フェルメール『真珠の耳飾りの少女』はなぜ魅力的なのか?その秘密を考える
2026年来日決定!大阪中之島美術館に『真珠の耳飾りの少女』がやって来る!
※フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』が2026年8月21日から9月27日にかけて来日が決定したそうです!
詳しくはこちらの大阪中之島美術館の特設ページをご参照ください。
今回の記事はそんなフェルメールの『真珠の耳飾りの少女』をオランダのマウリッツハイス美術館で観た体験をまとめています。皆さんのフェルメール鑑賞のお役に立てましたら何よりでございます。
では、本編を始めさせていただきます。
【パリ・ジョージア旅行記~ドストエフスキーとトルストイを学ぶ旅】(18)フェルメール『真珠の耳飾りの少女』はなぜ魅力的なのか。その秘密を考える
前回の記事「フェルメールの『デルフトの眺望』に恍惚~現地で感じたその魅力と秘密について」ではフェルメールの傑作『デルフトの眺望』をご紹介した。
そしてこの美術館にはもうひとつ、フェルメールファン必見の名画がある。
それがあの『真珠の耳飾りの少女』だ。

青と黄色のターバンを巻いたこの少女はあまりにも有名だ。日本にも展覧会で何度もやって来たこの名画だが、そのオリジナルがここマウリッツハイス美術館に展示されているのである。

前回の記事でも紹介したが、この美術館はフェルメールの町デルフトにも近いデン・ハーグという街にある。

フェルメールの最高傑作と彼の故郷が近くにあるというのは、フェルメール巡礼をする私たちにとっては非常にありがたいことである。
さて、では『真珠の耳飾りの少女』とご対面といこう。
この絵は『デルフトの眺望』と同じ部屋に飾られていて、ちょうど互いに向き合う形で展示されている。


想像よりも大きく感じた『デルフトの眺望』と違って『真珠の耳飾りの少女』は思っていたよりも小さく感じた。

そしてこの写真を見て頂ければわかるように、なぜか人が少ない。2022年8月のコロナ明けの時期ということでこの美術館自体が人数制限をかけているのもあるのだろうがそれにしても人が少ないことには私も驚いた。もちろん、時間によっては混雑もするがそれも許容範囲のレベル。これだけの名画をこんなにじっくりと落ち着いて見られるのは本当に貴重だと思う。

ここで私は告白しなければならない。
実は私は『真珠の耳飾りの少女』にそこまでの期待をしていなかったのである。私は『デルフトの眺望』が一番好きなのであって、この絵には元々あまり興味がなかったのである。
だが、そうした私の思いはこの日を境にがらっと変わった。こんなにすごい絵だったとは!
パッと見た時、最初はこの絵の魅力がわからなかった。だからすぐに観るのをやめてすぐ後ろの『デルフトの眺望』に戻った。
だが改めてこの絵を見返したときに何かが変わった。それも正面よりも少し右側から見た瞬間、それは起こった。「ん?目が離せないぞ?」・・・この位置、絶妙に目が合うのだ。
静謐な動き。永遠の静寂。そんな言葉がふと浮かぶ。
でも、まさしくそれだ。
この絵を見ていると、ふとこの少女がこちらを振り向いたというのがよくわかる。
こちらを向いたその瞬間が完璧に切り取られている。さらに言えば、こちらを向こうとするまでの動きも見える。そして目があった瞬間!
永遠とは時間の静止のことなのか。
わからない。何か理解を超越した感覚がここにある。
そもそも、フェルメールの絵で背景が真っ黒というのが珍しい。
でも、この虚無の黒がよけい永遠というか、時間と場所の感覚を置き去りにする。
生きている。見れば見るほどこの少女が実在しているように見えてくる。
写真や画像よりもはるかに生きているように見える。何なのだこれは!
細かく見れば光の技法やその意味の観察などもできるだろう。『デルフト』のように。
だが、そうした部分部分の分析を吹き飛ばすような何かがある。
この絵は全体として観るべきものなのだ。
あそこはこうで、ここはそうした技法が使われているというような解剖的な見方が一切通用しない。
こういう見方があるのか・・・!いや、無理やりそこに引き込む恐るべき絵なのか・・・
まさしく引き込まれた。吸引力。そんな言葉が浮かんできた。
これはすごい!私はどうもフェルメールに関して随分と分析的な方向に傾いていたようだが、そんな観念を吹き飛ばす作品だった。「御託はいいからとにかく見ろ!感じろ!」そう言われたように感じた。
『デルフト』の素晴らしさは来る前から期待していたのである意味想定内であったが、『真珠の耳飾りの少女』にはとにかく驚かされた。

