プチパイ・タタンと娘の笑顔
プチパイ・タタンとアップルパイ・タタン。
今回出来た品の名付けに迷った。
小嶋絵美|こじえみ📙捨てないレシピ さんの記事を見て、このアップルパイのレシピ簡単で良いな〜と思い、野菜室で眠るリンゴでアップルパイを作ろうと決め、冷凍パイシートを買ってきた。

作ろうと決めたものの、いざパイシートと芳しいリンゴを前にして、一度、立ち止まる。
アップルパイ、カスタードクリーム入れたいな。
アップルパイ、ラムレーズンも入れてみたいな。
アップルパイ、タルトタタンも食べたいな。
欲望渦巻く欲張りな心の声がこだまする。
アップルパイにカスタード、ラムレーズンは我ながら良い組み合わせであろう。しかしアップルパイとタルトタタンは、あろうことかもはや別のものだ。

タルト・タタンは遥か昔にグレーテルのかまどというTV番組で初めて目にしたお菓子。フランスのカロリーヌ・タタンとステファニー・タタン姉妹がリンゴのタルトを焼く際に、ついタルト生地を敷き忘れたおっちょこちょいの失敗から生まれたとされるリンゴの煮詰め焼き菓子だ(諸説あり)。
試しに作ってみたあの日から、私はタルト・タタンの虜となった。

タタン姉妹の失敗と、それを自らの思い付きによりリカバリーした事でこの偶然の一品はこの世に誕生し、後世にその名を残す程の銘品となった。
この世界の大体のものは、誰かの思い付きと失敗の積み重ねで出来ている。そしてそれは、誰かが成功するまで努力を積み重ねた事の証でもある。


幼い娘は失敗を恐れる。
10以上の足し算がまだしっくり来ないようで、間違えるのがイヤだからやりたくないと言う。
「間違えても大丈夫だよ」とか、少しでもトライしたり出来たら「出来たじゃ〜ん」と少し大袈裟にほめたりもする。
出来たことよりやってみたこと、ここまでは出来たということを認めると良いらしいと聞くけれど、出来ないとスネる娘に何を言ってもその胸には届いていないように見える。
子供に出来ない事を教えるとはなんと根気のいる難しい事なのだろう。
大人相手の仕事なら、マニュアルを作って説明して見本を見せて、本人にやってもらって修正してでなんとかなるが、子供はまずマニュアルを読み切れない。見ても簡単にはマネできない。




間違えたり失敗は誰しもしたくないことだろう。
だけどこの失敗したからこそ生まれたタルト・タタンの逸話には、失敗してもなんくるないさという勇気を貰える。





左上、右下はリンゴのみのタタン式。
今回仕上がりを色々試したけれど、味はどれも抜群で、特に梅酒の梅とラムレーズンを入れた方が甘味と酸味のバランスが良く美味しく感じた。アルコールの風味をどれだけ感じるかは個人差があると思うが、焼いたせいかアルコールは感じなかったように思う。
庭産のドライイチジクもいくつか底に入れてみたが見た目が微妙な仕上がりになった。形を整えて入れるか後から乗せて飾った方が良さそうだ。カスタードクリームは混ぜるより中心に入れるか、積層してリンゴを底にした方が見た目が美味しくなりそう。
金型よりシリコンか紙の型の方が剥がすのが楽だった。
仕上がりは、単純なリンゴのみのタルト・タタン方式が一番美しいと感じた。
さすが、古より伝わるだけのことはある。




リンゴの皮とチャイとハチミツ。
私はラム酒を少し加えて大人味。
リンゴの皮は煮た方が風味が増したかもしれない。子供達も美味しかった様で、おかわりとリンゴの皮も食べていた。

算数に疲弊しきっていた娘も、ひとくち食べると笑顔になった。
「これはなに?」
リンゴだよ。
「え〜リンゴなの?これ好き」
リンゴを煮て焼いたタルト・タタンにパイを合わせたんだ。タルト・タタンはね、失敗して出来たお菓子なんだよ。
「ふーん。また作って欲しい!」
このくらいの切り替えで、勉学にも励んでもらいたいものである。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
ではまた、お会いしましょう。
ほかのおやつはこちらから。
インスパイアされた小嶋さんの記事はこちら。
食材の使い方が目から鱗です。
