成瀬由紀雄の問わずがたり:日本の英語教育はなぜ進歩しないのか(1)「西洋かぶれ」が元凶!
(↑のつづき)
キーセンテンスとか、パラグラフ・リーディングとか言う言葉がなぜカタカナのままで横行しているかというと、これはアメリカの学生に対する速読の訓練法を直輸入してきたからなんだ。
英語の本場であるアメリカで通用している方法が間違っているはずはない、それを日本の学生にやらせてまずいはずはない、というのが、速読主義者の信念を支える大前提で、それが彼らの自信になっているわけだよ。(略)
日本の英語教育は昔から、英米で通用しているというだけの理由で色々な方法を上から押しつけられたり、西洋かぶれで分かりもせずにお先棒をかつぐ、声だけ大きい人に毒されたりしてきたんだけど、これもその一例だと思うね。
(注:本論は2010年6月に執筆した)
数十年を経て英語教育の世界に戻ってみて強く感じているのは、日本の英語教育の業界の、あまりの進歩のなさである。
この20年間で世界は激変した。ところが、日本の英語教育をみてみると、なにも変わっていない。
これは、いったいどうしたことなのか。
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最初に引用した伊藤和夫のコメントは、速読についての質問に答えたものだが、その内容は速読というよりも、日本の英語教育全体に対するものになっている。
たしかに日本の英語教育の進歩のなさは、あまりにひどい。
他の分野では、西洋の影響を強く受けながらも、日本の伝統と融合させることで世界に冠たる実力を身につけていったケースが多々みられる。
そうしたなか英語教育については、なぜこれほどまでに進歩しないのか。
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原因のひとつは、科学や産業の世界とちがって外国語教育の分野では欧米からの輸入した知識や技術のレベルが低く、現場で有効とならなかったことにあるのではないかと私は思う。
科学にしても産業にしても、この百数十年にわたって欧米のレベルはきわめて高く、日本が見習うに十分値するものであった。
だが外国語教育という分野は、はたしてどうだろうか。
英米人自身の外国語能力をみてみると、イギリス人のなかで外国語がよくできるひとは限られている。一般のアメリカ人の外国語能力の低さは世界的に有名である。
そうした国で開発された外国語教育手法が、日本のような異質な文明国でそのまま通用すると考えるほうが、おかしいのではないか。
ところが日本の英語教育界はそうした前提を完全に無視して、伊藤のいうように「英米で通用しているというだけの理由で」英語教育の理論や手法を直輸入し、それをそのままのかたちで導入してきたのである。
さらには「西洋かぶれで、分かりもせずにお先棒をかつぐ、声だけ大きい人」が、たくさんいたものだから、事態はさらに悪化した。
これが、日本の英語教育がうまくいっていない第一の原因ではないかと私は見ている。
(つづきは↓)
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