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#9-6 炎の行く末|追憶のオリジン~氷の女王の眠る街


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第6話 炎の行く末


ゴオォォォォーーー!!


足場はもうない。

賢者の石もどこかに流されていった。


レイは、倒れかけた柱にしがみつきながら、氷山が溶けてぽっかり開いた空に向かって、必死に角笛を吹いた。


フィーーーッ


遠くから風を裂く音がした。

シロオオタカ(白鷹)がザアッと舞い降りて、レイをさらうように背に乗せて飛び上がった。


視界の端で、いままでいた柱が水に飲まれていく。

一面は海となり渦を巻いて荒れ狂っていた。裂けた地面の奥では、真っ赤な溶岩が煮えたぎっている。

水の、大地の、悲鳴が聞こえる。まるでこの世の終わりをみるようだった。


「イオ!イオは……」


白鷹にしがみつきながら懸命に視線を動かすと、レイと同じ高さにイオが飛んでいた。


「イオ……!無事だったか!」


その背に――翼が生えていた。

人間離れしたイオの姿に、レイは言葉を失った。




女王を覆い尽くす炎は、やがて巨大な翼の形を成した。

燃えさかる翼が、ゆっくりと、力強く羽ばたく。


バサァ…!!


一気に周りのものが吹き飛んだ。
レイとイオは、嵐のような熱風に耐える。


そして、鳳凰の羽を持った女王は、空に舞い上がった。
世界をぐるりと見渡すと、また一声、咆哮をあげた。


『うおーーーぉぉん!』


その声はビリビリと空気を裂く。

なんて悲しい叫びなんだと、レイは思った。


氷山はみるみる溶けてゆき、所々で噴煙が上がっていた。
膨大な水はとどまることを知らず、ふもとへと流れていく。


レイはシロオオタカの上で、成すすべもなく、事の成り行きを見つめていた。


(どうか、どうかあの火が、水が、街まで届かぬように…)

心の中でただ祈った。




『壊れた…何もかも…』

女王の低く刺さるような声が、世界の隅々にまで響き渡る。


『なぜ、壊した…』


『なぜ孤独にした…』


『なぜ…愛されなかった…』


女王の目には、怒りと悲しみ、絶望と喪失の白い炎が宿っている。


『壊す……ならば、すべてを壊してやろう』


その白い瞳が燃え上がる。

女王が羽ばたきに力を込めた。


その胸には、黄金の目をカッと見開いたミミと、ぐったりとしたルリとタトが見えた。


(ああ、僕は……見ていることしかできないのか…?)

(あそこに君たちが見えるのに!ミミ、タト、ルリ……!!)



(つづく)


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