【新人助産師】分娩介助の振り返り方|経験を成長につなげる5つのコツ
こんにちは☀️新人助産師さんを応援したい先輩助産師のキャリーです🌷
新人助産師さんから、こんな相談を受けることがあります。
「分娩介助が終わると、反省ばかりしてしまいます…」
「先輩に『振り返っておいてね』と言われるけれど、何を振り返ればいいのか分かりません…」
私も新人の頃は、毎回のように落ち込んでいました〜😭
「肛門保護から会陰保護への切り替えが遅かった。」
「前在肩甲の娩出が不充分で体幹娩出に時間がかかった。」
「経産婦さんのお産のスピードに全然ついていけなかった。」
できなかったことばかりが頭に残り、「向いていないのかもしれない」と悩んだこともあります🌀
でも今振り返ると、私が成長できた理由は分娩件数が増えたからではありません。1つ1つのお産を丁寧に振り返り、「次のお産にどう生かすか」を考え続けたからです。
今回は、私が新人時代から今でも大切にしている「分娩介助の振り返り方」をお伝えします👇
1.振り返りは「反省会」ではなく「学びの時間」
振り返りというと、
「もっと早くリーダーに報告すればよかった。」
「児頭の娩出をコントロールするために、怒責をやめてもらうタイミングが遅かった。」
と、できなかったことばかり考えてしまいがちです。もちろん改善点を整理することは大切です。でも、それだけではもったいないと思っています。
ぜひ一緒に振り返ってほしいのが、「なぜうまくいったのか」という視点です。
例えば、
・なぜ分娩進行は順調だったのか。
・なぜ産婦さんは安心してお産に臨めたのか。
・なぜ胎児の状態は最後まで安定していたのか。
・なぜ会陰裂傷が小さく済んだのか。
順調なお産ほど、「よかったね」で終わらせてしまいがちです。でも、良い結果にも必ず理由があります。
その理由を言葉にできるようになると、次のお産でも同じようなケアを再現できるようになります。
2.結果ではなく「考えた過程」を振り返る
分娩の振り返りで一番大切なのは、
結果ではなく、その時点で何を見て、何を考え、なぜその行動を選択したのかを振り返ることです。
例えば、
・なぜそのタイミングで内診をしたのか。
・なぜ体位変換を選んだのか。
・なぜ医師へ報告したのか。
・なぜ経過観察を選んだのか。
「もっと早く報告すればよかった。」という結果だけではなく、
そのとき、自分は何を根拠に判断していたのか。
そこを言葉にすることで、臨床判断力は少しずつ育っていきます。
3.先輩の「暗黙知」を学ぶ
新人の頃、今でも忘れられないお産があります。
経産婦さんのお産で、分娩進行を十分に予測できず、気づいたときにはもう児頭が見えていました。
私は慌てて清潔手袋を装着しましたが、その間に先輩助産師は緊急コールで応援を要請し、ナプキンで児頭を保護しながら、産婦さんへ「ふーっと息をゆっくり吐きましょう」と呼吸を整える声かけをしていました。
当時は、「やらかしてしまった…産婦さんにも、スタッフのみんなにも迷惑かけた…」そんな思いでいっぱいでした。
でも今振り返ると、本当に学ぶべきことはそこではありませんでした。
先輩は何を見て、「もう生まれる」と判断したのか。
なぜ、まず応援要請と産婦さんへの声かけを優先したのか。
その判断の過程を学ぶことが、私を今も支えてくれています。新人の頃は、「自分ができなかったこと」に目が向きがちです。
でも、それ以上に大切なのは、先輩助産師が、何を見て、何を考え、どう動いていたのか。
先輩の「暗黙知」を言葉にしてもらうようにしましょう。
先輩たちは教科書だけでは学べない「産婦さんの呼吸の変化」・「息づかいや声のトーン」など、こうした小さな変化から分娩の進行を予測しています。
でも、新人時代その小さな変化に気づくことが難しいです。だからこそ、
「どこを見ていましたか?」・「どうしてそう判断したんですか?」と先輩に質問してください。
そこに目を向け、過程と結果を振り返り、次回の分娩に向けて再現できる視点を探すことだと思っています。
4.医師を巻き込んでチームで振り返る
私は今でも、分娩後に医師や同僚の助産師と振り返る時間をとても大切にしています。
助産師は助産師の視点でお産を見ています。
医師は医師の視点で、お産の進行や母児の安全性、医療介入のタイミングを判断しています。
同じ分娩に立ち会っていても、それぞれが見ている情報や、判断の根拠は少しずつ異なります。だからこそ、立場の違うメンバー同士で振り返ることに大きな価値があります。
例えば、外陰部の縫合をしているタイミングで落ち着いていれば、
「会陰切開をしていたのに、切開創以外にも裂傷ができたのはなぜですか?」
「今回、3度会陰裂傷になった要因として考えられることは何ですか?」
「助産師として予防できたことはありましたか?」
と質問します。
また、胎児心拍モニタリング(CTG)も一緒に見返します。
例えば、
「私はこの時点の内診所見と分娩経過から経膣分娩を目指せると思っていました。先生はどの波形から、帝王切開に切り替えて分娩を急ぐ必要があると判断しましたか?」
「分娩を急いだのは、高度遷延一過性徐脈に移行しそうな高度遅発一過性徐脈が続いていたから」
とこのように、波形だけを見るのではなく、「その波形をどう解釈し、どう判断して行動したのか」まで確認することで、教科書だけでは身につかない臨床判断を学ぶことができます。
振り返りは、「正解を当てる時間」ではありません。チームで判断の根拠を共有し、次の分娩に教訓を生かす時間だと思っています。
5.経験を、自分だけの財産にする
前々回の記事で「My分娩台帳」を準備することをおすすめしました👇
分娩係が始まったら、ぜひそのノートを振り返りに活用してください。
私が分娩介助の記録以外に書き残していたのは、
・先輩や医師から教わったこと
・今日一番印象に残ったこと
・次のお産で意識すること(次回の目標と課題)
です。
例えば、「経産婦さんのお産の進行を予測できなかった。」だけで終わらせるのではなく、
「〇〇先輩は、産婦さんの呼吸や声の変化を見て分娩進行を予測していた。」そんな一言を書き添えるだけでも、次のお産を見る視点が変わります。
経験は時間とともに薄れてしまいます。でも、学びを書き残しておけば、学びや経験が蓄積され、それはあなたの助産師人生を支える財産になってくれるはずです。
最後に
実習指導や新人教育をしていると、成長が早い助産師さんには共通点があります。
それは、「できた・できなかった」で終わらせず、「なぜそうなったのか」を自分の言葉で考え、周りに質問できる人です。
経験の差は、振り返りの差。私はそう感じています。
新人時代は、分娩介助が終わるたびに落ち込む日もあるかもしれません。
でも、1つのお産を丁寧に振り返り、チームの知識を自分のものにしていくことで、少しずつ自信は育っていきます。今日のお産は、二度と経験できない、あなただけの1例です。ぜひ一つでも学びを持ち帰り、次のお産につなげてください。
その積み重ねが、いつかきっと、「分娩介助が怖い。」から、
「分娩介助って、本当に奥が深くて楽しい。」そう思える未来につながっているはずです。
今回は「経験をどう自分の力に変えるか」に焦点を当てていますが、前回の記事では
分娩への向き合い方について紹介しているので、分娩介助への不安を少しでも自信に変えるヒントになれば幸いです。
