ウナムーノ『ドン・キホーテとサンチョの生涯』~愛ある批評とはこういうものかと唸らされる超絶名著!

今回ご紹介するのは1905年にウナムーノによって発表された『ドン・キホーテとサンチョの生涯』です。私が読んだのは1972年に法政大学出版局から発行された佐々木孝訳の『ウナムーノ著作集2 ドン・キホーテとサンチョの生涯』1985年第3刷版です。

著者のウナムーノはスペインの哲学者で「南欧のキルケゴール」の異名を持つ人物です。
彼は学生への教育にも熱意を注ぎ、多くの若者たちに刺激を与え続けていました。
ウナムーノは単に知識を教えるのではなく、学生一人一人が真理探究の意欲に燃え立つことを願っていたのです。
そして彼の熱意は大学の教室を超えてスペイン、さらには全世界に広まっていくことになったのでした。
自分の中に引きこもって哲学に耽るのではなく、『ドン・キホーテ』を愛し、そこからスペイン復活のために心を尽くして思索を続け、人々に熱き思いを伝えたウナムーノ。
そんな「熱き男」ウナムーノのドン・キホーテ愛に溢れた批評が今作『ドン・キホーテとサンチョの生涯』になります。

こちらは『ドン・キホーテとサンチョの生涯』の目次の一部なのですが、『ドン・キホーテ』を読んだことがある方はきっと驚くと思います。
なんと、この作品は原作の『ドン・キホーテ』と同じ構成で書かれているのです。
つまりこれはどういうことかと言いますと、ウナムーノは『ドン・キホーテ』の章立てに沿ってひとつひとつその思いを語っていくのです。
ですので、正直『ドン・キホーテ』を読んだことがない方にとってはさっぱりわからない作品となっています。
ですが『ドン・キホーテ』を読み、その面白さを共有できる人にとってはこれ以上ないくらいシンパシーを感じる作品と言うことができます。この本は『ドン・キホーテ』の解説書ではありません。南欧のキルケゴールと呼ばれる大哲学者の作品に対してこう言っていいのかわかりませんが、どちらかというと、「『ドン・キホーテ』のファンブック」と言えるような作品です。とにかくドン・キホーテへの愛が溢れています。
そして『ドン・キホーテ』からこんなにも豊かな教えを見出すことができるのかと驚くことになります。「なるほど!ここはそう解釈することができるのか」と、ウナムーノの深い洞察には何度も唸らされることになりました。
私はこの作品を読んで感激しました。「こんなに『ドン・キホーテ』を読み込み、熱き思いを語る人がいるんだ!」と胸が熱くなりました。「愛」そのものですね!それが伝わってくるんです!これはすごい作品です。
この作品は『ドン・キホーテ』ファン必読の名著中の名著です。
ただ、先ほども述べましたがこの作品は『ドン・キホーテ』そのものがわからなければさっぱりわかりません。
ですのでまずは『ドン・キホーテ』を読むことが第一です。ですが『ドン・キホーテ』はいきなり読んでもその面白さがわかりにくいというのは当noteでもこれまで述べてきました。
というわけでまずは牛島信明氏の『ドン・キホーテの旅』がおすすめです。
これを読めば『ドン・キホーテ』がいかに素晴らしい作品か、そしてその面白さがどこにあるかがはっきりわかります。これはありがたいです。
そしてそこから『ドン・キホーテ』を堪能し、流れが分かった上でウナムーノの『ドン・キホーテとサンチョの生涯』を読めばもう完璧です。
この作品は読めば元気が湧いてくる名著です。私も精神的にかなり落ち込んでいた時にこの本を読んだのですが、とても勇気づけられました。
まずは『ドン・キホーテ』を読まねばならないというハードルがあるかもしれませんが、この作品はぜひおすすめしたい名著中の名著です。現代日本においてもこの作品は圧倒的に大きな意味があると私は信じています。私はこれからも折に触れてこの本を読み返していきたいなと強く感じています。それほどこの作品のパワーはすさまじいです。
ぜひ『ドン・キホーテ』を読んでみて下さい。そしてウナムーノの『ドン・キホーテとサンチョの生涯』を読んでみて下さい。そうすれば私の言わんとすることがきっと伝わるのではないかと思います。
私が購入した時よりもかなり値段が高騰してしまっていますが、図書館などで探すのもありだと思います。手間をかけてでも手に取る価値がある本であることは間違いありません。
以上、「ウナムーノ『ドン・キホーテとサンチョの生涯』~愛ある批評とはこういうものかと唸らされる超絶名著!」でした。
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