アボカドが、ソースじゃなくて、塊だった
モスのアボカド海老カツバーガー、テイクアウトで
紙袋を開けたら、想像していたのと違うものが乗っていた。
アボカド海老カツバーガーの「アボカド」は、ソースじゃなかった。緑色のかたまりが、トマトの上で崩れかけている。マヨネーズで和えてあるのに、なめらかになりきらずに、アボカドの繊維のひとつひとつがまだ生きている。バジルの匂いがそこから立ってくる。
包み紙を全部開いて、お皿代わりにする。テイクアウトの定石。家のテーブルの上で、湯気はもう落ち着いて、海老カツの衣がしっとりしてきているのがわかる。これはこれで、揚げたてとは別の食べ物になっていく時間だ。
一口目を取り出す前に、まずバンズを少しだけ持ち上げてみた。トマトの輪切りが、思っていたより厚い。指で押すと汁がにじんで、バジルの緑がそれを吸い始める。色が、勝手に混ざっていく。
噛んだ最初に来たのは、衣の塩気だった。海老の味はそのあと、少し遅れて来る。海老カツの「カツ」と書いてあるけど、中身はペースト寄りで、海老の粒が時々歯に当たる程度。だから歯ごたえじゃなくて、香りが主役になる。
二口目で、アボカドのかたまりが奥歯で潰れた。
油分の重さが、口の中の温度をすこし下げる。バジルが鼻に抜けるのは、そこからだった。トマトの酸が、その油を切る。順番がきれいに並んでいて、つくった人が口の中の物語を考えているんだなと思った。
横に置いていたモスチキンを、半分ほど食べたところで思い出して持ち上げる。骨ぎわの肉が、衣ごと外れる。スパイスは胡椒が強くて、バーガーの甘めの方向とちゃんと違う場所にある。同じ袋から出てきたのに、別の景色を見ている食べ物。
最後の一口になる頃には、バンズが包み紙の油を吸って、少しだけ湿っていた。揚げたてではない、テイクアウトのモスの、完成されたかたち。家まで持って帰った時間ごと、味の一部になっている。
包み紙を畳む手が、油でかすかに緑になっていた。

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