Crosby, Stills, Nash & Young / 4 Way Street (1971)
ロック史上屈指の”スーパーグループ”であるCSN&Yの集大成にして最高潮のライブ盤。
1970年6月〜7月にニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴでレコーディングされた本作は、実際のライブ同様に前半のアコースティック・サイドと後半のエレクトリック・サイドに分かれている。
また、キャリアを総括したベスト盤的な選曲ではなく、各メンバーが書いたフェイバリット・ソングを(各自の前身バンドやソロ・アルバム収録曲、アウトテイクも含め)集めているのも特徴的。
4人(+リズム隊)のバンド・サウンドというよりは、このバンドの根底にある4人の才能がそれぞれに枝葉を広げ、ときに個々の間で火花を散らせる形で、タイトルのとおり”四者四様”の道を行く。
特にスティルス&ヤングの「元バッファロー・スプリングフィールド組」のバチバチのギターの掛け合いや、アコースティックな楽曲での味わい深い表現技巧は素晴らしい。
ニール・ヤングにとっては、CSN&Yの名盤「Déjà Vu」から本作を経てソロの名盤「After The Gold Rush」(制作順)と、まさに最初の黄金期の到来を告げている。
ウッドストックやフラワー・ムーブメント、ベトナム戦争、公民権運動などアメリカの大きな転換期において、4人の大きな才能が時代の陰陽や盛衰を表すかのように美しく力強く鳴らした深く濃厚なロック(これこそアメリカン・ロック!)は本作で一つの到達点を迎えている。
以下、オリジナル盤収録曲についての所感も。
<Side A>
①Suite: Judy Blue Eyes
スティルス作。肩慣らし的な演奏からニール・ヤングが紹介され、次曲に続く。
②On The Way Home
ヤング作。哀愁漂う美しいメロディとヤングの切なくか細いヴォーカル、繊細なアコースティック・ギターとコーラスが光るバッファロー・スプリングフィールド時代末期の名曲。
③Teach Your Children
ナッシュ作。60年代フォークの雰囲気が残る穏やかな名曲。観客に呼びかけながら、美しいハーモニーを紡ぐ。
④Triad
⑤The Lee Shore
2曲ともクロスビー作。④はクロスビーがザ・バーズ在籍時に書いた楽曲。どちらも静謐な演奏に力強く伸びやかな歌声がよく映える。
⑥Chicago
ナッシュ作。71年のナッシュのソロ・デビュー・アルバムからのデビュー・シングルのためライブ時点では新曲だったと思われる。
<Side B>
①Right Between The Eyes
ナッシュ作。牧歌的な雰囲気の和やかな楽曲。冒頭の演奏をミス(?)してやり直す様子も収録されている。
②Cowgirl In The Sand
ヤング作。クレイジー・ホースと組んだソロ2作目に収録されたハードなギター・ロックだが、ここではアコースティック・ギター弾き語りでヤングが哀しげな歌声を聴かせ、オリジナルでは激しい演奏の影に隠れがちだったメロディ・ラインの美しさが際立っている。
③Don't Let It Bring You Down
ヤング作。当時リリース直前だったソロ3作目「After The Gold Rush」からのメロディもギターもヴォーカルも哀切で美しいフォーク・ロック・ナンバー。
④49 Bye Byes / America's Children
スティルス作。今度はヤングの紹介から、スティルスのヴォーカルとピアノがときにしっとりと、ときに力強く響き、会場を大いに沸かせている。
⑤Love The One You're With
スティルス作。軽やかなギターとコーラスが全体を牽引するフォーク・ロック。CSN&Yのライブでは以前から演奏されていたようだが、その後リリースされる彼のソロ・デビュー・アルバムにも収録されている。オリジナル盤では「アコースティック・サイド」はここまで。
<Side C>
①Pre-Road Downs
ナッシュ作。ここから「エレクトリック・サイド」に入る。幕開けはタイトかつ広がりのあるバンド・サウンドが開放的な空気を生み出すアメリカン・ロックから。
②Long Time Gone
クロスビー作。ゴリゴリとしたギターが切り込んでいくブルース・ロック。おそらくヤングによる泣きのギターも最高で、全体的にヤングの作風っぽく感じられる。
③Southern Man
ヤング作。こちらも「After The Gold Rush」に収録された言わずと知れたヤングを代表するギター・ロックの名曲。強力で鋭利でイマジネーション豊かなギターの応酬を、ここでは実に14分に迫る長尺で聴かせる圧巻のパフォーマンス。CSN&Yの4人(特にヤングとスティルス)の間の緊張感が、緊迫感のある演奏に見事に結実した好例。
<Side D>
①Ohio
ヤング作。社会問題を取り上げたメッセージ性の強い楽曲であり、言葉をも追い越すようにヤングのギターが鋭利に尖りまくり冴え渡る。こちらも圧巻の名演。
②Carry On
スティルス作。「Déjà Vu」のオープニング・トラックから。ここでは14分超のロング・ランの中で、リズム隊を含む各パートの演奏のせめぎ合いが止まらない。スティルスのヴォーカルはやや精彩を欠いているかも。
③Find The Cost Of Freedom
スティルス作。最後は祈りを込めたような美しい楽曲で厳かに幕を閉じる。
7月4日。アメリカ独立記念日。建国250周年だそうな。
だからといって個人的に何かあるわけでもないけれども、なんとなくアメリカのバンドを取り上げたい気分になり、これを選んでみた。
結果、なんだか時宜的にも良い感じの選曲(選盤?)になって満足。
上に書いた関連作品のうち、すでに取り上げていたものを一応貼り付けておこう。
今日は日中に陽射しをたっぷり浴びてぐったり。ゆっくり眠ってのんびり休もう。
