王家の書【共鳴編】 第41話から第50話までのストーリーまとめ&人物紹介
あらすじ
サイラスは、オスカー、ケイレブとともに伝説の書物「王家の書」を求め、北への旅路を進んでいた。その途上で立ち寄った城壁の町エルデン――そこでサイラスは初めて、自身の内に宿る「共鳴士」の力を解き放ち、町を襲う危機を退ける。
戦いのあと、城主グレタは町を救ってくれたサイラスに、長く謎に包まれた「創られし者」の正体を明かす。それは、遥かな時を越えて存在する者たち。
その名は――ノースリア。
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物語はヴァルディアに拠点を置くロウル商会へと移る。
【リク・ロウルとカイ・ロウルの生い立ち】
ロウル商会を率いる当主、リク・ロウルは、世界に名を馳せる貿易商である。莫大な私財を惜しみなく投じ、貧しい人々を支えてきたことで知られている。その弟であるカイ・ロウルは、グランブルー号の船長として世界中の海を巡っていた。サイラスたちとは港町ツールで知り合い、造られし者について意見を交わすのだった。
カイとリクは、幼き頃、造られし者のひとりであるコハルに命を救われ育てられた過去がある。彼女が姿を消したあと、二人は力を合わせて商会を築き上げてきたが、その営みの陰でコハルの面影を追い続けていた。
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長い航海を終え、グランブルー号はヴァルディアへ帰港する。船員たちは久々の帰還に沸き立つが、カイの胸中は穏やかではなかった。航海の最中、彼は幾度となく、船内に紛れ込む正体不明の存在の気配を感じていたからだ。それが造られし者である可能性を察しつつも、危害を加えぬ限りは刺激すべきではないと判断し、カイは静観してきた。
やがて港が目前に迫り、カイの視線は自然と岸壁へ向かう。そこには、変わらぬ笑顔で手を振る兄、リク・ロウルの姿があった。
兄リク・ロウルと再会したカイは、コハルの肖像画を取り出し、その裏に記された「0」と「1」の数字、そしてサイラスが読み解いた言葉について語る。また、共鳴士の力を呼び覚ましたという老人マグナスの存在や、北方の氷河地下にある施設の噂も伝えるのだった。
そしてラーケン山脈の向こう側、東方諸国で進む不穏な勢力拡大の動き。世界は確実に、見えないところで軋み始めていた。酒を酌み交わしながら情報を共有する兄弟は、船や商会に忍び寄る造られし者についても、あえて泳がせることを選ぶ。
明け方まで語り合ったリクとカイのもとに、ミレイアが朝食を運んできた。リクは彼女に、トビアスにも食事を届けるように頼む。
トビアスは孤児院育ちで、ロウル商会の現場責任者だ。人情の厚い、豪快な気性で、密かにミレイアに思いを寄せていた。一方、ミレイアも孤児院で育った女性である。成長した彼らを静かに見守るのが、リクの右腕であるガルドと対外交渉を担うエドリックだ。
リクとカイは、運び込まれた荷を確認するため港に向かっていた。その途中、リクはかつて彼のそばで働いていた「メガネ」がアヌシーへ旅立ったことを話す。しばらくすると、エドリックが駆けつけ、エルデンに武装集団が侵入したと告げるのだった。
狼旗団がエルデンに侵入したとの報が入り、館内は一気に緊張に包まれる。当主リクは即座に動き、弟のカイに対応を任せた。カイはトビアスを含む数名を率いて、まずは西のグラウ荒原同盟へ向かう。グラウは荒くれ者の集団だが、首長バルドは以前リクから恩を受けていた。
第二陣の使者から、エルデンに火が放たれたとの報を受け、リクは最悪の事態を想定する。救援が間に合うかどうかは、すべてカイの動きにかかっていた。
カイは休む間もなく馬を駆け、グラウ荒原同盟へ到着する。そこで出会った首長バルドは、力ではなく智と取引で荒野の民を束ねた男だ。事情を聞いたバルドは即座に動き、百騎の援軍を編成。そのうち五十騎をカイに託し、残りは自ら率いて後を追うと約束する。