私は翌日もマウリッツハイス美術館を訪れこの少女をじっくりと鑑賞することにした。
やはり素晴らしい・・・!
ふとした瞬間。でも何かが通じ合う決定的な瞬間。
フェルメールはこの少女の魅力を決定的に感じ取った。
夫婦愛が強かったであろうフェルメールなので恋愛関係ではないと信じたいが、この少女の魅力がこの一瞬、まさしくその瞬間に通じたのだ。
だが、それにしても不思議だ。少し斜めから見た角度が一番魅力的。正面ではないのである。
右から見るとまさにこちらを振り向いたという動きが最も見える。だが正面より左だと動きが感じられない。ポーズを取るために静止しているように見える。
こちらを振り向く動きと、その瞬間を切り取った静止の描写。この動きと静止こそこの絵の一番の魅力だと思う。
あぁ、それにしてもこの背景の黒。黒の背景は日常を吹き飛ばす引力ということだろうか。
『デルフトの眺望』を描いた風景描写の達人があえてそれを描かない。背景を描かずに真っ黒に塗りつぶした。ここに大きな意味があるのではないだろうか。
この少女の振り向きの瞬間は特定の時間と空間を超越する。
文字通り、二人の視線がぶつかった瞬間、世界が吹っ飛んだのだ。
そして無限・永遠の吸引力がそこに存在する。
それがこの絵なのだ。ものすごい絵だこれは。
オリジナルを見るというのはやはり違う。
オランダまで来てこの絵を見れたのは私にとって本当に嬉しいものとなった。絵というものに対する考え方がまたがらっと変わった気がする。理解や分析を吹き飛ばすような絵があるということを知ったオランダでの体験であった。
続く
※追記1ラファエロの『聖母の小椅子』との共通点
『真珠の耳飾りの少女』の背景が黒であることの特異性についてこの記事ではお話ししましたが、これと似たような現象をひとつ紹介したいと思います。
それがこちらのフィレンツェ・ピッティ宮所蔵ラファエロ作『小椅子の聖母』になります。

私の敬愛するドストエフスキーもこの絵画の大ファンでしたが、まさにこの絵も背景が黒一色です。
この絵をしばらく見つめていると本当にマリアがそこにいるかのように感じられてきます。黒は無限の奥行きを感じさせます。そしてそこに浮かび上がってくるマリア。絵の丸い輪郭が本当にそこに空間があるかのような感覚にさせてきます。
特にイエスのあごの下の黒い空間が中心点の役割をしているのではないでしょうか。この奥に無限があるのです。マリアが無限の暗黒からこちらに飛び出てくるような動きすら感じてしまいます。画像で観るのと実際にオリジナルを目の前にするのではまるで違います。私はこの黒に衝撃を受けたのを今でも覚えています。
フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』と共通するものをこの絵から感じたのでありました。この時の体験は以下の記事で詳しくお話ししていますので興味のある方はぜひご参照ください。
※追記2オランダ・フェルメールゆかりの地を訪ねて
フェルメールについては彼の故郷デルフトを訪れた以下の記事や、私がフェルメールを好きになったきっかけとなった『デルフトの眺望』についての記事もおすすめです。ぜひ合わせてご覧頂けましたら幸いです。
光の画家フェルメールの素晴らしき絵画世界を堪能するためのおすすめ解説本
せっかくですのでフェルメールをもっと楽しむためのおすすめ本をここで紹介していきます。
フェルメールの絵画は予備知識がなくともその素晴らしさに心を奪われるものがありますが、知れば知るほどその味わいが増すのは間違いありません。
例えばですが、フェルメールは光の画家と呼ばれますがその所以となるのが彼の独特な筆のタッチにあります。

この記事でも紹介した『デルフトの眺望』ですが、この絵の真ん中付近にある黄色く輝く時計塔が見えると思います。
なぜこの時計塔がこんなにも光り輝いているのか、その秘密は間近で観てみるとわかります。

