安倍総理暗殺事件と伊藤博文(5)日本の「顔」としての役割~安倍総理の政治的立場~②対ロシア融和―安倍外交の真髄
*前回「安倍総理暗殺事件と伊藤博文(4)日本の「顔」としての役割~安倍総理の政治的立場~②対ロシア融和―北方領土―マイダン革命とクリミア併合」のつづきです。
では、なぜオバマ政権は、安倍総理の戦略と逆行するかのようにロシアを刺激したのでしょうか?
それを知るにはまず以下の時系列を覚えておく必要があります。
時系列メモ(第二次安倍政権初期〜オバマ広島訪問まで)
2012年12月
第二次安倍内閣発足2013年4月
安倍総理・プーチン首脳会談(初会談)2013年11月
日露「2+2(外務・防衛閣僚会合)」開催2013年12月
安倍総理、靖国神社参拝
←米国務省(オバマ政権)が「失望(disappointed)」声明2014年2月
マイダン革命(ウクライナ政変)2014年3月
ロシアによるクリミア併合2014年4月
オバマ大統領、訪日
←尖閣諸島に日米安保条約第5条が適用されると明言2014年11月
米国・第二次オバマ政権、中間選挙
←上下院で民主党が敗北。野党・共和党が過半議席2015年4月
安倍総理、米国上下両院合同会議(米国議会)で演説2016年5月
オバマ大統領 広島訪問
②対ロシア融和(7)―靖国参拝―オバマ政権の「失望」
さて、あらためて安倍外交が、まず電光石火の対露接近から始まっていることがわかると思います。
その目的には北方領土解決による対中包囲網の形成、そして「戦後レジーム」からの脱却があったことはまず言えます。
2013年、異例の日露「2+2(外務・防衛閣僚会合)」が実現した直後、安倍総理が靖国を参拝したことは決して偶然ではないでしょう。
むしろロシアとの関係改善をテコとして、日本が国際関係で主導権を握りつつあることを半ば証明した「参拝」であったとも言えます。
そして、これに対して拒否感を示したのが中国・韓国はもちろん、米・オバマ政権でした。
日本主導の日露関係改善が進めば、日米同盟における米国の影響力低下は必定です。
安倍総理の靖国参拝に対して、オバマ政権が出した答えは「失望(disappointed)」でした。この時点でオバマ政権が、「戦後レジーム」からの日本主導の脱却にノーを突きつけたことは明らかでしょう。
前回話をしたマイダン革命とクリミア併合は、日本からは遠いロシア西部・ウクライナが舞台ですが、すくなくとも「マイダン革命」を煽る側に米・オバマ政権がいたことは事実でしょう。
安倍外交の電光石火の対露接近、そして「靖国参拝」に対する言わば報復として、オバマ政権が「マイダン革命」を支援したことは想像に難くありません。
そしてその結果、安倍総理暗殺事件後の令和7(2025)年現在にいたるまで、これが唯一の現職総理による靖国参拝となっています。
②対ロシア融和(8)―2015年・日米和平とオバマの広島訪問―安倍外交の真髄
さて、じつは私たちは、この後の結果を知っています。
時系列にもあるように、むしろこの直後のオバマ大統領訪日、そこで日米安全保障条約の「尖閣」適用が明言されました。
そしてその後、2015年には安倍総理の米国議会演説(日米和平)、2016年には米国大統領として初のオバマ広島訪問が行われました。
蓋を開けてみれば、じつは第二次安倍政権の電光石火の対露接近が、むしろより日本の立場を尊重する形での日米同盟強化を引き出したことは事実でしょう。
ここに安倍総理の対露融和の意味が読み取れるのではないでしょうか。
ところでじつは、ウクライナでのマイダン革命とクリミア併合にいたる混乱、そして欧米とロシアの関係緊張化は、そもそも安倍総理の戦略に逆行するばかりか、オバマ政権にとっても自身の首を絞める結果となっています。
2014年の米中間選挙では、結局、上下院ともに民主党は敗北しました。
2013年、「米国は世界の警察官ではない」と表明したオバマ大統領が、自らアメリカの覇権後退・対中シフト戦略と逆行するユーラシアの情勢緊迫化を招いているのです。
一事が万事で、米国の民意からノーを突きつけられたのもやむを得ないと言えます。
安倍総理は、こうしたチグハグなオバマ大統領・米国側の動きも予期したうえで、むしろ対露外交を利用した可能性もあると言えます。
すくなくとも電撃的な対露外交から始まった安倍外交が、日米和平に収斂したことは事実でしょう。
むしろ「安倍外交」の戦略の真髄は、ロシアとの関係にあったとすら言えます。
*以上
安倍総理暗殺事件と伊藤博文(5)日本の「顔」としての役割~安倍総理の政治的立場~②対ロシア融和―安倍外交の真髄
【参照情報】
2013年当時に米国の大統領だったオバマ氏は「米国は世界の警察官ではない」と語った。
