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記憶のカケラ│ふたりの夜空〜ミニエピソード

【背景】
その日の昼に、森で奇跡的に出会ったタトとミミ。(追憶のオリジン 本編2-6 )
こちらからのミニエピソード。


夜。
森はすっかり様子を変え、焚き火が静かに薪をはんでいた。
タトはミミの屋根付きの簡易寝床でマントにくるまり、目を閉じていた。

けれど、耳だけは周囲に集中していた。魔動物の気配は、ない。

それでも、何かが…くすぐったように気になる。


「……タト、ねてる?」 

小さな声がすぐ近くから聞こえた。

目を開けると、火を背にしたミミの影が揺れている。


「まだだよ。」


「えへへ、ミミもー。」


タトが身を起こすと、ミミは火にあたるように手を伸ばしながら、ちらっとタトを見る。

尻尾が、そわそわと揺れている。


「なんだかね、誰かと一緒に寝るの、ひさしぶりなの。」


「…そっか。」


「うん。なんか、寝れないの。
タト、他の街から来たんだもんね。すごいね…」


タトはミミを向いて座り直した。


「ボクこそ、今日、森でミミに出会えなかったら、本当に心細かったと思う。」


「えへへ。じゃあ、ミミ、いてよかったね!」


「うん、いてくれてよかった。」


ふたりはしばらく黙って火を見つめていた。

森の上空に開けた夜空に、冷たい光が瞬いている。



「……タト、また明日も一緒にいられる?」


「もちろん。案内、頼んでるからね。」


「うん!」


ミミはふにゃっとした笑顔になり、タトの隣に転がりこんでピッタリとくっついた。


ミミは体温が高いようだ。


タトは、何日かぶりに夜に体を横たえた。

人と炎がこんなにも安心するなんて。




その温もりと共に、泥のように眠りに落ちていった。


ミミは…しばらく尻尾が揺れていたが――やがて動きが止まり、規則正しい寝息が夜に溶けていった。




(#2-7へつづく)








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望月むう(ムーン)🐾|物語と思考|物語に浸りたい ここまで読んでくれてありがとう♡