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【書籍紹介】「急成長企業だけが実践するカテゴリー戦略」 田岡凌 著

こんにちは。合同会社マルセロ 代表の駒瀬です。経営者、事業責任者に対する事業及びマーケティングの伴走コンサルティング、壁打ち、月額制顧問等のサービスを提供しています。

T2D3(トリプル、トリプル、ダブル、ダブル、ダブル)と呼ばれるスタートアップの目標値を遥かに上回るペースで成長を続けるSales Marker社。3期目でARR35億円達成と、セールステック界随一の注目企業。

そのSales Marker社が提唱するのが、企業の検索行動から分かるニーズに基づき、顧客起点で行う新時代の営業手法、インテントセールス

同社の小笠原代表と二人三脚で、インテントセールスという新カテゴリー創造に携わってきたのが、本書の著者、田岡凌氏(suswork代表)。

Sales Marker社の成功には、インテントセールスという革新的な手法に加え、新たなカテゴリー創造に成功したという要素が欠かせません。実際、本書の中で、当初、米国で浸透していた「セールインテリジェンス」という呼称で訴求し、うまくいかなかった過去が語られています。

本書では、「インテントセールス」爆誕の裏側について、「ここまで開示してしまって良いの?」と心配になるくらい包み隠さず語られています。

加えて、他のカテゴリー創造の成功事例、カテゴリー創造プロセス、カテゴリ戦略のフレームワーク、カテゴリー戦略の落とし穴等、カテゴリー戦略を実践する上で必要な内容が網羅されています。

特に、「カテゴリー浸透の勝ち筋を作れ。3つのフェーズ、14の施策」(第4章)で語られている内容は、カテゴリー戦略に限定しない、ブランド浸透/市場定着に向けたプレイブックとして活用できます(特にtoBビジネス)。

更に太っ腹なのが、購入者特典として、「カテゴリー戦略<実践5ステップ>ワークシート」を提供していること(QRコードからダウンロード)。単に読んで学んで終わりではなく、実際にカテゴリー戦略を実践するところまで役に立つお得な1冊です。

著者:田岡凌氏の略歴

京都大学卒業後、ネスレにてネスカフェドルチェグスト、ミロのブランド担当。外資系企業のブランドマーケティング責任者、マーケティングSaaSスタートアップ CMOを歴任。現在、suswork株式会社にて、スタートアップから大企業まで数十社のマーケティング戦略支援を行う。株式会社Sales Marker外部顧問。ギャラップ社認定クリフトストレングスコーチ。

本書の要約

■カテゴリー戦略とは何か

カテゴリー戦略とは、既存の市場で競争するのではなく、新しい市場(カテゴリー)を創造し、その中でNo.1のポジションを確立する戦略です。

著者は、カテゴリー戦略を「顧客の潜在課題を解決する独自価値を起点に、新たな市場を定義し、事業を非連続的に成長させる方法」と定義します。このアプローチは、価格競争や機能競争に巻き込まれず、顧客の認知の中で「最初に想起されるブランド」になることを目指します。

本書では、急成長企業がカテゴリー戦略を採用することで、市場のルールを変え、競合を無力化する事例が紹介されます。

例えば、Salesforceは「クラウド型CRM」という新カテゴリーを創出し、従来のオンプレミス型ソフトウェア市場を再定義しました。また、食べるラー油は「調味料」ではなく「ご飯のお供」という新カテゴリーを確立し、爆発的なヒットを生み出しました。

これらの事例から、カテゴリー戦略が事業成長の突破口となる理由が示されます。

■カテゴリー戦略がもたらす5つのメリット

  1. 脱コモディティ化: 顧客に比較検討されない、唯一無二のブランドを確立します。

  2. 非連続な成長: 新しい市場を創造することで、既存市場の延長ではない爆発的な成長を実現します。

  3. 高収益の実現: 新しいカテゴリーのリーダーとなることで、価格競争から脱却し、高収益構造を確立します。

  4. 組織力の強化: 企業全体のミッションやビジョンをカテゴリー戦略と結びつけ、実務に落とし込むことで組織の一体感を高めます。

  5. 採用競争力の向上: 魅力的な新しいカテゴリーを創造することで、優秀な人材を引きつけ、採用力を強化します。

これらのメリットは、スタートアップから大企業まで、あらゆる企業が直面する課題を解決し、持続的な成長を実現するための重要な鍵となります。

■カテゴリー戦略のフレームワーク「4C」

本書では、カテゴリー戦略を実践するための具体的なフレームワークとして「4Cモデル」を紹介しています。

  1. Customer Problem (顧客課題): 顧客が抱える潜在的な課題を見極めることから始まります。顕在化していない顧客のニーズや、社会のトレンド、業界の構造的問題などを深掘りし、顧客が当たり前だと諦めていたトレードオフを発見します。

