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今日のジャズ(祝70周年): 7月28日、1953年@ニューヨーク&カンザスシティ


July 28, 1953 “I remember you”
by Charlie Parker, Al Haig, Percy Heath & Max Roach at Fulton Recording Studios, New York City (Verve)

モダンジャズの創始者、チャーリーパーカー。楽曲のコード進行に沿って思いのままにアルトサックスを操るテクニック、ふくよかで芯のある音色の魅力、湧き水のように絶え間無く繰り出される多様なフレーズと絶妙な間合い、これらを総合して生まれた唯一無二のスタイルは、後世に多大なる影響を遺しました。

52秒あたりの高速フレーズの塊はその後のジャズの巨人、ジョンコルトレーンやエリックドルフィーに通じていたり、帝王マイルスがパーカーのバンドから本格的なキャリアをスタートしてジャズの進化を継承したように、モダンジャズの大半はパーカーから始まったというのが揺るぎない定説です。

パーカー前後で、それまで主流だったスイングジャズとは音楽のスタイルが明らかに変化しているのです。本作録音は1953年と、これまでの紹介曲の中では最も古いものですが、それはパーカーが1955年に早世したためです。本時期は録音技術が劇的な進化を遂げる直前、演奏家としてはモノラル時代に全盛期を迎えて若くして他界したため、質の高い収録作品は多くはありませんが、本演奏のように心技体が揃った、心に訴え掛ける迫力や煌びやかな演奏は、耳を惹きつけて止む事はなく、まさにモダンジャズの開祖に相応しいものです。

では、それまでのジャズと何が異なるのでしょうか。ダンス音楽としての、ゆったりとした優雅なアンサンブル主体の音楽形式から脱却して、コード進行に合わせてアドリブでメロディーを捻り出す自由気ままな「ビバップ」のスタイルに劇的な変化を遂げています。視点を変えて言い換えるとするならば、聴衆主体の音楽から演奏者主体の自らの赴くままに展開する音楽に180度転換しています。これもパーカーの音楽的な閃きのみならず、楽器を意のままに操る超絶的なテクニックがあるからこそ実現したものと言えます。パーカーは、イディオムと言われるフレーズの塊の種類の引き出しを多く蓄えており、即時にそれを組み合わせたり、重ね合わせたりすることによって、とめどもない旋律が溢れんばかりに繰り出されるのは、曲芸というか極芸の域に到達しています。

さて、パーカーの出身地、カンザスシティは、モダンジャズを形成するジャズの要所でもありました。地域はカンザス川を隔ててカンザス州とミズーリ州に跨っており紛らわしいのですが、ミズーリ州側は同州最大の人口を誇る都市です。

アメリカ中西部にあるミズーリ州

これらを含むカンザスシティ圏を出生地とするミュージシャンの名を挙げると、パーカーを筆頭に、コールマンホーキンス、ベンウェブスターといったテナーサックスの大御所がいます。

テナーの大御所、同地生まれのベンウェブスター
ベイシーとエリントン楽団で活躍した

1920-30年代の禁酒法の時代に酒の提供が黙認されていた地域ということもあって、人とミュージシャンが集っていた、そんな時代にモダンジャズの基礎が同地で培われていったそうです。カンザスシティジャズを代表するカウントベイシーはカンザスシティ出身ではありませんが、そんな背景もあって同地で大成するきっかけを築き、レスターヤング等、多数のミュージシャンを輩出しました。ベイシーのエリントンとの共演作に興味がある方は、こちらの記事をどうぞ。

そんな時代を描いたロバートアルトマンによる映画がこちら。ジョシュアレッドマン等の一流のジャズミュージシャンが実際に出演して演奏しています。統制の取れたビッグバンドスタイルから、アフターアワーズ的なまったりとしたジャムセッションが繰り広げられていて、これが現代ジャズの基礎の一つになっています。

酒場の親分役はハリーベラフォンテ

そんな環境で生まれた当時の時代の寵児がチャーリーパーカー。ジャズを一変させた強烈なインパクトは現時点のジャズにおいても重要な基礎であり続けています。

そんなカンザスシティは、その後も世界的なミュージシャンを排出しています。現代ジャズにおいてはジャズギター界の筆頭を走り続けるパットメセニーが同地の出身です。

“Beyond the Misouri Sky”という名作がある

ジャズ以外では、アメリカを代表するシンガーソングライターで、ジャズスタンダード曲を多数送り出したのバートバカラックの出身地でもあります。

つい先日亡くなったバートバカラック
「アルフィー」「雨に濡れても」「遥かなる影」

本曲の作詞はジョニーマーサー。名作曲家ハロルドアーレンやヘンリーマンシーニと組んで、Moon River”などの多くのスタンダード曲を輩出するばかりか、Capitol Recordレーベルを立ち上げてナットキングコールを始めとするミュージシャンをヒットさせてジャズ界の発展に貢献しました。

キャピトルレコードとナットキングコールについて、ご興味ある方は、こちらの記事をどうぞ。

最後に、本作マックスローチのドラムに興味を持たれた方はこちらの名演もどうぞ。

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