10.私の日記【ツルニチニチソウであったが為に】
スイセンが最盛期を迎えようとしている頃、所有者を失った隣の畑は、間もなく植物に埋め尽くされようとしている。
陽光は暖かさを、そして風は強さを増す。
私を外へと駆り立てているようだが、同時に拒むんだ。
私の躊躇に気分を良くしたのか、この庭に、ツルニチニチソウのツタが侵入してくる。
かつて、あの畑を管理していた誰かが植えたのだろう。
指揮者を失った植物は、やがて無秩序に降り立ち、侵略をはじめたのだ。
私はツタを引きちぎり、アスファルトの上に束ね続ける。
紫色の素朴な花が、許しを乞うかのように咲いていた。
高い密度で絡まり合う葉は、陽光を自分だけのものにしてしまうんだ。
駆除が進んだ場所からは、土が露出する。
たくさんの草花が咲く中で、そこだけが乾いている。
しかし侵略者から解放された土は、日を浴びる喜びを知り、やがて別の植物を育てるだろう。
ツタを辿って、根を取り除く。
やがて、境界線へと到達する。
私はそれ以上は進まない。
彼らは侵略者だ。
けれど、彼らはただ、花を咲かせる場所を探しているだけ。
アスファルトの上に横たわるツタから、花弁をむしる。
そして隣の庭に返すのだ。
程なくして枯れるだろう。
せめて土に返ればいいと思った。