カイは、トビアスたちとバルドの配下の五十騎とともにエルデンへ急行していた。街道で第二陣の使者から、エルデンに火が放たれたと聞いたためだ。嫌な予感を胸に進軍する途中、第三陣の使者と合流し、事態はすでに鎮圧されたと知らされる。
やがてバルドも追いつくが、彼は配下から密報を受けた瞬間、獰猛な一面を垣間見せた。バルドは「これで、貸し借りはなしだ」とカイに言い残し、隊を率いて急ぎ引き返していった。
帰還した二人は、商会の者たちに町の無事を告げる。そこへ、トビアスの帰りを待ち続けていたミレイアが涙を流しながら姿を見せた。トビアスは慌てて駆け寄るが、事情を知って安堵し、不器用に彼女を気遣うのだった。
リクはカイの部屋を訪れ、エルデンで何があったのかを尋ねた。カイは、使者から聞いた話として、サイラスの仲間が中心となり狼旗団を退けたこと、また彼自身が水を操って火を鎮めたことを伝えた。
リクはその話に、造られし者がサイラスに近づく理由は「共鳴士の力」にあるのではないかと推測する。また、バルドの様子を確認したリクは警戒を強めつつ、ゆっくり休むようにとカイを労う。
一方、ロウル商会では、トビアスが結婚式の準備に奔走していた。二か月後に控えた式を前に、彼の働きぶりは周囲を驚かせるほどだった。
そして、迎えた結婚式当日。小春日和の空の下、純白のドレスに身を包んだミレイアと涙するトビアスの姿をリクは静かに見つめていた。孤児として育った二人が、ようやく家族として生きる未来を手に入れたのだ。
その姿に、リクは微笑みながら呟いた。
「……二人とも、よかったな」
トビアスとミレイアの結婚式を終え、ロウル商会には平穏な日常が戻っていた。雪解けまで足止めされているカイは、リクの手伝いをしていたが、山のように積まれた書類に逃げ出してしまう。
リクは仕事の手を止め、かつて自分のそばで働いていたメガネに思いを馳せる。メガネは約二年もの間、リクのそばで過ごしていたが、次第にその態度に違和感を感じるようになり、密かに観察していた。
幼き頃、リクとカイはコハルが残した書物を偶然見つけるが、その書物には危険な知識が記されているということがわかり、人の目から隠してきた。ラーケン山脈の向こうで進む不穏な様子やサイラスの動きに思いを巡らせながら、リクは問い続けていた。
コハルが残した言葉ーー「優しさ」とは何なのか、と。
***
その頃、アヌシー王国では。
夜明け前のアヌシー王国で、メガネは王家の書蔵へ向かっていた。ウール川の水と世界中から集められる知識によって支えられるこの国の中枢で、彼は地図を前に東方の異変に苛立ちを滲ませていた。
そこへ2000が現れ、メガネに声をかける。
「やはりその格好が一番しっくりくる。私の見立て通りだ、メガネ」
メガネと呼ばれる男ーー108は正体を現し、2000と言葉を交わす。
108は、ロウル商会で探ったことを2000に報告する。当主リクを「化け物」と評し、彼は高度な知識を手にしてはいないだろう、と。西側は問題なしと判断されるが、東側では情報が錯綜し、0の意図も見えない。
人間との関わり方の違いが結果に表れたと2000は分析するが、使命の重さに迷いを滲ませる。最終的に彼らは、サイラスの力に賭けるしかないという現実を確認し合うのだった。
***
ーー城壁の町エルデンでは。
サイラスがエルデン城の地下に広がる広大な森の存在を知ってから、一か月ほどが過ぎていた。町では再建が進み、人々の声と日常が戻りつつあった。
ある日、サイラスは城主グレタに招かれ、なぜアヌシー王国が壁外への通路を知っているのかを問いただされる。彼は、王とその王位後継者にだけ立ち入ることが許される「王の間」と、そこに収められている書について話して聞かせる。
サイラスも、旅の目的である「王家の書」についてグレタに尋ねるが、手がかりは得られない。話題は「数字を読む者」へと移り、グレタは側に控えるヴァルターをサイラスに紹介する。