  2. Category Value (カテゴリー価値): 発見した顧客課題を解決する、独自の価値を定義します。これは競合とは異なる、真に新しい価値提案でなければなりません。

  3. Category Keyword (カテゴリーキーワード): 定義した価値を顧客が容易に想起できるような、シンプルで記憶に残るキーワードを設定します。

  4. Category Perception (カテゴリーパーセプション): 顧客がその価値を直感的に理解できるような、視覚的・感覚的なイメージを構築します。

この4Cモデルは、新しいカテゴリーを定義し、それを市場に認識させるための体系的なアプローチを提供します。

■カテゴリー浸透の勝ち筋を作れ。3つのフェーズ、14の施策

カテゴリーを市場に浸透させるためには、以下の3つの重要ドライバーが存在します。

  1. 課題啓発: 顧客が抱える潜在課題を言語化し、共感を呼び、新たなニーズを創出します。

  2. 信頼獲得: 定義したカテゴリーが顧客の課題を確実に解決できることを伝え、ブランドへの信頼を積み上げます。

  3. 接点最大化: 顧客とのあらゆる接点を増やし、ビジネス機会を最大化します。

これらのドライバーに基づき、本書ではカテゴリーを広めるための実践的な14の打ち手を、3つのフェーズに分けて具体的に解説しています。

これには、出版を通じた信頼構築、屋外広告やテレビCMによる認知拡大、さらにはGR(Government Relations)やルールメイキングを通じた制度設計への参加など、多岐にわたる施策が含まれます。

①PR:「自社を語る」のではなく「カテゴリーを語る」。広告費が捻出できないフェーズで、メディアインサイトにヒットするよう知恵を絞る

②展示会:新しいソリューションに関心が高いイノベーター層への啓発。顧客(顕在/潜在)から直接フィードバックが得られる貴重な機会。仮説検証に有用

③イベントグロース(大規模イベント/カンファレンス):顧客との強い接点をカテゴリー浸透の起点とする。顧客に登壇してもらいサクセスケースをアピールする場としても有用

④オウンドメディア(カテゴリーSEO、SNS発信):カテゴリーにおける課題の啓発と信頼獲得の土台を作る。象徴的な事例を提示

⑤動画施策:リアリティから理解・共感を生み出す。toBでは、PIVOTやNews Picksといったビジネス動画メディアが極めて効果的。「人々に伝わっていく過程」を見せることが効果的なマーケティング

⑥インフルエンサー施策:インフルエンサーの影響力を活用(主にtoC)。特に、企業が伝えきれない独自価値を訴求する際に効果を発揮

⑦タクシー広告/エレベーター広告:決裁者へのダイレクトアプローチ(主にtoB)。タクシー広告は、決裁者が動画をフルで視聴してもらえる可能性が高い。Tokyo PrimeGrowthの2つのメディアが代表的

⑧コミュニティマーケティング:顧客との深い関係性を基盤にカテゴリー浸透を加速する。toBではカスタマーサクセスの代替・強化としても機能

⑨パートナーマーケティング:アライアンスを通じてカテゴリー浸透を加速させる。既に顧客と信頼関係を築いているパートナーからの発信を通じて信頼性を高める

⑩協会設立/リサーチPR:権威ある第三者からの発信やリサーチデータを通じて、情報に客観性を持たせ、カテゴリーの必然性、重要性を啓発する

⑪商業出版:「興味はあるが、まだ導入に踏み切れていない」慎重層へのアプローチに有効。書籍は、情報の信頼性、網羅性、体系性を備えた最適フォーマット。資産性もあり、効果が中長期に渡って持続。特に、toBに効果的。

