イェイツ『1916年復活祭』を読むと自分がただの現在に過ぎず、いつか歴史になっていく日々を生きているんだとメタ認知が得られるよ【『世界近代詩十人集』をちゃんと読む③】
メンバーシップ限定記事ではこれまで近代文学を中心に分析を重ねてきました。今月はSNSのつぶやきは詩の復活であると仮定した上で、いまこそ近代詩を代表する10人を読んでおこうという教養回になります。
初回は伊藤整がまとめた傑作訳詞集『世界近代詩十人集』について解説した上で、ハイネとホイットマンの代表的な作品を取り上げました。
前回は、詩人は「ろくでなし」というイメージを作ったフランスの天才たち、ボードレール、ヴェルレーヌ、ランボーってなにが凄かったのか、確認していきます。
今回はメタ認知といういまっぽい視点を詩に導入したイェイツの代表作『1916年復活祭』を深掘りしていきます。
ちなみに過去のメンバーシップ記事が溜まってきたので、各月の買い切りプランも始めてみることにしました。メンバーシップならすべての記事を読むことができるけれど、お試しとして、興味のある月だけでも是非是非。
とりあえず中国を代表する長編小説『紅楼夢』の話だけでも!
☆ウィリアム・バトラー・イェイツ
神話や伝承を愛し
神秘主義から独自の宇宙観を築き上げた
ウィリアム・バトラー・イェイツ
( アイルランド 1865-1939)

1865年、肖像画家である父親のもとに生まれ、ロンドンとダブリンを行き来して育ちました。幼い頃からアイルランドの古き神話や妖精の伝承に深く魅了され、青年期にはオカルトや占星術などの神秘主義に傾倒、生涯の創作の源泉としたそうです。
24歳で革命家モード・ゴンに恋い焦がれ、何度も求婚するも拒絶され続けます。この失恋の苦しみが、数多くの美しい恋愛詩を生み出す原動力となりました。アイルランド文芸劇場(後のアベイ座)を設立し、演劇による祖国の文化復興運動を主導。34歳で出版した詩集がヒットし、詩人として知られるようになります。
アイルランド独立運動の激化に伴い、政治や社会の現実を直視する作風へ変化。1921年、独立運動に関する代表作『1916年復活祭』を発表。1922年、56歳でアイルランド自由国の上院議員に就任。翌年、ノーベル文学賞を受賞。
一方で、妻ジョージの自動書記(霊界からのメッセージ)をきっかけに、独自の宇宙論体系『ヴィジョン』を完成させるなどオカルティックな面も持ち続けました。晩年は人間の老いや孤独、近代社会の混沌を描くモダンな詩を書き、73歳、フランスで没します。
アイルランド独立運動とは?
アイルランドは12世紀以降、隣国イギリス(イングランド)の支配下で
カトリック弾圧や飢饉に苦しんできました。1916年のイースター蜂起を機に
独立運動が激化、1922年に南部26州が「アイルランド自由国」として独立し、(北部の6州は北アイルランド)としてイギリスに残留しました。
イースター蜂起に関して、イェイツは『1916年復活祭(Easter, 1916)』という作品を残し、これは後に現代詩の基礎となっていきます。
1916年復活祭(Easter, 1916)
4つの連から構成されていて、暗号のように意味が張り巡らされている点が特徴。例えば4つの連はイースター蜂起が起きた「4月」を、第1連と第3連が各16行なのは西暦「1916年」および処刑された指導者「16名」を、第2連と第4連が各24行なのは事件の日付「24日」をそれぞれ暗示しています。
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