なんと、絵の具の点が物理的にぽっこり出ているのです。
フェルメールは光の粒を実際に粒として描いています。フェルメールの絵画は平面ではなく、物理的に立体的な作品でした。絵の具をちょんと乗せて小さな山を作っているかのよう。そしてこの絵の具の粒に光が当たると、まるで絵そのものが光っているように見えてくるのです。
これは複写や画像ではなかなかわかりにくいです。オリジナルを近くで観るからこそわかる立体感でした。
もちろん、これは『真珠の耳飾りの少女』も同じです。フェルメールの巧みな絵画技術がそこに施されています。ぜひ実物を観る際には注目してみてください。
ちなみにですが、こうした立体的な絵画といえば印象派絵画の巨匠モネの代表作『印象・日の出』も挙げることができます。


水面に反射したオレンジの光線は近くで観るとこのように描かれていました。適当にちょんちょんちょんと線を描いているだけのように見えるかもしれませんが、少し離れて観てみるとこの線がぼやけて周囲と完全に溶け込み、グラデーションを形成します。しかも絵の具の厚みによっても見え方が異なることをモネは計算しているのではないでしょうか。写真で見ると絵は平面ですが、オリジナルはまさにフェルメールと同じく立体だったのでした。
他にもフェルメール絵画の秘密はまだまだあります。
知らなければ知らないまま素通りしてしまうポイントかもしれませんが、一度知ってしまえば世界が変わるほど見え方が変わります。
彼の絵の背景が見えればもっともっとフェルメールのことが好きになることでしょう。私もドはまりでした。
以下の本はそんなフェルメールの秘密を知れるおすすめ本です。2026年に14年ぶりの来日が決定した『真珠の耳飾りの少女』の予習として活用して頂けましたら幸いです。
それぞれのリンク先ではより詳しい本紹介をしていますので、気になる本があればぜひお気軽にご参照ください。
小林賴子『もっと知りたいフェルメール 生涯と作品』

この本ではフェルメールの生涯と作品たちのわかりやすい解説を聞くことができます。
この本で特にありがたかったのはフェルメールが活躍した17世紀オランダの時代背景も詳しく知ることができる点でした。
この時代のオランダ社会は、当時芸術界の中心だったローマとはまったく異なる様相を呈していました。
その社会事情の違いがオランダ絵画に独特な発展をもたらすことになります。その流れがとても面白く、一気に読み込んでしまいました。
ひとつひとつの作品解説も詳しくなされますので自分の好きな作品をじっくり見ていけるのもありがたいところです。
この本は入門書として非常におすすめです。なかなか知る機会のないオランダの時代背景も学べてとても刺激的な一冊でした。
『中野京子と読み解く フェルメールとオランダ黄金時代』

この作品はフェルメールの絵だけでなく、ほかの画家による絵も参考にしていくところも特徴的です。
フェルメールだけでは見えてこない世界も知ることができますし、それぞれの画家の特徴を比べてことができるのも嬉しいです。やはり比べるからこそ見えてくるものがあります。
そして何より中野京子さんの語りです。もうさすがの一言!とにかく面白い!絵の解説に加えて時代背景や当時の出来事が語られていくのですが、面白くてあっという間に読み終わってしまいました。これは素晴らしい本です。読みやすさも抜群です。
ローラ・J・スナイダー『フェルメールと天才科学者』

この本は最高です!私の2022年上半期ベスト3に入る作品と言っても過言ではありません。
とにかく面白い!こんなにわくわくさせてくれる本にはなかなかお目にかかれるものではありません。
フェルメールといえば光の粒が感じられるような独特な画風が特徴的です。
この「光」を絶妙に捉えるフェルメールの技術はいかにして習得されたのか、そしてその技術は当時の世界においていかに革命的だったのかということをこの本では見ていくことになります。
後世を生きる私たちは当たり前のようにこの絵を観てしまいますが、フェルメールが見ようとしていた世界がいかに時代の最先端をいくものだったかをこの本で知ることができます。
著者のローラ・J・スナイダーは当時の時代背景や宗教事情と絡めてフェルメールのことを語っていきます。これがすこぶる面白い!「え!?そうなんだ!!」ということがどんどん出てきます。
フェルメールをはじめとしたオランダ絵画がいかに当時の時代背景と結びついていたかがよくわかります。フェルメールがいかに巨大な革命を起こしたかには驚くしかありません。
この本の面白さをぜひ皆さんにも体感して頂きたいです。フェルメールファン必読です。きっともっとフェルメールを好きになります。
またフェルメールにあまり関心がなかった方にもぜひおすすめしたいです。フェルメールってこんなにすごかったのかと驚くと思います。
そしてさらに言えば、宗教や文化に興味のある方。そのような方にもぜひおすすめしたいです!
というのも、この本では従来のキリスト教的世界観と全く異なる世界の見方をしたフェルメールとレーウェンフックが語られます。

