MVP ARCHIVE NASA | Search for Life Phase 01-06 : Enceladus / 土星衛星 - 水蒸気噴出と有機分子の発見

土星衛星 - 水蒸気噴出と有機分子の発見
土星の衛星エンケラドゥスは、小さな氷の天体でありながら、現在もっとも生命存在の可能性が高い場所の一つとして注目されている。
その大きさは直径約500km。月よりはるかに小さい衛星である。しかし、この小さな世界は、宇宙生物学の考え方を大きく変える発見をもたらした。
Cassini 探査機の発見
2005年、NASA の Cassini探査機 は、エンケラドゥス南極付近から巨大な水蒸気の噴出を発見した。
氷の割れ目から宇宙空間へ吹き上がる噴煙には、水蒸気だけでなく、氷の粒子、二酸化炭素、メタン、アンモニア、そして生命の材料となる有機分子が含まれていることが確認された。
さらに Cassini の観測によって、噴出物には水と岩石が高温で反応した際に生成されると考えられる水素分子も含まれていることが明らかになった。
これは、エンケラドゥス内部の海底で熱水活動が起きている可能性を強く示している。
深海熱水噴出孔周辺の陽光を必要としない生態系
地球では、深海の熱水噴出孔周辺に太陽光を必要としない生態系が存在している。
もしエンケラドゥスでも同じような環境が存在するなら、生命が成立するために必要と考えられる「 液体の水 」「 化学エネルギー 」「 有機分子 」の三つの条件がそろっている可能性がある。
将来の生命探査
特に重要なのは、エンケラドゥスでは内部の海を直接掘削しなくても、水蒸気として宇宙空間へ放出されている物質を分析できることである。
これは、地下の海を間接的に調査できる数少ない天体であり、将来の生命探査にとって極めて大きな利点となる。
現在まで、生命そのものは発見されていない。
しかし Cassini が残した観測結果は、エンケラドゥスが単なる氷の衛星ではなく、「 生命が存在できる環境 」を持つ可能性のある世界であることを示した。
エンケラドゥスは、人類が初めて「 生命に必要な材料が宇宙空間へ自然に放出されている 」ことを確認した天体である。
その小さな氷の世界は、地球外生命探査の最前線として、今もなお多くの研究者の注目を集め続けている。
