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女風は「心のサプリメント」か?2年半の現場で出した、私の答え

「女風って何の意味があるんですか」

そう聞かれたことがある。
お客様からではなく、知り合いから。

以前、私がホームページを作ったメンズエステのセラピストさんがいて、最初は仕事の打ち合わせで会っていたのが、制作が終わった後もなんとなくLINEが続いた。

業界の話やセラピさんの相談を聞くようになった。ある日、私が女風についての話しをしたき、彼女はこう返してきた。

  • メンエスとどう違うんですか?

  • 結局体触って終わりじゃないんですか?

悪意のある質問ではなかったと思う。
近い立場からの率直な疑問だった。

でも私はあのとき、うまく返せなかった。

「癒しです」と打てば嘘ではないけれど足りない。
「性的なサービスです」と打てば嘘ではないけれどそれだけじゃない。

結局「うーん、ちょっとまとまらないです」とだけ返して、会話はそこで流れた。

2年半経った今も、一言で答えられる気はしていません。

ただ、あのときよりは少しだけ、自分の中に言葉が増えた気がしている。

今日はその話を書きます。

「変わった」と言われるとき何が変わっているのか

私のところに来てくれた方が、しばらくしてからこう言うことがあります。

「なんか、変わった気がする」

何がどう変わったのか、最初はうまく言えない人が多い。

体重が減ったわけでも、肌がきれいになったわけでもない。
生活が劇的に好転したわけでもない。

でも「変わった」と感じている。

何十人もの方と話を重ねてきて、その「変わった」の中身を聞いていくと、共通するものに気づきました。

  • 好きなことを、前より沢山するようになった、という人がいる

  • 美容に少しだけ力を入れ始めた、という人がいる

  • 急に筋トレを始めた、という人もいた

  • 行動範囲が広がった、という人もいる

  • 週末に遠出するようになった

  • 服屋の店員さんを雑談できるようになった

  • SNSで大声を出している人のことを前ほど気にしなくなった

  • 誰かの強い言葉に自分が揺さぶられなくなった

どれも派手ではない。地味な変化です。

でもそれぞれに共通しているのは、「自分の欲しいものを、自分で取りに行くようになった」ということだった。

誰かに丁寧に触れてもらった経験が、「自分のために動いていい」という感覚を呼び覚ましている。

私が2年半かけてたどり着いた仮説は、こうです。

変わったのは体じゃなくて、「こんな自分でも、自分の欲求を前面に出してもいいんだ」という許可だったんじゃないか。

  • 欲しいものを欲しいと言っていい。

  • 自分のために時間を使っていい。

  • 自分が気持ちいいと感じることを追いかけていい。

私の前に来る方の多くは、その許可を自分に出せなくなっていた人たちです。

家族のため。
仕事のため。
子どものため。
パートナーのため。

誰かのために生きてきた時間が長すぎて、「自分の欲しいもの」を口にすることすら贅沢に思えてしまっている。

その人たちが、2時間だけ、私と過ごす。

何も求められない。
何も評価されない。

ただ、自分が気持ちいいと感じることだけに集中していい時間。

その2時間が、翌日の筋トレを始めさせたり、週末の遠出を決めさせたりする。

「心のサプリメント」で止まっていいのか

「女風は心のサプリメントみたいなものだ」

私は、そう思うことがあります。

足りない栄養を補う。
定期的に摂取する。

医薬品ではないけれど、なんとなく元気になる。

この感覚は、半分くらい合っていると思う。

でも半分は違う、とも感じている。

サプリメントは飲み続けるものだけど、女風は飲み続けるものじゃないと思っている。

「卒業」していった人たちのことを、別の記事で書きました。

パートナーができた人、自分で自分を満たせるようになった人。いろんな理由で、来なくなる人がいる。

私は、それが正しいと思っている。

ずっと通い続ける場所ではなくて、いつか手放せる場所であってほしい。

そう思ってこの仕事をしています。

だから「心のサプリメント」と言い切ることには少し抵抗がある。

サプリメントは止めたら元に戻るものだけど、ここで受け取ったものは、止めても残っていてほしいから。

じゃあ何なんだ、と自分で自分に聞いてみても、ここが難しい。

「心のリハビリ」と言えば医療っぽくなりすぎる。
「自分を取り戻す時間」と言えばきれいごとすぎる。

うまい言葉が見つからないまま、2年半が経ちました。

ここで一回、話が逸れます。

LUNA SEAの真矢さん

今年の2月に、LUNA SEAの真矢さんが亡くなった。

私にとってLUNA SEAはずっと好きなバンドで、真矢さんのドラムは何度も体に浴びてきた音です。

真矢さんのドラムは、耳じゃなくて胸と腹に来る。
静と動でフロアの空気ごと揺らすようなドラムだった。

ミレニアムイブの東京ドーム、GLAYとの対バン。
あれを観に行ったのが、私にとって最後に浴びた真矢さんのドラムでした。

正確にはその後のルナフェスの2Days、ドラムをプレイする姿は見れなかったけど、生の真矢さんを見たのはルナフェスが最後。