オリヴィアの夫であり、シルヴィアの父親でもあるヴァルターは、未来に起こり得る出来事とその「時間」を読める力について語った。そして、彼がいつも嵌めている手袋を外すと、彼の左手には見覚えのある赤い痣があるのだった。
人物紹介
・サイラスとともに旅をする者たち
サイラス・アストリア
アヌシー王国の正統な跡継ぎ。自然が放つ波動と共鳴する力を持つ「共鳴士」。「0」と「1」の数字を読み解くことができる。
アルヴィン・アストリア
サイラスの兄。優れた共鳴の力を持っていたが、数字を読む者の手にかかり命を落とす。
オスカー・ストラザール
左頬に傷を持つ大柄な男。武術に長ける。大工の家に生まれ、ケイレブと共に旅をしている。
ケイレブ・リー
商家の息子。料理が得意で、珍しい食材を求めて各地を巡る。神話に出てきそうな美しい顔立ちで、人々を魅了する。
エマ
左手に紅い痣を持つ少女。「紅血の一族」の一人。「痣者」と呼ばれる。サイラスたちと旅を共にしており、「0」と「1」の数字を読み取ることができる。
サン
オスカーの飼い犬。
ツキ
ケイレブが連れている白い猿。
・城壁の町エルデンの人々
グレタ・エルデン
城壁の町、エルデンの城主。
オリヴィア・エルデン
グレタの娘。サイラスの兄、アルヴィンの共鳴の力で命を落とす。
シルヴィア・エルデン
グレタの孫。母親のオリヴィアが亡くなり、グレタの後を継ぐ。
ルカ
以前、オスカーに酔っ払いから助けられた子ども。エルナの一人息子。
エルナ
チョコレート専門店「ショコラ・エルナ」の店主。女手ひとつで店を切り盛りしながらルカを育てている気丈な女性。
アズル
数字を読む者の一人。シルヴィアを見守りながら、アルヴィンやサイラスと交流を持つ。
ヴァルター
数字を読む者の一人。オリヴィアの夫であり、シルヴィアの父親
・ロウル紹介の人々
リク・ロウル
ロウル商会の当主
カイ・ロウル
リクの双子の弟。グランブルー号の船長
ミレイア
孤児院で育った女性。口がきけない
トビアス・メルク
孤児院で育った男性。ミレイアに想いを寄せている
ガルド・ハーク
ロウル商会の実務責任者。リクの右腕
エドリック・フェン
元傭兵。対外交渉と治安を担当
・ノースリア(造られし者)
コハル(586)
リクとカイを助けるノースリア。二人の少年を守り、生きていけるように導く。
2000
ノースリアの一人。サイラスを見守る。
メガネ(108)
リクの仕事調整係。本の虫で周りからはメガネと呼ばれる。その正体はノースリアの一人で、リクの知識を確認するために近づいていた。
物語の鍵となる要素
アヌシー王国
ウール川が国の中央を横断する小国。農作物に恵まれ、「知の国」として知られている。
王家の書
アヌシー王国に代々伝わる書物。この世の理や、国を守るための知恵が秘められているという。
共鳴士(きょうめいし)
生命のうねり――あらゆるものが放つ波動に寄り添い、その声を感じ取り、調和をもたらす者。
紅血の一族(こうけつのいちぞく)
左手に紅い痣を持って生まれる者たち。未来を見る力があるとされている。
エルデンの城壁
エルデンの町をぐるりと囲む巨大な城壁。その町に住まう人々を守っているのではなく、地下にある広大な森と湖を支える杭の役割を果たしている。
数字を読む者
紅血の一族。正体を隠すために「数字を読む者」として称している。壁の秘密を知っており、エルデン家をそば近くで見守る。
ノースリア(造られし者)
先の世に造られたと言われる存在。人ではない何かーーその正体は謎に包まれている。
お読みくださりありがとうございます。
第1話から第11話までのストーリーまとめ&人物紹介は、こちらから。
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第1話から第60話までのあらすじ
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