美食半島 能登を行く ー 輪島市門前町 「茶寮 杣径」編 ー
なにもないけど、なんでもある。
そんな、能登半島の美食をお届けするシリーズ。
交通の不便な、少し閉ざされた地域だからこそ、奇跡的に残った豊かな自然があります。海・山・川に育まれた食材を味わいます。
▼ 輪島市門前町鹿磯地区
ハイディワイナリーで、ぶどう畑の見学とテイスティングを終えたあと、気になるお店に挑戦。
電話をすると、
空いていた。奇跡だ。
「いまから、うかがいます」と、早々に電話を切る。期待で ワクワクしてきた。
本日紹介するお店「茶寮 杣径」も地震の被害を受けた。本来は、宿泊施設を伴うレストラン(オーベルジュ)だが、ただいま再建中。別場所で「海辺の食堂 杣径」としてレストランのみ再開している。
杣径は、ハイディワイナリーからは、車で10分ほど。輪島市門前町鹿磯地区にある。この辺りは、地震で4メートル隆起した。海岸沿いの道を走るが、隆起のせいで海が遠く感じる。ナビに示された道を曲がり、海辺特有の狭い路地に入る。と、
あった!
あれ? お店の看板が、CLOSEになっている。もう、予約でいっぱいということかな? とりあえず、駐車場にクルマを停める。

恐る恐る、古民家、玄関の扉を開ける。
「いらっしゃいませ。」
「お席にどうぞ。」
勝手がわからず、きょろきょろする。

▼ 摘草料理
ランチメニューは、1種類。
2,000円のおまかせのみだ。
事前にオーダーしておけば、アレンジ可能
とのことです。
シーンとした室内
奥の厨房から、揚げ物のジューっという音が、かすかに聞こえてくる。
12時の声を聞くと
一組二組と、予約客が入ってくる。みなさん、お店の方と親しげに会話をしているので、常連さんなのかな。

置いてあった本をペラペラと眺めていると。
「お待たせしました。」
いやー、もう、これは食べる前から美味しいでしょ。

右下、揚げ茄子のトマトーソース敷、少し肉桂の香りが漂う。サクふわだ。対する左手前は、シャキシャキ食感のズッキーニ。切干ピンク大根の酢の物。橙カボチャは、少し固めの茹で加減、噛むほどに甘味が広がる。さやごと揚げた豆とピーマン。
すべて地元で採れた野菜たち。旬の野菜たち。
(食したのは夏・・遅筆すいません。。)
つづいて

茄子の煮びたし、冬瓜、そして白身魚の煮物コンビ。魚の種類は忘れてしまった・・・能登の合わせ味噌で作った味噌汁。(たぶん)昆布だし。夏野菜のつるむらさきが、ヌルっと食感で味噌汁にアクセントをつける。
雑穀ご飯は、固めの炊きあげで、よく噛んでいると色んな味わいが甘味とともに広がる。
お隣席の常連さんは、ちびっことおばあちゃん含めた、3世代で来店していた。幼少期から、こんな食事に出会えるなんて、なんて素敵な人生なんだろう。食後のお茶を飲みながら、自分自身もシアワセを感じたひと時でした。
ー 補足 ー
北崎裕(きたざき ゆたか)
料理人「北崎裕(きたざき ゆたか)」は、砂糖やみりんを使わない。醤油もほぼ使われていない。能登の塩、味噌、いしる、煎り酒、糀など古来の調味料を使う。素材の声を聞き、その特徴を引き出す料理をつくる。
赤木明登(あかぎ あきと)
肩書は、杣径の執事となっている。オーナー兼雑用係って感じかな? 輪島塗の塗師でもある。
薄くても敏感に感じとることのできる味のことをぼくたちは 「1オクターヴ下の味」と呼んでいるのですが、「茶寮 杣径」では、そのパワーと生命力をもう一度体験してほしいと思っているのです。
能登の店を巡っていると、根底にこの考えが流れているのを感じる。一口食べて「うまっ!」とはならない。決して豪華ではない。むしろ質素でさえある。でも、じわじわと細胞が喜ぶ旨さ、何かと繋がっているシアワセを感じる料理。本来の食を考えさせる出来事であった。
能登の食は、面白いぞ
参考文献:「地産地消文化情報誌 能登 2025春号 VOL.59」
ー 次回予告 ー
季節は巡って、秋
再び訪れた美食半島。旅は、つづく
蕎麦屋で、出会った絶品水羊羹

蕎麦と水羊羹の意外な関係とは?
実は、同じ食材を利用するんです。さてなーんだ?
次回もおったのしみにー!
(つづく…)
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