あの振動がもう生まれないと知った時は悲しかった。
音源は残っている。
映像もある。

でも、あの「生身の振動」がもう浴びられないという事実が、胸のどこかにずっと刺さっていた。

でも、ドラムを浴びた記憶は消えていない。
あの振動に体ごと持っていかれた感覚も消えていない。

触れたものは消えない。
体が覚えた感覚は残る。

女風も、同じだと思う。

2時間の温もりは2時間で終わる。
でもあのとき体が覚えた感覚はもう少しだけ長く残る。
好きな人や、尊敬する人の温度。

それを何と呼ぶのかは、まだわかりません。

現代の孤独と、私がやっていること

この仕事を始めてから、「孤独」という言葉の意味が変わりました。

「ひとりで寂しい」という孤独だけじゃない。

  • 家族がいるのに孤独な人。

  • パートナーがいるのに孤独な人。

  • 職場に人がたくさんいるのに孤独な人。

ひとりの夜が続くとき、知っておいてほしい場所がある、という記事を以前書いたのは、そういう人たちのことを考えたからです。

私のお客様のうち、「完全に一人暮らしで独身」の方は、だいたい4割くらい。残りの6割は、誰かと暮らしている。夫がいる。子どもがいる。彼氏がいる。

でも、「触れられていない」

物理的に一緒にいるのに、肌に触れてもらえない。話を聞いてもらえない。自分のことを見てもらえない。

その孤独は、ひとりの孤独よりきつい場合がある。

私がやっていることは、その孤独を解決することではありません。

2時間で誰かの孤独が解決するなら、この世にカウンセラーも精神科医もいらない。

私がやっていることは、たぶん「あなたは自分の欲求を持っていい人間だ」ということを、言葉ではなく体で伝えることなんだと思う。

それは解決ではないけれど、意味がないとも思わない。

終わった後に虚しくなる人の話も書いたし、120分の中で繋がったと感じる瞬間の話も書いた。全部、私が現場で実際に感じたことです。

2年半で、正解にはたどり着いていません。

ただ、この仕事を始める前よりも、「人が人に触れること」の意味を少しだけ深く考えるようになった。それは確かです。

今の時点での、私の答え

冒頭の問いに戻ります。

「女風って何の意味があるんですか」

2年半やってきた今の、私の答えはこうです。

こんな自分でも、欲しいものを欲しいと言っていい。そう思える場所。

  • 触れてもらっていいと感じる体験。

  • 泣いてもいいと知る時間。

  • 自分のために2時間を使うことに罪悪感を持たなくていいと気づく場所。

これが全員に当てはまるとは思っていません。
来てみて「違ったな」と思う人もいるはずだし、それは全然普通のことです。

でも、来てくれた人の中に、確かに変わった人がいた。

派手じゃない、地味な、でも本人の日常を静かに動かしていくような変化。

その小さな変化を、私は意味がないとは思えない。

だから、私はまだこの仕事をしています。

もし、会いに来てくれたとしたら

最後に、少しだけ想像してみてください。

この記事を閉じたあと、あなたがLINEを送ってくれたとします。

下書きを何度か書き直して、やっと送信ボタンを押す。
そういう人を、私は何人も見てきました。

すぐに予約ができるとは限らない。
私は月に2〜3日しか稼働していないのでペースはゆっくり進みます。

でも、いつか予約の日が来ます。

当日、待ち合わせの駅の改札口で、あなたは10分くらい早く着いている。

スマホを何度か見て、人の流れを眺めて、小さく息を吐く。

私も同じくらいのタイミングで着いて、あなたを探します。

目が合ったとき、あなたはたぶん会釈とも笑顔ともつかない表情をする。

それで大丈夫です。
私も特別なことは言いません。

「こんにちは」
「今日はよろしくお願いします」

それだけ。

歩きながらするのは、これまでのLINEの話を振り返ったり、来るまでの緊張とか気持ちとかその程度。

盛り上げようとはしません。
そういうのが苦手な人が多いことを、私は知っているので。

部屋に入ってからも、急ぎません。
荷物を置いて、上着を脱いで、一息つく時間がある。

私はその間、飲みのもを用意したり、少し離れて声を掛けたりします。

何かしなきゃ、と思わなくていい。
会話が途切れても、焦らなくていい。

2時間のうち、最初の15分は、あなたが「ここにいていいんだ」と体で理解する時間になります。

肩の力が抜けて、呼吸が深くなる瞬間が来る。
そこからやっと、何かが始まる。

触れ方の話は、ここでは書きません。
それは当日の、あなたの空気を見て決めます。

帰り道、あなたは来たときと少しだけ違う自分で、改札をくぐるかもしれません。

虚しくなるかもしれないし、翌朝、体が軽いと感じるかもしれない。どちらになるかは、私にもわかりません。

ただ、2年半やってきて私が見てきたのは、こういう時間です。
派手じゃなくて、静かで、でも確かに何かが残る時間。

それを、あなたにも渡せたらと思っています。

あなたのペースで、来てください。

私はここにいます。


ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

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