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オルゴールの音色を支える「金属」の物語|京都・御金神社との意外な関係【オルゴールと京都 vol.2】

オルゴールも楽器も、「金属」の進化によって美しい音色になった

私たちが耳にするオルゴールの澄んだ音色。
その美しい響きは、職人の技術だけで生まれるものではありません。
長い年月をかけて進歩してきた金属加工技術や、新しい鋼材・合金の開発があったからこそ、今日のオルゴールや楽器の音色が実現しています。

そして、その金属の歴史と深く関わる神様が、京都の中心部に祀られていることをご存じでしょうか。
今回は、オルゴールの音色を支える金属技術と、京都・御金神社との意外なつながりをご紹介します。

音色を生み出すのは振動板だけではない

左から、シリンダーオルゴール、ディスクオルゴール

オルゴールの音源は、「振動板」と呼ばれる櫛《くし》状に加工された金属板です。オルゴールの楽譜ともいえるシリンダーやディスクが回転すると、突起が振動板の櫛歯を弾いて音が生まれます。
しかし、私たちの耳に届く音は振動板だけが生み出しているわけではありません。
振動板やシリンダーを支える土台(ベース)、そしてそれらを包み込む木製のケース(筐体)が共鳴し、振動を増幅することで豊かで美しい音色へと変化していきます。

この仕組みは、実は多くの楽器と共通しています。
例えば、バイオリンやギター、ピアノなどの弦楽器は、弦の振動を楽器本体が共鳴させることで豊かな音を生み出します。また、木管楽器も管内の空気振動を増幅することで音を響かせています。
つまり、オルゴールも楽器と同じように「振動」と「共鳴」によって音楽を奏でる装置なのです。

楽器の歴史は金属材料の歴史でもある

弦楽器の弦は、もともと羊の腸から作られた「ガット弦」が主流でした。
しかし18世紀以降になると、金属線を巻き付けた巻き弦が開発され、より大きく美しい音を奏でられるようになります。
ピアノの弦も同様です。ピアノが発明された当初は鉄や真鍮が使われていましたが、19世紀になると炭素を含んだ鋼線へと変化していきました。そして現在では、焼入れや焼戻しといった高度な熱処理が施された高強度のピアノ線が使用されています。
その結果、昔のピアノと比べてはるかに大きく、力強く、豊かな響きを持つ音を生み出せるようになりました。
弦楽器やピアノをはじめ、多くの楽器では、材料や加工技術の進歩によって、より豊かな音色が実現してきました。

オルゴールも金属加工技術とともに進化してきた

オルゴールもまた、金属材料の進化とともに発展してきました。
19世紀のオルゴールと比較すると、現代のオルゴールには新たに開発された鋼材や合金が数多く活用されています。

例えば、振動板に使用される鋼材や、その加工・熱処理技術は改良を重ねながら発展してきました。
また、振動板を支える土台(ベース)には、亜鉛合金などの材料が採用される例もあり、音の安定性や響きの向上が図られています。
私たちがオルゴールから感じる澄んだ音色や美しい余韻は、職人の技術だけでは生まれません。長年にわたり新しい金属材料を研究・開発してきた特殊鋼メーカーや金属材料メーカー、そして冶金技術者たちの努力によっても支えられているのです。

 ※冶金(やきん)とは、鉱石から金属を取り出し、精製・合金化・加工を行う技術や学問のことです。 

京都にある「金属の神様」を祀る神社

そんな金属加工や冶金技術の発展、安全、繁栄を願う神社が、ニデックオルゴールショールームの近く、京都市中心部にあります。

それが、京都の有名な神社である「御金神社《みかねじんじゃ》」です。
この神社で祀られている祭神は、「金山彦神《カナヤマヒコノカミ》」。
日本神話では、伊邪那美命《イザナミノミコト》から生まれた神様とされています。

御金神社

金山彦神はなぜ金属の神様になったのか

『古事記』によると、伊邪那岐命《イザナギノミコト》と伊邪那美命《イザナミノミコト》は、多くの神々を生み出しました。しかし最後に「火之迦具土神《ヒノカグツチノカミ》」を産んだ際、イザナミノミコトは大火傷を負い命を落としてしまいます。その断末魔の中で吐いた吐瀉物から生まれた神の一柱が金山彦神と伝えられています。

溶けた鉱物の様子が吐瀉物の形状に似ていたことから、金山彦神は鉱山や鉱物の神と考えられるようになり、やがて鍛冶、製鉄、冶金の神として広く信仰されるようになりました。さらに後の時代には、鍬や鋤などの農具を司る神としても崇敬されるようになります。

オルゴールづくりにも受け継がれる「金属への感謝」

金属なくして、現代の楽器やオルゴールは存在しません。
美しい音色の裏側には、金属を生み出し、加工し、磨き続けてきた数え切れない人々の技術があります。

左から、針打ち、調律、噛み合い

京都・御金神社は、お金のご利益で知られる神社ですが、ものづくりに携わる人にとっては、「金属への感謝」を思い起こさせてくれる場所でもあります。
京都を訪れた際には、オルゴールの音色を支える見えない技術に思いを巡らせながら、御金神社へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

(A.Hisada)

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