哺乳類の「しっぽ」はなぜ細くて短いのか?│恐竜との設計思想の違い─哺乳類は生物版フライバイワイヤ !?
はじめに
恐竜の目立つ大きな特長の一つとして、太くて立派な尻尾が挙げられます。
一方、現在の陸上の哺乳類の尻尾を見ると、恐竜に比べて貧弱なものが多く、身体全体のバランスも何となく悪そうな印象を受けます。
例えば、キリンやサイなども巨体の割に尻尾は小さくて細く、虫を追い払うためのハタキのような形状です。
なぜ哺乳類は恐竜のような立派な尻尾を持っていないのでしょうか?

(個人の感想です)
調べていくと、恐竜と哺乳類との間には尻尾の違の裏には身体の設計思想の根本的な違いがあることが分かりました。
本記事ではその違いについて掘り下げていきたいと思います。
恐竜の設計思想 │ 構造による安定性重視
恐竜は、骨格の構造そのもので安定性を確保することを重視した設計になっていました。
脊椎の剛性が高く、さらに肩や骨盤といった要所が脊椎と強固に結びつき、可動域を犠牲にしてでも体全体の剛性を高める設計となっていると考えられます。
このような身体の仕組みのため、後述する哺乳類のようにリアルタイムでバランス補正を行うことは不得意であり、あらかじめ構造的にバランスがとれた設計である必要がありました。
ここでバランス制御のための装置として重要な役割を担っていたのが尻尾です。恐竜の尻尾は胴体の前部に対してカウンターウェイトの役割を担い、移動時に重心のバランスを取るために不可欠なパーツでした。
哺乳類の設計思想 │ 制御による機動性重視
一方、哺乳類は恐竜とは対照的に構造そのものに依存せず、柔軟性と制御で安定性を確保する方向へと進化しました。
例えば、脊椎や、肩甲骨、骨盤は高い柔軟性と可動性を持っており、全身が動くことを前提に設計された構造になっています。
恐竜のカッチリな構造に比べると、哺乳類はフニャフニャです。
この性的には不安定な構造を支えているのが、筋肉と神経によるリアルタイムの協調制御です。
哺乳類は、動きながらバランスをとり、瞬時に姿勢を修正するという柔軟な運動戦略を取った結果、高い機動性を得ることになりました。
そして哺乳類は自分自身の体を筋力で制御する能力を進化させた結果、多くの種で尻尾による構造的なバランス補助を必要としなくなったのです。
・哺乳類は生物板フライバイワイヤ
このような哺乳類の運動制御の仕組みは、現代の戦闘機の設計思想に通じるものがあります。
F-16、F-22、F-35のような近代的な戦闘機は、あえて空力的に不安定に設計されています。不安定であるほど機体の急激な機動が可能になるためです。
ただしそのような特性の機体は不安定過ぎて人間の手ではまともに操縦できないため、フライバイワイヤというリアルタイムの電子制御システムにより、機体の安定性と高機動性を両立しています。
この仕組みは構造的な安定性への依存度を下げ、筋肉と神経の協調制御によって高い機動性を生み出す、という哺乳類の設計思想に通じるものがあります。哺乳類はまさに生物板フライバイワイヤと言えるでしょう。
まとめ
恐竜と哺乳類の尻尾の違いから、以下のような両者の設計思想の違いが見えてきました。
恐竜:頑丈な骨格構造によって安定性を重視
哺乳類:柔軟な骨格構造と身体制御機能により機動性を重視
恐竜が堅実なバランス設計を重視したのに対し、哺乳類は筋肉のゴリ押しによる力技に振り切ったと言えるかもしれません。
私たちの普段の何気ない動作だったり、スポーツ選手のような複雑な運動も、全身の筋肉が連携してリアルタイムに姿勢と力を制御していることで実現しています。
まさに私たち人間も「生物版フライバイワイヤ」の恩恵を受けているのです。
注記:なお、ここで述べたことはあくまで恐竜と陸上哺乳類の一般的な基本設計の話ですので、例外もあることはご承知ください。
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