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【漫画】松井優征『逃げ上手の若君』第25巻 いざ最終決戦! 悪神・尊氏の真の力

 単行本も完結目前の『逃げ上手の若君』、今回紹介するのはいよいよ最終決戦突入の第25巻。時行らの南朝軍と尊氏軍の決戦「武蔵野合戦」が繰り広げられます。悪神打倒のため、尊氏の動揺を誘う時行ですが、悪神の力はあまりに強く……

 高師直一族を倒し、兄・尊氏の改心を期待してその下に戻った直義。しかし、そこで兄の異常な力にようやく気付いた直義は時行と和解したものの、時既に遅く、直義は命を落とすことになります。
 しかし、その死は尊氏の動揺を誘い、彼の背負う悪神の力に一穴を穿つのでした。

前巻の紹介記事はこちら。

 というわけで、時行と逃若党・北条党に、宗良親王と諏訪衆、新田義興・義宗兄弟に上杉憲顕と、いま関東に残っている反尊氏勢がほとんど総結集して始まった決戦。
 京では北畠親房ら南朝軍が軍を起こすという東西同時作戦を敢行することで、大いに尊氏を苛つかせ=人間らしさを生じさせ、神力を弱めるという時行の策がここに始まります。

 しかしまだまだ戦力的には劣る状況下で、さらに尊氏を動揺させるにはどうすればいいのでしょうか。そこで時行が選んだのは――鎌倉奪還!
 奇しくも南朝軍の京占領と同日に、時行は三度目の鎌倉奪還に成功するのでした。

 正直にいえばここでの鎌倉奪還は、大きな戦略の中での一種の通過点という印象があります。しかし本作においては、いよいよ尊氏と激突するという決戦前に、時行たちにとっての、物語にとっての原点に一度立ち戻るという大きな意味があると感じられます。

 そしてそれを受けての時行と正室三人のエピソードは、またしても「こ…こんなことが(少年漫画で)許されていいのか」という気分になりますが、まさにこれを描くための鎌倉帰還だったのでしょう。

 個人的には、すっかり忘れかけていた正宗がシイナに用意した装備とその答えにグッと来ましたが……



 さて、時行が逃若党最後の全員出陣を予感しつつも、ついに小手指ヶ原で激突する南朝軍と尊氏軍(しかし小手指ヶ原を評して「決戦の名所」というのは確かにそうなんですが可笑しい)。
 諏訪の三大将(あと相変わらずヒドすぎる石塔家)も参戦し、上杉が短い伏線と長過ぎる伏線(?)を張る中、最終決戦が始まります。

 史実的には仕方ないのですが、このタイミングでこれ? という饗庭命鶴丸の花一揆戦を経て、ついに尊氏を追い詰めた時行。しかし、尊氏の中の悪神は運ではなく肉体と武力を強化――ここにラスボスに相応しい真の力を発揮した尊氏が降臨することになります。
 その力たるや、ラスボスに相応しい、対峙する全てを無力化するほどの凄まじいもの。動ける逃若党全員攻撃でも及ばぬこの魔人いや魔神を前に、なすすべは……

 ここからの展開は伏せますが、いきなりジャンプの漫画みたいになった!? とさすがに驚かされたというのが正直な気分。いやジャンプの漫画なんですが、本作でこれをやるか――と少々微妙な表情にはなるものの、最終決戦にはこれも相応しいというべきでしょうか。

 もう一つ、この巻のラストでの尊氏いや悪神の行動と言葉については、掲載時に色々と反響があったと記憶しています。
 しかし、これはこれで本作らしい――というより、これをやりたかったのか、とすら感じさせられる内容だと個人的には感じます。

 もちろん、終盤だからこそできる演出ではありますが……



 さて、その尊氏との対決も、鬼ごっこの主客が逆転していよいよ決着間近。その果てに待つものは――残すところあと2巻、鬼ごっこの行方を最後まで見届けたいと思います。

前巻の紹介記事はこちら。


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