今日のジャズ: 5月21日、1959年@ニュージャージーRVG
May 21, 1959 “Five Spot After Dark”
by Curtis Fuller, Benny Golson, Tommy Flanagan, Jimmy Garrison & Al Harewood
at Rudy Van Gelder Studio Hackensack for Savoy (Blues-ette)
オーディオマニアの中でも定評ある名録音版で、トロンボーンのカーティスフラーの唇の振動が地を這うように生々しく再現される、ジャズスタンダードとして定着したテナーサックスのベニーゴルソンによるオリジナル楽曲がスタンダード化しまもの。名録音なので、オーディオの特性や力試しをするリファレンス用の再生音源として定評があるが、演奏もすこぶる良い。
曲名はニューヨークの名門ジャズクラブ”Five Spotでの夜更け”ということで、楽曲、演奏に加えて、録音の背景に捉えられている落ち着いた空気の静寂感が見事に調和して、しっぽりした深夜の雰囲気を醸し出している。
ルディバンゲルダースタジオでの録音で、レーベルが老舗のSavoyとなり、曲名を彩る演出として、電気のノイズが相対的に少ない深夜に録音したのではないかと推測する。オーディオ鑑賞的にも家電製品の利用の少ない時間帯の音質の方が良い傾向がある。
ここでは前者二人のソロは当然のことながら、燻銀のヘアウッドの渋いドラムと、後にコルトレーン黄金のカルテットの一人となる、ぶっといベースのジミーギャリソンに耳を傾けたい。地味な演奏ながら、「チッチ、チッチ」と波を打つように右スピーカーから定期的に刻まれるハイハットと、隙間の間合いで「ダダっ」と不規則に抑揚を付けるスネアドラムが合わさって曲の推進力が生まれ、縁の下の力持ち的に力強いジミーギャリソンのベースがアンカーとなって、各演奏者の名演に大きな貢献をしている。特に20秒過ぎに左スピーカーから飛び出すベースの振動を感じたい。
ピアノのトミーフラナガンも終始アクセントを利かせた渋い演奏を繰り広げている。良い仕事というのは、本当にさりげない。他の演奏者を引き立てる役割を理解して、目立たずに盛り立てて行くのだ。ピアノソロにおいても同じスタンスで、自己主張は控えめにメロディーを優先して、それまでの流れを滑らかに引き継いで進行していく。本作は5月6日に取り上げたコルトレーンのブレークスルー作品の紹介曲から僅か16日後の録音。如何にこの時期のフラナガンが充実していたか、そしてミュージシャン達に好まれていたか、がこの事実だけで十分に分かる。
ファイブスポットは、マンハッタンの名門ジャズクラブ。ローワーマンハッタンの現ブルーノートジャズクラブから歩いて15分程、ビレッジバンガードから徒歩20分ほどの距離の場所にあって、1956〜1967年に営業していた。モンク、ドルフィーやコルトレーンの名演奏録音の舞台となっている。
名演奏も多数あって、こんな素敵な曲が出来るくらいだから余程、居心地の良いクラブだったのだろう。このジャズクラブのライブ録音は追々紹介していきたい。



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