

現時点で AWS S3・Azure Blob・ADLS Gen2 をサポートし、今後は Google Cloud やその他 S3 互換ストレージへ拡張予定です。Iceberg REST カタログやファイルレベルのフェデレーションを活用することで、高いパフォーマンスとコスト効率を両立し、さらに 一時認証情報の払い出しや OIDC フェデレーションによる強固なセキュリティも確保します。Iceberg の業界採用が加速する中、このコネクタは Data Cloud が分散化されたデータ環境をシームレスに統合し、大規模なインサイト創出を可能にします。
※料金:このコネクタ経由でアクセスしたデータは、他のゼロコピーソースと同じく 1,000,000 行あたり 70 クレジットで課金されます。


Snowflake & Databricks 向け File Federation

Snowflake と Databricks 向けの File Federation ゼロコピーコネクタ が AWS と Azure 上で GA となり、データを複製せずに外部データを統合する手段がさらに拡大しました。特に注目すべきは、同一プラットフォーム・同一リージョンの接続であれば、データアクセス時のクレジット消費が発生しない点です。

Query Federation がクエリを顧客のデータウェアハウスコンピュートにプッシュするのに対し、File Federation はストレージ層で直接データをスキャンし、Parquet 形式の Apache Iceberg テーブルを読み込みます。この方法により、大規模データセットへの効率的なアクセスが可能となり、同一リージョン内ではネイティブに近いパフォーマンスを発揮しつつ、ソースシステム側のコンピュートも不要になります。

さらに File Federation は、変更データキャプチャ(CDC)をネイティブでサポートし、中間スナップショットをキャッシュすることなく、ソーステーブルの更新から直接アクションをトリガーできます。これにより、Query Federation と組み合わせることで、コンピュート側でのプッシュダウンとストレージレベルでのフェデレーションを柔軟に選択でき、大規模な外部データレイクから構造化/半構造化データをシームレスに統合可能になります。


IBM Watsonx ゼロコピーコネクタ

新しい IBM Watsonx.data ゼロコピーコネクタ が登場しました。これにより、IBM DB2 システムから Watsonx.data に同期されたトランザクションデータを、Apache Iceberg テーブルとして Data Cloud に直接フェデレーションできます。データの複製や外部コンピュートは不要です。

現在は Parquet 形式の Iceberg テーブルで、AWS S3・Azure Blob・ADLS Gen2 をサポートしており、将来的には IBM Cloud Object Storage やその他のストレージも追加予定です。特に金融サービス・航空・小売など IBM システムを活用する組織にとって、DB2 データを Salesforce 上で 分析・自動化・AI 活用する効率的な手段を提供します。さらに、ストレージが Data Cloud と同一リージョン内にある場合、データアクセス時のクレジット消費は発生しません


Databricks とのゼロコピー・データ共有

Databricks とのゼロコピー・データ共有 が GA となり、両プラットフォーム間の双方向統合が完了しました。これにより、顧客は Data Cloud オブジェクトに Databricks から直接セキュアにアクセスでき、データのコピーや移動なしでクロスプラットフォームの分析・AI/ML ユースケースを実現できます。

Databricks の Unity Catalog を通じて、Data Cloud データをネイティブテーブルと組み合わせて高度な可視化を行ったり、SQL クエリを実行したり、Jupyter Notebooks 上で機械学習モデルを構築することが可能です。認証には業界標準の Delta Sharing(YDC)プロトコルが利用されます。

この ポイント&クリックでの統合により、企業はインサイトを統合し、データエコシステム全体での意思決定を加速できます。


計算/リアルタイムインサイトにおける相対時間セマンティクス

計算インサイトおよびリアルタイムインサイトで 相対時間セマンティクス が利用可能になりました。これにより、秒単位から日単位までの時間ウィンドウに基づいてメトリクスを動的に更新できます。
例えば、

