「ただの趣味」ではない。シニア世代を支える“第二の居場所”と会話の力
研修講師、手話通訳士の横山熊太郎です。
AIを活用しながら、シニア向けの情報や、書籍やガジェットの紹介などをしています。
年齢を重ねると、人とのつながりは少しずつ変化していきます。
仕事を引退し、子どもも独立し、毎日の人間関係が以前より静かになる。
そんな中で、いま注目されているのが「セカンドコミュニティ」という存在です。
これは、自宅や家族以外にある、“自分らしくいられる居場所”のこと。
今回、GNヒアリングジャパン株式会社が行った調査では、60〜75歳のシニア世代300名を対象に、「セカンドコミュニティときこえ」に関する実態が調査されました。
その結果が、とても興味深い内容でした。
シニア世代は「人と話せる場所」を求めている
調査によると、シニア世代が参加しているセカンドコミュニティの中心は、
・友人との集まり
・趣味のサークル
・地域活動
・スポーツや推し活
などでした。
そして、参加目的の上位には、
「リフレッシュ」
「気軽に話せる場」
が並んでいます。
ここがとても重要だと思いました。
人は、年齢を重ねるほど、「役割」だけでは動かなくなります。
若い頃のように、
「仕事だから行く」
「義務だから参加する」
というよりも、
「そこに行くと楽しい」
「誰かと話せる」
「なんとなく安心する」
そんな“心の居場所”を求めるようになるのだと思います。
続ける秘訣の1位は「会話」
さらに印象的だったのが、
「セカンドコミュニティを長く楽しむ秘訣」
の第1位が、
「参加者との会話を楽しめること(60.3%)」
だったことです。
健康維持よりも上位です。
つまり、シニア世代にとって、
「人と話せる」
ということは、単なる雑談ではありません。
それは、
「社会とつながっている感覚」
そのものなのだと思います。
「会話」は、実はとても高度なこと
普段、私たちは当たり前のように会話をしています。
しかし実際には、
・相手の声を聞く
・言葉を理解する
・空気を読む
・タイミングを合わせる
・表情を見る
・返答を考える
という、とても複雑なことを同時に行っています。
特にシニア世代では、
「聞こえづらさ」
が少しずつ増えてくることがあります。
今回の調査でも、
約17%が、
「耳が聞こえづらくなり、会話しづらくなること」
に不安を感じていると回答しています。
これは決して小さい数字ではありません。
「聞こえにくい」は、孤立につながることがある
聞こえづらさは、単に音量の問題ではありません。
本当に大きいのは、
「会話に入りづらくなる」
ということです。
たとえば、
みんなが笑ったけれど、自分だけ内容が聞き取れなかった。
話が次々進んで、タイミングを逃した。
何度も聞き返して申し訳なく感じた。
こうしたことが積み重なると、人は少しずつ会話から距離を置くようになります。
そして気づかないうちに、
「行くのが面倒」
「疲れる」
「家にいた方が楽」
となってしまう。
これは、聴覚の問題だけではなく、“社会との距離”の問題でもあるのだと思います。
それでも、多くの人は「つながりたい」と思っている
今回の調査で、とても前向きだと感じたのはここです。
もし聞こえづらくなったとしても、
86.3%の人が、
「解決しようと思う」
と回答しているのです。
これは素晴らしいことだと思いました。
つまり、多くのシニア世代は、
「もう歳だから仕方ない」
ではなく、
「大切な居場所を守りたい」
と思っているのです。
これは、とても力強い姿勢です。
「やること」と「漏れ出る会話」
今回の調査には、早稲田大学の石田光規教授の解説も掲載されていました。
その中で印象的だったのが、
「やること」と「漏れ出る会話」
という言葉です。
これは本当にその通りだと思いました。
日本人は特に、
「さあ交流しましょう!」
と言われると緊張してしまう人が少なくありません。
しかし、
一緒にスポーツをしたり、
趣味をしたり、
掃除をしたり、
何かを“やりながら”
自然にぽつぽつ会話が生まれる。
その積み重ねが、
「ここにいていい」
という感覚につながっていくのだと思います。
手話の世界でも「会話」は大切
これは、手話の世界でも同じです。
手話学習者の中には、
「単語を覚えること」
ばかりに意識が向く人もいます。
しかし、本当に大切なのは、
“人とやり取りすること”
です。
少しぎこちなくても、
笑いながら会話する。
うまく通じなくても、
またやってみる。
その積み重ねが、
「居場所」
を作っていきます。
会話とは、単なる情報交換ではありません。
「あなたと一緒にいたい」
という、人間関係そのものなのだと思います。
おわりに
今回の調査を読んで感じたのは、
シニア世代は決して“閉じこもりたい”わけではない、
ということです。
むしろ、
「人とつながりたい」
「社会と関わっていたい」
「楽しく話したい」
そう思っている人が、とても多い。
だからこそ、
聞こえ、
移動、
体力、
そうした課題を社会全体で支えていくことは、とても大切なのだと思います。
人生100年時代。
長く生きること以上に、
「誰かと笑いながら過ごせる時間」
をどう守るか。
これからますます重要になっていくのではないでしょうか。
元記事はこちら
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