21.私の日記【ヒメフウロは君を望まない】
軒下の痩せた土は雨も滲まず、踏み込めば土埃が舞い上がる。
吹き込んだ枯葉は堆積し続け、細かく砕けながら、それでも還らなかった。
初夏の梅雨が空気を湿らせる。
たったそれだけの恵みで、この地に根を張らせたのだろう。
君はどうしてここに咲くの?
そこにある様を、あるいは健気とも受け取れよう。
けれどいつも、花は咲ける場所に咲くだけで。
何をしたいと望んだって、君は水さえ欲しがらなかった。
そして私は何も気付かず、幾つも別れを知ったんだ。
ただずっとそこにいてほしかった。
ヒメフウロは一人で生きていける。
なのに私はいつも、水を探しているんだ。
