見出し画像

完璧な刺身、まさかのたこ焼き

タコの日、ビルビルが用意してくれた刺身を横目に、私は半額のたこ焼きを持って帰ってきた。

タコの日だと思い出したのは、スーパーの前を通りかかったときだった。

半夏生。稲がタコの足のように根付くように、という話をどこかで読んだ気がする。関西の風習らしい。長崎にその風習があるのかは知らない。とりあえず入ってみることにした。

刺身コーナーに向かったつもりだった。ところが気がつくと、たこ焼きのパックを持ってレジに並んでいた。

理由は単純で、値引きシールが貼ってあったからである。半額。夕方七時を過ぎると、こういうことが起きる。

タコを食べる日に、タコの刺身ではなくタコ焼きを選んだことについて、特に反省はしていない。タコはタコである。粉と油でくるまれていようが、タコはタコの役目を果たしているはずだ。

家に帰って、まずレンジで温めた。それだけで済ませるつもりだった。

ところが、フライパンにバターをひとかけ落として、表面だけ焼き直すことにした。理由は特にない。なんとなく、である。

パチパチと音がして、たこ焼きの角が茶色くなっていく。バターの匂いが台所に広がる。ソースと醤油とバターは、もしかしたら相性がいいのかもしれない。あごだし醤油ベースだったことを、このとき初めて思い出した。

八個、皿に並べた。たしかミスドでもらった皿だったと思う。中身とは何の関係もない。

そのまま八個、ちゃんと完食した。バターの風味が最後まで残っていて、悪くなかった。

半夏生も、値引きシールも、バターも、結局は同じことを言っているのかもしれない。しかるべきときに、しかるべきものを足せ、と。

まあ、そういうことにしておく。

*漫画は新宇佐美式六号で描きました。


いいなと思ったら応援しよう!

三毛野たま@AI漫画 記事を読んでくれてありがとうございます。気が向いたら、チップで応援していただけると、次の漫画やエッセイを描く力になります。