【読書感想】「冷静と情熱のあいだ」を読んで
こんにちは。ドイツのミュンヘン在住miraです。
お越しいただきありがとうございます♪
日本に行く前に、数少ないミュンヘンの読書友達に借りていた江國香織さんの「冷静と情報のあいだ」をやっと読了。
こちらは1999年に刊行された少し昔の作品ですが、当時とても話題になったのも納得。26年経った今読んでも全く古びた感じがせず、むしろ時間を超えて胸に沁みる名作だなと感じました。
この作品は辻仁成さんと江國香織さんの共作で、同じ物語を男性視点(Blu)と女性視点(Rosso)で描いています。今回読んだのは江國さんのRosso。かなり昔に辻さんのBluのほうは読んだような気がするし、映画も観たので、懐かしさもありました。ただ内容はほとんど忘れていたので、結末には思いがけず心を打たれました。
多くの方が語っているように、江國さんの文章はやはり美しい。
言葉選びが独特で、繊細で、静かな情景や心の動きが豊かに伝わってきます。物語の時間の流れもゆったりとしていて、読んでいる自分もその空気の中にすっと入り込んでいくような感覚がありました。
主人公のあおいが、順正との別れ以降、自分と世界のあいだに距離を置いて生きている様子が、言葉の端々ににじんでいて切ない。
「世界は私の外側で動いていく。」という彼女の一言が象徴するように、周囲の人々は皆優しいのに、あおい自身はその中に溶け込もうとしない。そんな姿に、なんとも言えない寂しさを感じました。
どこにも「居場所」を見いだせなかった帰国子女のあおいが、やっと見つけたのが順正だった。でも、ほんの小さな誤解から別れてしまい、それ以来どこか心を閉ざして生きている。その様子がもどかしく、時に胸がきゅっとなりながらページをめくりました。
そしてマーヴ。優しすぎて、完璧すぎて、「あおいがそこまで順正に未練があるなら、もうマーヴは私にちょうだい!」と本気で思ってしまうほど(笑)すっかり物語にのめり込んでしまいました。
人生というのは、その人のいる場所にできるものだ、という単純な事実と、心というのは、その人のいたいと思う場所につねにいるのだ、というもう一つの単純な事実が、こういう小説になりました。
この江國さんの言葉を読んで、「人生」と「心」のズレが生む切なさを、改めて深く感じました。
久しぶりに辻仁成さんのBluの方も読み返したくなったし、映画もまた観たくなりました。そして何より、またフィレンツェに行きたくなりました。
ただ、あのドゥオモのてっぺんに爽やかに登場した竹野内豊の姿は、現実を知っている者としては「いや、汗だくやで…」と突っ込みたくなる(笑)順正はたぶん、あそこでしっかり休憩してから出てきたんでしょうね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
またお会いしましょう♪Tschüss!
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同じく辻仁成さんの作品と対になっている超長編小説。
前回の読書感想記事はこちら。
今はオーディブルで耳読もしてます。
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