⑫屋外広告:「空間を巻き込んだ訴求力」と「公共性の高い信頼感」に強み。toBでは書籍を出版し、それを屋外広告で宣伝するという合わせ技が有効

⑬テレビCM:圧倒的なリーチと信頼感。主にtoC

⑭GR(ガバメント・リレーションズ)/ルールメイキング:カテゴリー浸透に向けた制度設計への参画

■埋もれているカテゴリーの種を見つける。Sales Marker小笠原代表インタビュー

ワークショップで「シリーズCのスタートアップ営業責任者をコアターゲットにしよう」と決めることができました。それで顧客への提供価値が、かなり洗練されていったことを覚えています。同時に、「コアターゲットにSales Markerを使ってもらうなら、どんな価値を提供すべきか、そのためにどんな機能を実装するべきか」にもピントが合って、開発に迷いがなくなりました。

結果的にシリーズCのスタートアップを狙おうと決めたのは、「まずは営業の先進的な取り組みをするスタートアップ企業で実績を作り浸透を狙いに行こう」と合意できたのが大きかったと思います。やはり、戦略は関わる全員が納得できることと、シンプルな形で共有できることが重要だと思います。

セールステック領域にたくさんあるサービスの中の1つであれば、お客様に選ばれる機会はこんなになかったと思います。「インテントセールス」というカテゴリーを確立し、カテゴリーリーダーとして想起されたことが、導入する側の選択コストを下げていることもわかりました。

インテントセールスとは単なる営業手法ではなく、インテント戦略と呼ばれる、顧客ニーズすなわちインテント起点で、あらゆるマーケティング・営業活動を再構築して持続的な事業成長を実現する新しい成長戦略です。

■カテゴリー策定で留意すべきこと

  • 顧客が自社や製品をどう語っているか?

  • 何と認識されているか?

  • 他社にどう推奨しているか?

こうしたファクトを集めた上で、「誰に向けたカテゴリーか」「どのような価値を提供するか」といった視点でアイデアを出していく。「正解を探す」のではなく、「可能性のあるアイデアを広げる」ことが重要。

カテゴリーとはあくまで「顧客の頭の中にある言葉」であるという点です。つまり、自社が言いたい言葉ではなく、コアターゲットが本当に「想起できるか」「価値を認識できるか」に焦点を当てて検討する必要があります

理想的なカテゴリーキーワードは、新規性とわかりやすさを両立しているもの。

  • ロボット掃除機:既存概念の新しい組み合わせ

  • インテントセールス:既知のキーワードに新しい価値を付加

すべての価値を盛り込もうとして、複雑で難解なキーワードになってしまうケースも少なくありません。カテゴリーは説明するものではなく、「記憶に残るか」が重要です。あくまでも、顧客目線で徹底的にシンプルに表現することが、このステップの本質です。

カテゴリー創造は半分戦略、半分意思だと考えています。確信が持てれば、それを正解にする。企業として組織として、覚悟を持ってカテゴリーを創造し、世の中を変えるモメンタムを作っていきましょう。

■カテゴリー戦略を組織にインストールする

 私は事業成長支援の現場で、カテゴリー創造において重要なのは戦略であることは間違いないが、それと同じくらい組織としての姿勢、体制も大切だと感じています。むしろ、外部からは影響を及ぼしにくく、経営者や事業責任者にしかできない領域があるという意味では、戦略以上に組織にコミットいただく必要があると考えます。

これも、カテゴリー戦略に限らず、外部コンサル起用時のすべてに言えることですね。コンサルに任せっぱなしで、責任者がコミットしない、決断しない。これでは、どんな素晴らしい戦略もワークしません。


実は、このカテゴリー戦略の話、田岡さんから3回聴きました。その上で、本書を読んだので、実に理解が深まりました。なんなら、田岡さんの代わりにコンサルできそうです(冗談です)。

冒頭でもコメントしましたが、カテゴリー戦略に限定しない、ブランド浸透/市場定着に向けたプレイブックとしても活用できる汎用性の高い内容。特に、市場浸透/定着に苦戦しているBtoBマーケター必読の1冊です。

■田岡さんPIVOTにも出演されました


いつもお読み頂きありがとうございます。サポート励みになります。皆さまとの交流をどんどん広げていければと思います。

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駒瀬元洋 | ひとりで決めている人の、思考の伴走者 いつもお読み頂きありがとうございます。サポート励みになります。皆さまとの交流をどんどん広げていければと思います。

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