世界は絶対神が創造したと考え、目に見えない世界など想像だにもしていなかった社会です。そんな中レーウェンフックは顕微鏡で微生物を発見し、人間の肉眼では知りえない世界を提示しました。


フェルメールも人間の視覚の仕組み、つまり光の原理を探究しました。
これはコペルニクスやガリレオ・ガリレイ、ニュートンなどとも繋がってきます。
世界が中世から近代へと移っていくその過度期の流れを知ることができる驚きの作品です。何度も言いますがこんな刺激的な作品にはなかなかお目にかかれるものではありません。
ぜひぜひおすすめしたい作品です。
宮下規久朗『フェルメールの光とラ・トゥールの炎―「闇」の西洋絵画史』

この作品は書名にありますように、光の画家フェルメールの美しい絵画がいかにして生まれてきたのかということを「闇」を切り口に考えていく作品になります。
この本のもう一人の主要人物ラ・トゥール(1593-1652)はフランスの画家で、「夜の画家」と呼ばれる巨匠です。

窓から差し込む美しい光を描いたフェルメール。それに対し闇を照らすろうそくの火を描いたラ・トゥール。
この2人の対比はそれだけでも興味深いですよね。
そしてさらに興味深いのはこうした「光と闇」の探究はあのレオナルド・ダ・ヴィンチにも繋がっていくという点でした。
ダ・ヴィンチが確立した「闇と光」の描写技法。
そしてそこからさらに時代を経て登場してきたのがイタリアの画家カラヴァッジョ(1571-1610)になります。

暗闇の中へ強烈な光線を差し込ませることでドラマチックな構図を完成させたカラヴァッジョ。
カラヴァッジョについては以前紹介した上の記事でもお話ししましたが、西洋絵画の歴史において決定的な働きをした人物であります。
そしてそれが巡り巡ってフェルメールの光の描写に繋がっていきます。絵画の歴史も繋がっているのだなということを感じられるのがこの『フェルメールの光とラ・トゥールの炎―「闇」の西洋絵画史』という一冊です。これは面白い本でした。
ぜひぜひおすすめしたい作品です。
朽木ゆり子『フェルメール全点踏破の旅』

この作品はジャーナリスト朽木ゆり子さんが世界中に散らばるフェルメール作品を訪ねた旅行記です。
朽木ゆり子さんはフェルメールの専門家ではなく、ジャーナリストです。ですがジャーナリストだからこその視点でフェルメールを見ていくという点にこの本の面白さがあります。
「美術史家による精緻な研究は確かに刺激的だが、ジャーナリストとしての私はそれとは少し別の視点を持っていることをつけ加えておきたい」
著者がこう述べるようにまさにこの本では「ジャーナリスト朽木ゆり子」としての視点からフェルメールを見、旅を続けていきます。
『自分はどういう視点から「それ」を見ていくのか』
これはあらゆることにおいて非常に重要な問題だと思います。
私もフェルメールを見るときは「僧侶、宗教者として」彼の作品やその歴史を学んでいます。
私がフェルメールに関心があるのは絵そのものの美しさはもちろんなのですが、やはりその背後にある歴史、思想、時代背景、特にキリスト教的文脈がどうしても大きな眼目になっていきます。
フェルメールを学んでいると従来のキリスト教世界から近代的な世界へのちょうど過度期の雰囲気を感じることができます。私にとってはそれが何よりも興味深いのです。
宗教的な世界観から科学的な世界観へ。
こうした宗教の興亡の問題が私にとってフェルメールを見る視点となっています。
この本はジャーナリストによる旅行記ということで、現地の様子やフェルメール絵画のポイントが非常に読みやすくまとめられています。フェルメールの専門家ではないからこその率直な見解を聞くことができるのもありがたい点です。
旅行記としても素晴らしい作品ですし、フェルメール入門書としてもおすすめしたい作品です。
小林賴子『フェルメールとそのライバルたち 絵画市場と画家の戦略』

