【家電修理記録7】ワイヤレスヘッドセット
今回は家電修理です。
今回の修理依頼物
安定化電源を記事にすると安定化電源の修理依頼が続き、ワイヤレスイヤホンを記事にすると類似のマイク機能付きのヘッドホンの依頼が続き、いまいちバリエーションに富んでない感が否めませんが、今回はマイク機能付きのヘッドセット(Jabra Evolve2 75)です。

恥ずかしながら、Jabra社を知らず、最初にお話を頂いたときは、「ヘッドセットなら買い直した方が安くつかないか?」と思ったのですが、このヘッドセット、4万円程度するかなり高機能なモノでした。
そりゃ、直るなら直したいですよね。
ちなみにJabra社はデンマークの会社でノイズキャンセリング機能などに定評があるようです。
症状
これまでの修理品と似ているのですが、マイク機能だけが使えないという症状で、それ以外は全て正常です。
しかも、マイクは格納できる構造になっているのですが、格納すると音声ガイダンスが正常に流れるため、マイク機能が完全にダメになっている訳ではないようです。単に、マイクとして声が拾えないという症状です。
分解開始
家電修理6の骨伝導イヤホンと違いネジはあるのですが、特殊ネジで容易に分解はできません。日本の電波法の要件によるものでしょうか?

noteを始めるかなり前に自宅で使っている任天堂のスイッチのコントローラを修理したことがあり、その時に、ありとあらゆる特殊ネジのビット(先端のこと)は一通り購入したので、特殊ネジは難なく突破w
さすが高級ヘッドホンという感じの基板です。
今回問題となっているマイクはよくあるヒンジで上に跳ね上がると格納できるタイプでした。マイクの逆側(ケースの中)に磁石がついていて、その磁力を検知するセンサで、マイクの上げ下げを検出していました。
マイクの音を拾う機能とは直接関係ない仕組みなので、こちらは問題なく動いているのだと思います。

マイクの音を拾う機能だけがダメってことは、マイク素子か配線のどちらかの可能性が高いです。
確率的にはFPC(Flexible Printed Circuits :フレキシブル基板)が断線している可能性が高いと思うのですが、目視で確認する限り、最も応力のかかる場所付近に断線はありませんでした。
ただ、断線が疑われる部分だけを少し動かすとノイズが入るので、断線していると思うのですが、いまいち確定に至らず。
そうなると、原因探しを本格化する必要がありますが、マイク素子はカッコイイ意匠のアームの中に分解不可な構造で収納されています。
依頼主さんにマイクアームの先端を傷つけてでも分解してよいか、それとも意匠性を優先してマイク機能の修理を諦めるか確認したところ、分解してもイイとの回答。
さらに分解
分解して基板を見ると、マイクアームの先端内部にはマイク素子が2つ付いていました。素子に刻印してある品番で検索しても該当する部品は見つからないので、Jabraの専用部品のようです。
2つ素子があることが解せないですが、オシロスコープで確認すると、電源は1.8Vが供給されており、デジタルタイプのマイク素子によくあるクロックと音声信号がそれぞれ配線されていました。ちなみに、このマイクアームには小さなスイッチが付いています。
プラス電源(1.8V)、GND、スイッチ信号線、マイク用クロック線、マイク用信号線の計5本がFPCにて配策されています。FPCの両端で(マイクの先端の基板とヘッドホンの基板)で、この5本の導通を調べると、マイク用信号線が切れかかっていました。
偶然にもマイクには電源とクロックが供給されていて、動作可能な状態です。マイクの先端の基板側でマイク用信号が出ていれば、マイクの故障はないと判断できます。
結果、PWMぽいランダムな信号が確認でき、マイク素子自体の故障ではないと判断しました。
修理開始
となると、FPCの断線を直せばイイという事になりますが、FPCは断線したら交換が基本。はんだで修理するというのはあまり修理方法としては一般的ではないかと思います。依頼主さんやメーカーHPによると、Jabraではこの品番の修理受付けは既に終えているとのこと(メーカーHPからは新品が買えそうなんですけどね・・)。
交換部品の入手は望めないので、はんだで修理することにしました。
電源とGND以外の3線は導通部も隣線との間隔も0.1mm。FPCを諦めて5本をバイパスすべく総取替えの可能性も考えてポリウレタン被膜のエナメル線を用意していたのですが、用意したものはΦ=0.24㎜。補強用には使えず、適当なより線をばらして0.1㎜の銅線をなんとか確保しました。
幸いにもこのFPCは、はんだごての熱では溶けることないポリイミド被膜。慎重に表面を削って0.1㎜の線でつないで、はんだ付けできました。そのままだと、再度切れる可能性が高いので、UV硬化樹脂で被膜して、修理完了。

導通を確保できたものの、ここで問題発生。このFPCを再度アームの中に通さないといけないのですが、PFCの固さでは押し込めず。。。
色々と考えた挙句、スーパー等で購入できる弁当やオードブルの透明な蓋(多分、PET樹脂)をFPCと同じ幅に切ってガイドにすることにしました。いい感じで弾力と、固さがありガイドとしては最適でした。元通りにして、これで本当に修理完了。

動作チェックすると、Bluetoothの設定次第で声を拾うときと、拾わない時がありましたが、依頼主さんの環境で最終的にチェック頂くことにして、返却しました。
今回も部品交換費用はかかっていないので、私の費用負担はゼロでした(往復の送料は依頼主さん負担)。
最後に
FPCの断線をはんだで修理するという荒業で対処しました。
たまたま修理したFPCの断線箇所に大きな応力がかからない環境だったので助かりましたが、完全に応力がかかる部分だと無理だったと思います。別のFPC断線修理方法も検討したいと思います。
それにしても、今回のヘッドホンは本当にお金のかかった設計になっており、「へーっ」と思いながら分解しました。
ただ、最新の電子機器は部品が小さくて刻印がなかったり、あっても識別記号だけだったりするので、メーカ不明、品番不明の部品が多いですね。
修理屋泣かせだなぁと、改めて痛感させられましたw
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第1回:安定化電源
第2回:安定化電源
第3回:安定化電源
第4回:リモコン
第5回:デジタルディレイシステム
第6回:骨伝導ワイヤレスイヤホン
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