見出し画像

おはぎとけいこの往復書簡|おはぎ→けいこ 「ふわふわトロトロじゃない黄色」

 シェア型書店の棚オーナー仲間。ZINEを一緒に作ったけれど、一度しか会ったことがない2人。直接顔を合わせて話した時間はたったの10分。
 そんな2人が始めた、真っ白な紙に色をつけていくような往復書簡。「色」をテーマにした往復書簡です。



届いた返事はこちら

 けいこさん、こんにちは。
 よく眠れましたか。

 先週はぼろぼろでした。
 月曜日の深夜、胃がムカムカして目が覚めてから胃腸の調子がずっと悪くなりました。4日間の夕食は、月曜日にメローゴールド、火曜日と水曜日がお粥、木曜日に素うどんです。

 脈診をするという治療院を紹介されていたことを思い出し、夕方、行ってみました。何も聞かれずにいきなり脈をとられると
「あれ元気ないな。頭は興奮してるから動けてるけど、体は相当疲れてる。特に胃腸がね」
 そして、はい寝てと言われて鍼を6箇所打ってもらいました。そして最後に軽く整体を受けて立ってみると、体は軽く、気になっていた首のコリもすっきりしていたのです。
 治療してもらった日は、夕食にカツカレーとサラダ、デザートにシュークリームも食べました。
 いやあ、不思議な時間だったな。

 食欲が急速に復活した僕が、この時期に食べたいものといえば断然、桜もちです。
 あの薄桃色に包まれたあんこといい、桜の香りといい完璧に近い食べ物の一つです。
 大好きな和菓子のお店には以前、菊もちというのがありました。春に桜もち、秋に菊もちを出していたんです。いつの間にか、菊もちの方は姿を消してしまったんですが。あの菊もちを時々思い出します。
 いつの間にか食べられなくなった、幻の味なんです。仕事帰り、その店に桜もちを買いに行くことにします。

 そうそう、ピンクのシャツを持っています。最近は着てないけれど。


 好きな「まち」があります。いや、ありました。
 第二次世界大戦の戦火を奇跡的に逃れたことで、その町には大正や昭和初期に建てられた長屋などが残っています。入り組んだ路地を歩くのは楽しく、何より気持ちが凪ぐのです。
 入り組んだ路地の先にそのカフェはありました。

古民家を改築したカフェが右側に

 卒業制作で古民家を改築して、そのままカフェとして営業を始めたという場所でした。中にはビックリするくらい急な階段がありました。
 僕はその店の、昔ながらの薄焼き卵で巻かれたオムライスが大好きでした。
 とにかく時間がゆっくりと流れているお店だったので、ずいぶんと長居をしていたし、店主のYさんとゆっくり話している時間は、今思い返すと贅沢すぎるご褒美の時間でした。
 もちろんそれ以外のメニューもあるのですが、そのお店のオムライスだけを鮮明に思い出せるのです。黄色い卵の上にケチャップでお店の名前が書かれたオムライスを。

路地を歩いていて見つけた「シェー」

 あの町で出会った人たちのことが好きでした。
 手描きの絵が並んだギャラリーみたいなTシャツ屋も、トンボ玉をいくつも買った雑貨屋も、もうなくなってしまいました。猫のいるカフェはまだありますが、好きだったおばんざい定食はメニューからなくなってしまいました。
 素敵な人たちのお店です。みんなに仲良くしてもらいました。
 オムライスのカフェはもうずっと前に閉まってしまいました。
 あの人も、この人も、もうあの町にはいません。
 開発が進み、もうあの頃の町ではなくなりました。

 黄色は好きな色ですが、あの町とセットになると、ほんの少しせつない色になります。

小野寺史宜「まち」
すごく好きな本です
本屋大賞は2位の本が好きなことが多いです


今までのやり取りはこちら


往復書簡を読んでオマージュで書いてくださった、はしさんの記事はこちら

 往復書簡を読んで、「色」にかかわる思い出やお話が浮かんだら、書いてくださったら嬉しいです。
 その際には「 #色いろ書簡 」とつけてくださればと思います。
 今出てきている色は、黒、茶、ピンク、黄色です。ゆるくお待ちしています!

#オムライス #黄色 #往復書簡 #色いろ書簡 #まち #ひと #なんのはなしですか

いいなと思ったら応援しよう!