この作品はフェルメールが活躍した17世紀オランダの美術市場から彼を見ていこうという異色の作品です。
絵画の本と言えばその絵の特徴や魅力を解説していくのが普通ですが、この本では当時のマーケットからフェルメール作品の特徴に迫っていきます。また、彼の同時代のライバルたちとのつながりからもフェルメールを考えていきます。
いつもとは違った視点からフェルメール絵画を考えていけるのでこれは非常に刺激的な1冊でした。
私たちは「芸術品」というと「時と場所を超越した圧倒的なもの」というようなイメージを持ってしまいがちですが、その「芸術品」もある時代の影響の下生まれてきたものになります。その時代背景を離れて生まれることはできなかったのです。そしてこれは逆に言えば、時代背景を知ることでもっとその作品のことを知ることができるということにもなります。
フェルメールの生きた17世紀オランダは特に独特な時代背景がありました。この時代のオランダの興亡史は非常に刺激的で興味深いです。1600年代といえば日本なら江戸幕府が始まった頃です。そんな時代にオランダでは巨大なマーケットが存在し、高度な経済活動を行っていた。これには驚くしかありません。
この本のタイトルにありますように、フェルメールとそのライバルたちとの関係性も非常に興味深いものがありました。絵画そのものを楽しむだけでなく、時代背景や歴史も感じながら読むことができたのでとても楽しい読書になりました。
やはり様々な視点から見ていくのは面白いですね。絵画を市場経済の観点から見ていけるこの作品はとても貴重なものだと思います。ぜひおすすめしたい作品です。
F・ステッドマン『フェルメールのカメラ 光と空間の謎を解く』

この作品はタイトルにもありますように、フェルメールが用いたカメラ・オブスクラという光学機械について書かれた作品です。


フェルメールとカメラ・オブスクラの関係についてはどの本でも書かれてはいたのですが、実際にそのカメラ・オブスクラがどういうものなのか、どのように使われていたのかというのはイマイチわかりにくいというのが正直なところでした。
そんな中この『フェルメールのカメラ 光と空間の謎を解く』はかなり詳しくカメラ・オブスクラについて知ることができます。図や写真も多数掲載されていますし、画家がこの機械をどのように使っていたかというのもわかりやすく説かれます。これはありがたいことでした。
フェルメールが用いたこの光学機器についてより知りたい方にはぜひおすすめしたい作品となっています。
ジャン=クレ・マルタン『フェルメールとスピノザ〈永遠〉の公式』

この本はオランダの画家フェルメールと哲学者スピノザの驚くべき関係に迫った作品です。

スピノザといえば、名前は聞いたことがあってもいざこの人物が何を述べた人物であるかはなかなかわかりませんよね。私もその一人でした。そもそも彼がどこの国の出身なのかすら知りませんでした。
私がこの本を手に取ったのはフェルメールについて何か面白そうな本はないかなと探していた時にこの本が目に留まったからでした。
フェルメールと哲学者のスピノザという謎の組み合わせ。これはどういうことなのだろう。
そんな疑問が私の中に生まれ、興味が湧いてきたのでした。
そしてこの本を読んでみて驚いたことに、なんとフェルメールとスピノザは1632年という同じ年にオランダに生まれていたのでした。
しかもスピノザは哲学者でありながらレンズ磨きで収入を得ていたという事実も語られます。レンズ磨きといえば上でも紹介したレーウェンフックが有名です。
フェルメールとレーウェンフックのつながりは上でも紹介しました。
フェルメールはカメラ・オブスクラという光学機械を用いて光を、レーウェンフックは自作の顕微鏡で肉眼では見えない世界を探究していました。
二人に共通するのは当時最先端の技術である高性能レンズを用いて研究をしていたということです。しかもこの2人も1632年生まれで、さらにはデルフトという同じ街で住んでいたという接近ぶり。
つまり、フェルメール、レーウェンフック、スピノザという同い年トリオは「レンズ」という同じ道具を通して繋がっているのです。
さらにスピノザが磨いたレンズをレーウェンフックが使用していたという説や、スピノザがフェルメールに手紙を書いていたという説もあります。
名前しか聞いたことがなかったような哲学者がまさかここでフェルメールやレーウェンフックと繋がってくるとは!これには私も驚きました。
17世紀のオランダの歴史の面白さに私はのめり込んでしまいました。この時代のオランダは世界の歴史や宗教を考える上で非常に重要なことを確信しました。これは刺激的な一冊です。
他にもおすすめしたい本はありますが、この記事ではここまでとさせて頂きます。
興味のある方は以下のまとめ記事にてより詳しく紹介していますのでご参照頂ければと思います。
2026年に『真珠の耳飾りの少女』が来日するというのはとてつもないビッグイベントです。この名画をぜひ心行くまで楽しみましょう。この記事が少しでもお役に立てましたら何よりでございます。
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