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今日は誰にも愛されたかった/谷川俊太郎、岡野大嗣、木下龍也【読書記録】 ことばの余白に会いにいく─連詩と感想戦を味わう一冊

✳︎衣咲(えさき)です

初めて短歌集を読んだとき、「説明がない」ということに驚きました。
どんな意味を込めたのか、正解は書いていない。
それでも、時々ぴたりと心に寄り添う歌に出会える。
そんな瞬間が、ひっそりとうれしかったのを覚えています。
この『今日は誰にも愛されたかった』には、詩人・谷川俊太郎さんと歌人二人による「連詩」、そして言葉を交わしながらふりかえる「感想戦」が収められています。
詩や短歌がどんなふうに生まれていくのか。
ことばをつむぐ過程のあたたかさと葛藤に、そっと触れられるような一冊です。

言葉の余白に会いにいく

─『今日は誰にも愛されたかった』を読んで
初めて短歌集を読んだとき、驚いたことがありました。
なんの説明もなく、歌が並んでいる
あとがきはあっても、どんな意味が込められているかの解説はない。
「最後にちょっとくらいヒントがあるのかな」と思っていたけれど、それもない。
そうか、これが短歌の世界なんだ。
自由だけど、読み手に委ねられる世界。
意味がすっと入ってくる歌もあれば、考えても考えてもよく分からない歌もある。
でも、そのぶん、自分の感覚にぴたりとはまる歌に出会えたときの高揚感がすごくて―
「あぁそれ、あるある」「わかるわかる」って、気持ちの奥でふるえてしまう。
それが、短歌のすてきなところだなと思います。

詩人と歌人がことばを交わす「感想戦」

『今日は誰にも愛されたかった』は、詩人の谷川俊太郎さんと、歌人の岡野大嗣さん・木下龍也さんによる“連詩”の一冊です。
詩と短歌が交互に重なり合いながら生まれていく、その軌跡。
そしてこの本には、三人が作品をふりかえる「感想戦」というパートが収録されています。
この「感想戦」がすごく面白くて。
作品がどうつながっていったのか、どこで詰まり、どんなふうに書き直したのか。作者の視点から語られる制作過程は、ことばをつむぐ苦しみとよろこびがにじんでいて、なんだかとても人間味があるのです。
さらっと読めるように見えて、実は悩んで、迷って、それでも届けようとしてくれている。
言葉って、こんなふうに生まれていくんだなあと、しみじみ感じました。

日常のなかに、短歌の種がある

わたし自身も、最近になって短歌を詠むようになりました。
上手には詠めないけれど、それでも「この一瞬、歌にできるかも」と思う場面が増えました。
日常のなかで、ふと胸に刺さった風景や言葉をすくい上げるようになった。
それだけで、少しだけ世界の見え方が変わった気がしています。
この本を読んだあと、頭のなかはことばでいっぱいになりました
ぐるぐる、チカチカ、ずん。
詩人と歌人たちの頭の中をすこしだけ覗いたような気がして、ことばに触れるよろこびを改めて思い出しました。
この三人が出会い、連詩というかたちで言葉を交わしてくれたこと。
その記録がこうして一冊にまとまって、手元にあること。
それがうれしくて、ありがたくて。
読めてよかった、出会えてよかった、そんな本でした。


#今日は誰にも愛されたかった
#谷川俊太郎
#岡野大嗣
#木下龍也

師弟のようなクラスメートのような3人の創作とお話の本。国民的詩人と新鋭歌人の詩と短歌による「連詩」と「感想戦」を収録。読み合いと読み違い、感情と技術、笑いとスリルが交わります。

内容紹介(「BOOK」データベースより)



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