んの魔法 | 長編小説 | 第3章 スポンのルール(第6話)
ンタンタンによると、この本は“僕の心の本”なのだそうだ。そう言われると、他人に見られるのはちょっと怖い。
これは、言葉と記憶と心をつなぐ、僕の再生の物語。
始めから読む方はこちら → 序章 海辺のバス停(第1話)
前回のお話はこちら → 第3章 スポンのルール(第5話)
本編はここから
「まあまあ、うまくいったようじゃな?」
「お師匠は、この世界のものだったら、だいたいスポンできるニャ。」
何故か、マフが自慢げにそう言った。
「スプーンはどこへ行ったの?」と僕。
「この中じゃ。」
と、ンタンタンが指さした本のページの中には、スプーンの絵が鮮やかに描かれていた。それを見て、何故だかわからないけど、ちょっとスッキリした気分になった。
何かのトリックなのかな?
“すっぽんぽん!”で本の中に“スポン”と音を立てて、入ってしまうなんて、魔法以外に考えられない!
「え?なんで?」
僕は思わず、本に描かれたスプーンをぺたぺたと触ってみたけど、サラサラとした紙の感触しか感じなかった。
「これはトリックなんでしょう?」と僕が聞くと、
「トリックとは奇術のことかのう?それとは、ちと違うな。
スポンの本は“心の本”なのじゃからな。
いわゆる“本心”(ほんしん)なのじゃ!」
「寒いギャグみたいニャ!」
「えっと、…ダジャレ?」
「寒いとはなんじゃ~!」
ンタンタンは、長いピンとしたお鬚の先をツンツンしながら、ドヤ顔でそう言ったのだが、マフと僕は言葉に詰まってしまい、シーンと辺りに冷たい空気が流れたのだった。
心の本が“ほんしん”とは、本当の心って意味で言ってるのかな?
だけど、入れてしまったスプーンはどうなるのだろう…?
ンタンタンは、しばらくの間は、極上のネタが滑ってしまって、プンプンしていたのだが、マフの入れたミルクティーを飲んで少し落ち着いてから、スポンのルールを説明し始めた。
スポンのルールは単純だった。
1. 終わりに「ん」のつく名前の物は、吸い込む事ができる
2. 呪文は「エッヘン、オッホン、スッポンポン!」
3. 白紙のページに入れることができるが、絵のあるページには入れられない。
4. ただし、呪文を唱えないでスポンをすると危険
「ちょっとやってみるか?」と、ンタンタンが僕に言った。
「うん。やってみる!」

※登場人物「んたんたん」の表記を「ンタンタン」に変更しました。物語の世界観により沿うための調整です。過去話も順次修正しております。
次は、第4章 初めてのスポン(第7話)につづきます。
「ん」の魔法 ~深淵の本と心の夜明け~ の固定ページはこちら → いらっしゃいませ!お茶ですか?それともお話ですか?
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