#2-6 温かい食事|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜
第6話 温かい食事
「ミミは、上手に肉を焼くね」
小さな手際の良さに感心しつつ、タトは思う。
(こんなに小さいのに……ニナよりも幼く見える。5歳くらいだろうか)
「ふぇっ!? え、えへへへ〜」
不意の褒め言葉に、ミミは照れくさそうに笑った。
「ミミは……火が使えるんだね」
「う、うん……」
ミミは一瞬ハッとし、視線を伏せて言葉を濁した。
「ルミナリーにも、火を使える人がいたよ。長老が、いつも火を扱ってくれていた」
タトはその様子を見て、ゆっくりと話した。
ミミはその言葉に顔を上げ、目を輝かせた。
「そうなの!? ミミとおんなじだ〜!でもね、街では火を使っちゃいけないの。でも、ここには誰も来ないから…! はい、焼けたよ!」
「ありがとう…」
タトは熱々の肉を一口かじる。久しぶりの温かな食べ物に、思わず頬がゆるんだ。肉汁が、体中にしみわたっていく。
「お礼に、ベリーのジュースをどうぞ」
「なにそれ?!」
「ルルベリーのジュースだよ。初めて?」
「うん!」
ミミは目をキラキラさせて匂いを嗅ぎ、ぺろりと舐めると——
「ん〜〜〜!」と顔を真っ赤にした。
「苦手だった?」
「ううん、あまーい!すーすーする〜!」
「蜜で甘くして、レモンバームとミントを混ぜてあるんだ」
「こくん……ふわぁ〜……ちょっとでいいや」
「さすが、わかってるね。一口で疲労回復するんだよ」
ミミは驚いたようにタトを見上げ、ふわっと笑った。
「タト、好き!!」
そして、勢いよくモフッと抱きついてきた。
タトは戸惑いながらも、その頭をそっと撫でた。
(……ニナを思い出すな)
たった数日しか離れていないのに、街の生活が遠くに感じる。
ミミの無邪気な暖かさに、張りつめていた心が少しだけ緩んでいく気がした。
「今日は泊まっていって! 明日、フェリサリアに案内してあげる!」
「うん、お願いするよ」
「やったー!!」
(つづく)
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