五十一パーセントは、私のためにある
一ヶ月ぶりにジムに行った。マラニックの大会が終わってから、一度も行っていなかった。
休養だ、と自分に言い聞かせていた。大会のあとは身体を休めるものだ。プロもそうしている。たぶん。
それに、まったく動いていなかったわけではない。散歩はしていた。買い物にも歩いて行った。日々それなりに歩数は稼いでいる。だから筋肉も、そこそこ保たれているはずだった。私はそう思っていた。
ところが、である。
マシンに座って、いつものように足を伸ばそうとした。おもりはまだつけていない。台の重さだけだ。それなのに、重い。
おかしいな、と思ってピンの位置を確認した。やはり何もついていない。ついていないのに重い。つまり重いのは私のほうだった。
歩くことと、筋トレは、別の話らしい。考えてみれば当たり前だ。散歩でスクワットはしない。買い物袋は腿の筋肉を鍛えない。私はこの一ヶ月、自分に都合のいい計算をしていたのだった。
それでも一応、ひととおりやった。腕、背中、脚。どれもこれも、一ヶ月前の自分が遠くにいる感じがする。最後はトレッドミルに乗って、三十分歩いた。終わりがけに少しだけ走った。ほんの少しだ。
汗はかいた。気持ちのいい汗だった。シャワーを浴びて着替えて、よし、と思った瞬間、どっと疲れがきた。足が重い。さっきマシンで重かったのとは別の重さだ。
帰り道、当然のようにローソンに寄った。頑張ったあとには、ご褒美がいる。これは交渉の余地のないルールだ。

プレミアムロールケーキを買った。税込二百十四円。今は五十一パーセント増量中らしい。創業五十一周年だから五十一パーセントなのだそうだ。よく考えるものだと思う。
家でフタを開けた。クリームがこんもり盛り上がって、容器の縁からはみ出している。横から見ると、スポンジは下のほうにほんの少し。あとはぜんぶクリームだった。これが五十一パーセントの正体か、と思った。スポンジの立場がない。
スプーンですくって食べた。クリームが多い。当たり前だ。五十一パーセントぶん、多い。

頑張ったのだから、これは0カロリーだ。私はそう信じている。来週からは、もっと頑張るつもりでいる。



いいなと思ったら応援しよう!
記事を読んでくれてありがとうございます。気が向いたら、チップで応援していただけると、次の漫画やエッセイを描く力になります。