ジャズ記念日: 11月18日、1957年@ニュージャージーRVG
Nov. 18, 1957 “Since I Fell for You”
by Lee Morgan Quartet (Sonny Clark, Doug Watkins, Art Taylor) at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ for Blue Note (Candy)
以下紹介曲から15日後、同じ米国東海岸で音色、スタイル、メロディーも格好も、どれを取っても華々しいトランペットのリーモーガンを渋い伴奏者で脇を固めて収録に臨む。
モーガンの冒頭の導入部分からの展開は、堂に入っていて、身を委ねたくなるような説得力があるが、何とこの時19才。若くしてメロディの捻り出し方やブルース的なこぶしの回し方など既に完成されている。迷いなく無く吹き切るモーガンの堂々たる演奏は4:30にハイトーンからの崩しでクライマックスを迎える。
冒頭の印象的な旋律を繰り出すピアノのソニークラークの目立つことは無いが、これ誰だろうと興味を抱かせるゴロゴロ感のある不思議な個性はここでも発揮されている。中盤から展開されるピアノソロもモーガンのブルース的なこぶしフレーズに呼応しながらも明るく力強いタッチで進行して行くのが耳心地良い。そのクラークの約一年後の本作と同じルディバンゲルダースタジオとそのピアノによる演奏は、こちら。
冒頭での重量感あるベースメロディーと共にゴーン、と響くドラム、シャキッと鳴る右スピーカーからのハイハットの演出、ピアノソロの直後4:03からスイッチが入ったかのようにテンポが弾んで行く演奏の展開と共にドラマチック。リーダーを尊重して決して出しゃばらないし、目立つ事はないけれど、聴けば聴くほど、噛めば噛むほど味わい深いスルメのような演奏をする、まさに職人芸というのがアートテイラーの深みと凄み。上記紹介曲の演奏もまさにそれ。
ベースのダグワトキンスも、テイラーと同じ系統の目立たないが、聴くと奥の深い仕事をしているという職人気質のアーティストの一人。ジャズメッセンジャーズのオリジナルメンバーとしては勿論のこと、一番有名なのは、ソニーロリンズによる傑出した名盤、以下紹介曲を含むアルバムへの参加。
ワトキンスが、どれだけ評価されていたかというと、ジャズベースの巨人、チャールズミンガスがピアノを演奏する作品にベーシストとして起用されている事が証明している。

ワトキンスはデトロイト出身で、1907年創設の名門”Cass Tech High School “卒業。この高校は音楽教育が充実しており、モータウンで世界的に名を成したダイアナロスや、マイケルジャクソンやエリッククラプトン等の数ある名作に参加しているキーボードのグレッグフィルゲインズ、ジャズミュージシャンとしては、トランペッターのドナルドバード、コルトレーンの伴侶アリスコルトレーン、トロンボーンのカーティスフラー、そして同じくベーシストの、ポールチェンバース、ロンカーター、メジャーホリーを輩出している。
因みにワトキンスはチェンバースの結婚式の際にベストマンを務めたという記録がある程の仲良しだったよう。2人が従兄弟だという記述を度々目にするが、親友であって従兄弟ではないらしい。そんな仲だから、チェンバースは自分に持ちかけられた仕事をワトキンスに回していたという話もある。これまでの同校出身者が参加している紹介曲を挙げると、
モダンジャズベースのお手本の代表格であり、紹介曲にも多数登場しているポールチェンバース
揺らぎが特徴的で今も現役のロンカーターとジムホールによるデュオ作品
メジャーホーリー参加の、同じくデトロイト出身のケニーバレルによるブルーノートの名盤
ジャズアルバムとオーディオチェック用音源の大定番、カーティスフラーによる傑作
本曲は、1945年にリリースされたR&B。1947年のアニーローリーのカバーで認知度を得てスタンダード化して行く。
ジャズとして取り上げたのはダイナワシントンで、アニーローリーと同年の1947年にリリース。このバージョンが本曲のジャズスタンダードの基礎となったと考えられる。モーガンの演奏もワシントンの楽風に一捻り加えた感じ。
さて、モーガンをもう少し堪能したい方は、こちらもどうぞ。モーガンはジャズメッセンジャーズでも楽しめます。
最後に、ワトキンスとテイラーの燻銀コンビの演奏は、こちらでも味わえます。
