耳読3作品の感想と、今回の芥川賞&直木賞結果について
こんにちは。ドイツのミュンヘン在住miraです。
お越しいただきありがとうございます♪
日本ではvoicyもあまり聴く時間がなくて未聴放送がたまりまくってたけど、ドイツに戻ってきたら1人黙々と家事をする時間も増え、むしろvoicyだけでは物足りないほどに。
ちょうどオーディブルがキャンペーンをやっていたのでまた乗っかることにしました。
最近までに耳読した中で特に面白かった3作品の感想を簡単に書いていきます。
①「アルプス席の母」早見和真
甲子園は母たちの物語でもあるんだな。
高校野球がメインかと思いきや、これは「野球児の母」の物語だった。
野球にあまり興味のない私も、気づけば母としての目線でぐっときていた。
とはいえ、「ラストは泣ける」と聞いていたわりには、不思議と涙は出なかった。
もしかしたら、これが音声じゃなくて活字だったら、違ったのかもしれない。
甲子園がクライマックス…で終わるのかと思いきや、その先が描かれていたのが印象的だった。
母と息子、それぞれが前を向いて歩き出すエンディングが、とても良かった。
改めて思う。
高校野球に全身全霊を注いでいるのは、選手本人だけじゃない。
親、とくに母親も、全力でそこにいる。
そりゃ、いろんなドラマが生まれるわけだ。
②「恋とか愛とかやさしさなら」一穂ミチ
”許せる”と”許して生きていける”は別の話かもしれない。
プロポーズの翌日に、恋人が盗撮で捕まった。
極端すぎる設定と思いきや、もし自分がその立場だったら?と想像すると、案外答えは出ない。
今の私なら、即「無理」と思うけど、結婚前だったら?
長く付き合ってきた時間や情もある。
「コスパ悪い」なんて言葉が出てくるのも、ある意味リアルだ。
ここで別れたら、次がある保証もない……
そんな不安も、たぶん本音なんだと思う。
でも、やっぱり“なかったこと”にはできないんだろうな。
信じきれない相手と一緒にいるのは、きっとしんどい。
後半は、別れた後の彼視点へ。
それにしても啓久、どうして盗撮なんてしたんだろう。
いまいち本音が伝わらない分、モヤモヤが残る。
彼の苦しみが描かれていても、どうしても「いや、それは自分で撒いた種でしょ」と思ってしまう。
「許せるか」よりも、「許したあと、どう生きていくか」が問われる話だった。
③「ブレイクショットの軌跡」逢坂冬馬
散らかった球は、最後にひとつの形になる
次々に登場する人物、舞台、テーマ。
最初は正直、ノリ切れなかった。
これ、どう繋がるの?と思いながら聴いていくうち、後藤父が事故に遭ったあたりから、一気に引き込まれていった。
そして終盤、点と点が線になる。
「そう繋がるのか」と思わず唸った。
伏線回収の精密さは、さすが直木賞候補作。構成の巧さに圧倒された。
とはいえ、テーマはやや盛りだくさん。
車、株、インサイダー、投資詐欺、セクシャルマイノリティなどなど……。
どれもよく調べて書かれているのは伝わるけれど、一気に詰め込まれて少し息切れした感も。
でも、タイトルの「ブレイクショット」が何を意味していたのか…!?
その答えにたどり着いたとき、すべてが静かに腑に落ちた。
読後感は爽快。
非常に読み応えのある一冊だった。
ところでこの「ブレイクショットの軌跡」は今回の直木賞候補作品でしたが、ご存知の通り芥川賞、直木賞ともに「該当作なし」という結果で終わりました。
発表当日、私は結果が気になって逐一ネットをチェックしていたのですが、まず芥川賞が「該当作なし」と発表されて驚いていたら、まさかの直木賞まで「該当作なし」。
本当にビックリして「えっ」と声が出てしまいました。
ノミネートされていた作家さん達もきっと複雑な思いをされたことでしょう。
また受賞作の売り上げを期待していた書店からもかなり当惑の声が聞こえてましたよね。
逢坂冬馬さんの発表会後のコメントの中にこんな言葉がありました。
他方で、直木賞の設立以来の目的には「出版界の振興」があり、受賞作の店舗展開という機会を逃した書店員、出版関係の皆さまの悲しみの声を聞くことだけが、大変つらく感じられます。
ものすごく大人な感想だと思います。
自分だけでなく、書店や出版業界の方々へもすぐに思いを馳せられるなんて。
「該当作なし」は本当に妥当な結果だったのかな、とモヤモヤが残ります。
必ずしも頂点を決める必要があったのだろうか。
選考委員の方たちも悩まれた結果だとは思うけれど…。
選考理由もあまり腹落ちせず。
私が一番悲しいのは、受賞を逃したら「この作品はイマイチなのかな」って世間が勘違いしてしまう可能性があること。賞を取ろうと取らまいと、自分が面白いと思えばそれでいいのだし、この結果を受けて少しでも興味を持っていたのにやっぱり読むのやめよ、なんて思う人が出ないといいなと願います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
またお会いしましょう♪Tschüss!
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