パソコンを背負って山に登った日
せっかくだから、で人は山に登ってしまう。 パソコンを背負ったまま登ってしまった日の話。 まずは漫画で、そのあと文章で。


——というのが、今日のあらまし。 ここからは同じ話を、もう少しゆっくり。
パソコン屋で、AI活用教室の体験に行ってきた。自分のパソコンを持って参加する、という回だった。用が済んで、あとはまっすぐ帰るだけだった。それなのに、なぜか稲佐山に登ろうと思ってしまった。せっかくここまで来たのだから、散歩がてら山を越えて反対側に降りればいいのではないか。そう思ったときの自分を、今は少し恨んでいる。
傾斜はなだらかだと知っていた。たしかに、道そのものはゆるい。だが、リュックには持ってきたパソコンが入っていた。これがずっしりと重い。背中の真ん中あたりに、誰かの忘れ物を背負わされているような感覚がある。
しばらく歩いて、後悔した。なんでまっすぐ帰らなかったのだろう。緑はきれいだし、空も青い。だがそれと、背中の重さは別の話なのである。
引き返すのも、なんだか負けたような気がした。で、結局そのまま登った。中腹まではなんとかたどり着いた。展望台までは、行かなかった。あれはまた次の機会、ということにした。次の機会が来るかどうかは、わからない。
中腹に、ちょうどバスが止まっていた。行き先を見ると、私が帰りたい方向のバスだった。一瞬、乗ろうかと思った。だが、せっかく上りをここまで歩いてきたのに、下りでバスに乗るというのもどうなのか。そんな見栄みたいなものが顔を出して、結局そのままてくてく歩きはじめた。
降りながら、ローソンでおやつでも買おうと思っていた。汗をかいて、お腹の左下のあたりが、そろそろ何か入れろと言ってきていた。
店に入って、サンドイッチの棚を見た。すると、五一%増量のハムサンドが、ひとつだけ残っていた。前にも一度買って、あの増量はなかなかのものだと知っている。それがひとつだけ、私を待っていたかのように置いてある。
これは私のためだ、と思った。迷わず買った。今日のご褒美である。重いパソコンを背負って山を登った人間には、五一%くらいの増量を受け取る権利がある。
家に着くころには、お腹はぺこぺこだった。井之頭五郎ばりに、腹が減った、と声に出してしまった。誰も聞いていないのに。
袋を開けると、ハムがみっちり詰まっていた。増量は嘘ではなかった。からしマヨが少しつんとくる。パンはやわらかい。三角を二つ、あっという間に食べ終えた。
山は、ちゃんと反対側まで降りた。当初の計画の、上り下りだけは達成した。展望台には行っていないし、バスも見送った。だが、ハムは五一%増量だった。
まあ、そういう日もある


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