  • 「過去72時間のカテゴリ別売上合計」

  • 「直近10分間の商品クリック数」
    といったユースケースを構築でき、時間の経過とともに自動更新されます。

新しい SQL 関数(second_add、second_sub、NOW)や Visual Builder の相対日付フィルターにより、ローリングウィンドウを簡単に定義可能です。またリアルタイムインサイトは、ミリ秒単位のイベント処理に加え、長期的な期間をサポートするためのシャドウ計算インサイトを組み合わせ、リアルタイムグラフに過負荷をかけずに運用できます。これにより、より正確なパーソナライゼーション・適応型レコメンデーション・時間依存の分析を、データの変化に合わせて常に最新の状態で提供できます。


データグラフ UI の更新

データグラフ UI が更新され、ステータスがより明確かつ管理しやすくなりました。これまでは「ステータス」列が設定(メタデータ)とマテリアライズデータ更新の両方を追跡していたため、混乱が生じることがありました。

9 月リリースからは以下の 2 項目に分割されます。

  • Status:データグラフ定義の状態(保存中、編集中、設定エラーなど)

  • Last Run Status:マテリアライズジョブの結果(ドラフト、処理中、アクティブ、エラーなど)

これにより、構成上の問題と実際のデータ更新状況を分けて把握できるようになります。


Content Lens による非構造化検索インデックス改善

Content Lens(現在クローズドベータ)により、本番環境に反映する前に 検索・エージェント設定をテスト/評価/公開できるサンドボックス環境が利用可能になりました。

チームは PDF や HTML のサンプルドキュメントをアップロードし、LLM ベースの解析と前処理を適用し、実際のクエリで結果を検証することで、誤認識された表や欠落した図などの問題を本番に影響を与えずに特定できます。これにより、構成の改善を繰り返し行い、複数のペルソナベースのエクスペリエンスを設定し、テスト済みの検索インデックスを本番に公開可能です。

現時点では Content Lens 内でのメタデータフィルターは未対応ですが、Search Index Builder にて後から追加できます。この新しいプロセスにより、これまで 数週間かかっていた本番環境での試行錯誤デバッグが、1 日のセットアップで完了するようになります。


セグメントプレビュー

セグメンテーションで データプレビュー が利用可能になり、公開前にセグメントを検証できるようになりました。新しい Data Lens コンポーネント(Tableau Prep に着想を得たもの)を搭載し、レコードレベルのデータグリッドと、属性ごとの分布を要約したプロファイルペインを提供します。これにより、ユーザーはデータ品質やセグメントの精度を素早く確認できます。

Q:どこからアクセスする?
A:セグメントの条件を作成する画面の右上に、「プレビュー」ボタンが表示されていたら使用を開始できます。

プレビューは最大 1,000 行の表示100 万件のプロファイリング をサポートしており、データセットからランダムサンプリングを行います。これにより、試行錯誤によるコストを削減し、フィルタのテスト、期待する結果の確認、調整を安心して行うことが可能になります。

しかも、この機能は 追加ライセンス費用なしで、処理した 100 万件あたり 2 クレジット の課金で利用できます。利用するには「機能マネージャー」で有効化の作業が必要になります。

※ 2025 年 7 月のリリースとして発表がありましたが、延期していました。


Household セグメンテーション & アクティベーション対応

世帯単位のセグメンテーションとアクティベーション がサポートされ、マーケターは世帯全体の行動を把握して、よりスマートなターゲティングを実現できるようになりました。

ID 解決を用いることで、同じ姓や住所などのルールに基づき、個人を統合して世帯としてグルーピングできます。これにより、以下のようなユースケースが可能になります。

  • 世帯の合計購入額に基づいた高価値世帯のターゲティング

  • 既存購入者の家族へのクロスセル

セグメンテーションでは、新たに世帯単位で値を集計するオプションが追加され、例えば「世帯合計購入額 > $3,000」といったフィルタが可能になります。アクティベーションでは、世帯全体、統合された個人、特定メンバーといった柔軟なターゲティングが可能です。

統合世帯オブジェクトは、個人 ID をまとめる プロフィールグルーピング として機能し、他の世帯セグメントとのみネスト可能で、追加 SKU は不要です。


今回は以上です。


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