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ジャズ記念日: 6月15-17日、1995年@パリ “I Love New York in June”

June 15-17, 1995 “I Love New York in June”
by Stephane Grappelli, Michel Petrucciani, George Mraz & Roy Haynes at Studio Davout, Paris for Disques Dreyfus (Flamingo)

活力みなぎるダイナミックなレンジの広い録音が特徴のフランスレーベル、ドレフュスがプロデュースした欧米混成メンバーによるパリ録音です。

ニューヨークと名の付いた曲の録音ですから、全員が6月のパリのスタジオで、ニューヨークの6月を各々イメージしながら演奏しているに違いありません。とはいえ特に朗らかなフランス人のバイオリニストとピアニストが参加してお互いに旋律で戯れ合うような演奏をしていることもあってか、パリの雰囲気が伝わる演奏となっています。

バイオリンのステファングラッペリは、ジャズバイオリンを開拓した第一人者で、艶のある音色で滑らかで明るい旋律をドラマチックに辿る演奏が滑らかに倍音や付帯音を含めて見事に捉えられています。そしてこの時、なんと87歳です。若かりし頃は、偉大なる欧州人ジャズギタリスト、ジャンゴラインハルトと五重奏バンドを組んで表舞台に躍り出て、その後も息の長い活動を続けました。

若かりし頃のグラッペリとジャンゴ

この曲では、ベースのジョージムラーツを傾聴したいところです。チェコ出身で欧州演奏者特有の正確無比なリズムと音程に加えて木胴の鳴りがピタリとマッチ、それでいて機械的ではなくスイングしているのだから非の打ち所がありません。これは、ムラーツが登場している以下紹介曲の録音では捉えきれておらず、欧米の録音志向の違いと20年の時を経た録音技術の進化の賜物と言えるかもしれません。

また、キレの良いエネルギッシュな清音派を代表するロイヘインズのドラムにも耳を傾けたいところです。ダイナミックレンジの広い比較的フラットな録音なので、華麗なドラム捌きを堪能できます。因みにヘインズもジャズ界の重鎮で、この録音時70歳。グラッペリに比較したとしても、その活力みなぎる若々しい演奏には頭が下がります。

因みにパリとニューヨークの6月の気候を比べると、パリの方が平均気温が5度ほど低く降雨量も半分程度のようで、ミュージシャン達は緑溢れる爽やかなニューヨークに想いを馳せて演奏しているのかもしれません。

そして何故、ニューヨークの6月が良いのでしょうか。個人的な経験からすると、春から上昇する気温が20度を超えるも湿度は低目で日差しが心地良く、緑が生い茂り、生命の息吹が感じられるからだと考えます。その前提で、この月のニューヨーク録音の曲を聴いてみると共通する何かを感じ取れるかもしれません。そしてフェスティバルやパレードといった屋外イベントも多く開催されます。1984年から25年間にわたって続いたNYCジャズフェスティバルが開催されていたのもこの月で、特にニューヨークでジャズが盛り上がる季節の一つと言えます。

マンハッタンの緑が鮮やかに生い茂る六月の風景

この曲名は”I Love New York in June”となっていますが、正しくは”I Like New York in June”という名前で、ジュディガーランド主演のミュージカル映画「ブロードウェイ」の登場曲がスタンダード化したもの。ここでは更なる愛情を込めて曲名に”Love”を使っているようです。

この曲はトニーベネットが本曲を歌った事もあってスタンダードとして定着していますが、その曲名はまた異なる”How About You”。「私はニューヨークの六月が好きだけど、あなたはどう?」というような歌詞のくだりから取られたもの。以下のベネットのニューヨークにあるカーネギーホールでの歌唱は1962年の6月9日収録だから、まさにその季節にあたります。そしてメドレーとして同じ「月」と「都市」の組み合わせの”April in Paris”というスタンダード曲もメドレーで軽やかに歌っているので、お楽しみください。ベネットはどんなパリを想像しながら歌っているのでしょうか。

ロイヘインズのドラムを堪能されたい方は、こちらの名演もどうぞ。いわゆる典型的なジャズ志向の録音。

最後に、ドレフュスレーベルを代表する本ピアニストのペトルチアーニによる演奏と、本収録スタジオに興味を持たれた方は、こちらの記事もどうぞ。

ニューヨークの六月に思いを馳せて素敵な一日をお過ごしください。

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