7.私の日記【帰り道は昼下がりの向こう側へ】
雨上がりの午後、少し湿った風が庭先を通り抜ける。
そよ風と言うほど弱くもない風は、今だけは花粉を運んでいない様子だった。
空は薄い青色で、太陽は木々の向こうに見え隠れしている。
私は外に出て、試しに深呼吸をしてみる。
わずかな肺の痛みさえ心地よく、めまいがしてその場にしゃがみ込んだ。
何もない場所を、昔から探してた。
でも、どこを走り回っても、いつだって人の足跡が残ってるんだ。
だから私は、少しだけそこにとどまって、すぐに帰ろうと思った。
いつかはこんな気持ちもなくなっていくのだろうと思ってた。
けれど私は人の親になってさえ自由が欲しいみたいで、ずっとどこかへ行きたいって考え続けてる。
どこかってどこ?
行こうと思えば、どこにでも行けるのに。
暖房の効いた部屋はいつも都合が良くて、自分が今どんな顔をしているのかさえ確かめる気になれない。
だから私は、もう少しだけ一人でいたいと思った。
それでも子供達を迎えに行くため、車の鍵をポケットに入れてきた。
いつの間にか湿った風は通り過ぎて、喉の奥にむず痒さを覚える。
私は靴の土を払い、車に乗り込む。
私と同じ事を君たちが考える必要はないと思った。
だから私はこの靴で、私の庭を踏み潰すんだ。
