「心と言葉のグローバル日英作文」(18)【コラム】文体の修正は「納得してあきらめる」ことが解決策
(↑のつづき)
私たちが英文をつくる際にどうしても気になってしまうのが、つくりだした英文の文体としての良し悪しではないでしょうか。
幼稚な表現になっていないか、洗練度が足りないのではないか、読み手を惹きつけるだけの魅力はあるのか、面白みがないのではないか、などなど、さまざまな思いが心のなかを駆け巡ります。
日本語であればそれなりの判断もつくのですが、なにしろ英語ですから、その判断もうまくつきません。
不安が不安を呼び、よりよき文体を目指して延々と修正に修正を重ねていく、そして最後にできた英文は、とんでもなくいびつなものになってしまった、などといった事態も生じます(これ、私の実話です)。

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たとえば
「なんで、そうなるの?」
という日本語は非常にくだけた文体の日本語ですね。
それに対して
Why did this happen?
というのは、一般的な文体の英文です。
そこに文体としてのギャップを感じて、なんとかして埋めようとさまざまな英文を考えはじめると、あっというまに時間が過ぎていき、結局のところ成果が何も得られない、という事態に陥りがちです。

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問題は、こういう事態を避けるために私たちはどうするべきか、です。
もちろん、洗練された魅力的な文体や、おもしろい文体の英文をつくれるようになるために努力することは必要でしょうが、それは努力目標であって、解決策ではありません。
解決策は、洗練された魅力的な文体や、おもしろい文体の英文をつくることを「きっちりとあきらめる」ことです。
そう、納得してあきらめることこそが解決策です。
そうした文体の英文づくりは日英翻訳のプロ中のプロにまかせておきましょう。
私たちは第二言語としてのグローバル英語の使い手なのですから。

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では、洗練された魅力的な文体の英文をつくることを「きっちりとあきらめる」ことが、なぜ可能なのでしょうか。
それは
第二言語としてのグローバル英語としてみると、文体が持っている言葉としての優先度が思考や情報構造に比べると相対的にみて低い
からです。
「心と言葉モデル」では、言葉の機能を、思考(命題)、情報構造、モダリティ、文体という4つの領域、およびその4領域には収まりきれないものとに分けています。
以下に「心の構造」の項で示した図をもう一度載せておきます。

思考(命題)、情報構造、モダリティ、文体という4つの領域はそれぞれが言葉の機能の一部を担っているのですが、第二言語としてのグローバル英語では、そのなかで「思考」の機能が最も重要であり、「情報構造」がそれに続いて重要であるとの立場をとっています。
なぜなら、上段にあるこの2つの機能は言語の枠を超えてユニバーサルに機能することができるからです。
一方で下段の「モダリティ」「文体」は思考や情報構造ほどユニバーサルなものではなく言語の違いや個性の違いによってその機能は大きく異なってきます。
そのため異言語間での対応が非常に難しく、くわえて個々人によってその評価も違ってきます。
こうした機能特性と学習上の問題からみて、私たちにとっては英語の文体の優先度は命題と情報構造よりも相対的に低いと考えることは決して無理ではないでしょう。
もちろん、優先度が低いからといって、幼稚な英文や洗練されていない英文を平気でつくっていいというわけではありません。
しかし文体に過度にこだわるあまりに延々とひとつの英文をいじくりまわすことには意味がありません。
きっちりとあきらめて、別の領域の改善にエネルギーと時間を使うべきです。
(つづきは↓)
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