副業人材「8割が満足」のウラにある落とし穴
パーソルキャリアが2025年に発表した「副業・フリーランス人材白書2025」によると、副業人材を活用した企業の約8割が「満足」と回答しています。一方で、活用経験のある企業は全体の3割未満にとどまっています。
この数字、「じゃあうちも副業人材を入れてみよう」と思った方、ちょっと待ってください。私は、この「8割が満足」の裏側にこそ、中小企業が見落としがちな大事なポイントがあると考えています。
副業人材は「即戦力」ではない
副業人材の活用目的として多いのは、以下の通りです(副業・フリーランス人材白書2025より)。
・業務プロセスの改善・効率化:23.5%
・新規事業の立ち上げ・推進:22.1%
・経営・戦略立案:21.3%
つまり、単純な人手の補充ではなく、「自社にない知見やスキルを外部から取り入れる」という使い方がメインなんですね。
ここで問題になるのが、「その仕事、説明できますか?」ということです。副業人材は週に数時間から十数時間しか稼働しません。御社に出社するわけでもなければ、社内の空気を読んでくれるわけでもない。だからこそ、「何を」「どこまで」「いつまでに」やってほしいのかを明確に伝える必要があります。
ところが2025年版の中小企業白書によると、副業人材を活用している中小企業はまだ約20%。活用が進まない理由として「どの業務を任せればいいかわからない」「受け入れ体制が整っていない」という声が上がっています。
御社の業務、誰かに「これをやってください」と1枚の紙で渡せる状態になっていますか?
「業務の見える化」が先、外部人材はその次
副業人材の活用で成果を出している企業には共通点があります。それは、自社の業務フローが整理されていることです。
HiPro(パーソルキャリア)の調査事例では、ある製造業の中小企業が副業人材にマーケティング戦略の立案を依頼した際、最初にやったのは「自社の受注から納品までの流れを1枚のシートにまとめること」でした。
これは当たり前のようで、多くの会社ができていません。私がさまざまな経営者の方とお話しする中で感じるのは、業務の流れが社長や古参社員の頭の中にだけあって、紙やデータになっていないケースが非常に多いということです。
業務を見える化する3つのステップ
業務を見える化するための具体的なステップは、実はシンプルです。
・お客さまとの出会いからお金をいただくまでのステップを書き出す
・各ステップで「誰が」「何のツールで」「月に何時間」やっているかを記録する
・その人が休んだら止まる業務に印をつける
たったこれだけで、「どこに外部人材が必要か」「どこはAI(人工知能を使った自動処理)やツールで代替できるか」が見えてきます。
「満足」の正体は、準備ができていた企業だけの話
「8割が満足」と聞くと、副業人材を入れさえすれば何とかなるような気がしてしまいます。でも実際には、満足している企業は「自社の業務が整理できている企業」なんです。
逆に言えば、業務が整理されていない状態で外部人材を入れると、「指示が曖昧で成果が出ない」「結局社内の誰かが付きっきりでフォローする」という事態になりかねません。
副業人材の活用は、あくまで「手段」です。その前に必要なのは、自社の業務を棚卸しして、「何を自分たちでやり、何を外に出すか」を判断すること。この判断ができていれば、副業人材だけでなく、BPO(業務プロセスの外部委託)やAIツールの導入もスムーズに進みます。
まとめ:最初にやるべきことは、たった1つ
人手不足を感じたとき、「採用」か「副業人材」か「外注」か「AI」か——選択肢はたくさんあります。でも、どの手段を選ぶにしても、最初にやるべきことは同じです。自社の業務の流れを、1枚のシートに書き出すこと。
それだけで、次の一手が見えてきます。
出典:パーソルキャリア「副業・フリーランス人材白書2025」/ 2025年版 中小企業白書(中小企業庁)
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