心と言葉の日本語文法(43)命題、対事的モダリティ、対人的モダリティ
(↑のつづきです)
私たちが日本語を通じて認識し、思考し、表現するとはどういうことか。
それを考える前提として、日本語が持っている働き(機能)について考えてみたい[1]。
「心と言葉のグローバル日本語文法」では言葉の働き(機能)として
1.命題/叙述内容 (認識・思考)
2.対事的モダリティ (判断・態度)
3.対人的 モダリティ (伝達)
という3つのカテゴリーを設定している[2]。
以下、それぞれの機能について説明する。
命題/叙述内容(認識・思考)
私たちは、言葉を使ってこの世界を認識し、さまざまなことを思考する。
言語において客体として表現されたこうした「認識や思考のまとまり」のことを「命題/叙述内容」と呼ぶ。
対事的モダリティ(判断・態度)
「認識や思考のまとまり」としての「命題」やその構成要素に対して、私たちは、それがどのような機能や意味を持つのかを主体的に判断し、それに対する態度を決める。
このような「命題/叙述内容」とその要素に対する主体的な判断・態度のことを「対事的モダリティ」と呼ぶ。
対人的モダリティ(伝達)
「命題/叙述内容」「対事的モダリティ」をその場のコミュニケーションの相手側に伝えるうえでの伝達のあり方(丁寧/非丁寧、敬意/非敬意、他)のことを「対人的モダリティ」と呼ぶ。
私たちは、みずからの思考や判断や態度を言語として表現するとき、この3つの機能を一体的に利用している。
命題/叙述内容(認識・思考)、
対事的モダリティ(判断・態度)、
対人的モダリティ(伝達)
の3つのアプローチがそろってはじめて、私たちはさまざまな事象に対するみずからの心の動きを十分に言語化し、他者と共有できる。
[1] なお、「言葉の働き(機能)」については古今東西でさまざまな主張がなされ、さまざまな理論が構築されているが、ここで紹介する機能分類は私の考えによるものである。
とはいっても言葉の機能に関する私の考えがその他一般の理論・主張とまったくかけ離れたものではないのは当然のことである。
ただ私がつくった「心と言葉モデル」の場合には「言葉の働き(機能)」を考えるうえの基盤が「話し言葉」ではなく「書き言葉」であるという点が言葉の機能に関する一般的な考え・理論と異なるといってよいかもしれない。
[2] 言葉の働きにはそのほかにも、たとえば「芸術性」などといったカテゴリーを設定することもできるが、「心と言葉モデル」ではそうしたカテゴリーは取り扱わないことにする。
(つづきは↓)
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