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大自然が作り出す記録② - 扇状地

山に囲まれた盆地や、大きな山脈の麓。
そこには、緩やかな斜面が広がっている。
一見、なんの変哲もない普通の坂に感じるかもしれない。
でも周りを見回してみたら、豊かな湧水や果樹園が多い地域ではないだろうか?
その地形、もしかしたら「扇状地」かもしれないよ。

前回の「河岸段丘」に関する記事はこちら。

扇状地ってなんだっけ?

扇状地(せんじょうち)。
川の流れが急な谷から緩やかな平地に出るところにできる、扇子を広げたような形の緩やかな傾斜地だよ。
激しい水流に乗った岩石や砂礫が、緩やかな流れに変わった場所で「堆積」していく。
それが長い年月をかけて積み重なり、やがて川がいくつにも枝分かれして堆積する場所を広げていくことで形成されるんだ。

また、扇状地はその部分ごとに名前が分かれてるよ。

  • 扇頂:上流側。谷から平地に出る部分。

  • 扇央:扇状の地形の中央部分。

  • 扇端:下流側。扇の末端部分。

一般的に、それぞれの場所で水の流れ方や土地利用のされ方に違いが出てきたりするよ。

どうやってできるの?

大雨で川の流れが激しい時は大きな岩石が、通常時は砂礫や火山灰などの細かい粒子が、山から谷を経由して運ばれてくる。
それが平地に出ると、水の勢いが急に弱まって、谷の出口にどんどん堆積していくんだ。
こうして粒の粗い堆積物が積み重なるから、扇状地は水捌けの良い土地になりやすいんだよ。

扇状地の生成過程

扇状地にできる特徴的な地形

  • 水無川:水捌けが良すぎて、途中から川の水が全て地下を流れてしまう川のことだよ。地下を流れる水は「伏流水」と呼ぶよ。

  • 扇端湧水地:地下に染み込んだ水が、扇状地の端で泉のように湧き出すんだ。

  • 天井川:扇状地では川が多くの土砂を運ぶから、堤防で河道を固定しても川底に堆積物がどんどん溜まっていく。すると堤防の高さが足りなくなって氾濫の危険が増すので、かさ上げが繰り返されるんだ。その結果、川底が周囲の土地よりも高い位置になってしまった川のことだよ。

日本各地の扇状地

それじゃここからは、地理院地図を使いながら、日本各地の扇状地を見ていこう。

山梨県京戸川扇状地

笛吹市および甲州市に広がる扇状地。
京戸川が甲府盆地に流れ込む場所に広がっているよ。

等高線が綺麗な扇状に広がる(出典:地理院地図)

ここはお手本のような扇状地だね。
地図記号を確認すると、果樹園が広がっているのが分かります。
よく見ると扇状地の扇央辺りからいくつも川の源流がある。これらは、もしかしたら扇端湧水や伏流水が地上に出ている場所なのかもね。

富山県黒部川扇状地

黒部市、入善町、朝日町に広がる扇状地。
黒部川が新川平野に流れ込む場所に広がっているよ。
扇頂から扇端までが約13.5kmあり、典型的な扇状地としては日本一の大きさと言われているんだ。

海際まで扇状地が広がっている(出典:地理院地図)

黒部川は急流なこともあり、上流にダム群ができるまでは扇状地上にさまざまな流路を形成していたんだってさ。
これは扇状地の典型的な特徴でもあるんだけど、黒部川はそれが顕著だったみたい。

地下水も豊富で、扇状地内では多くの湧水があるらしい。これらは、「黒部川扇状地湧水群」と呼ばれているそうだよ。

長野県梓川扇状地

松本市や安曇野市周辺に広がる扇状地。
梓川からの単独扇状地だけでなく、黒沢川、烏川などと共に、松本盆地へ流れ込む場所に巨大な複合扇状地を形成しているよ。

多数の扇状地が広がる(出典:地理院地図)

北アルプスの山々から流れる各河川が、それぞれ扇状地を形成しているんだ。
また、松本盆地の東寄りに位置する松本城も、さらに東の筑摩山地から流れる薄川と女鳥羽川の複合扇状地上に立地しているよ。

松本城から眺める北アルプス。麓には梓川扇状地

梓川扇状地は水無川が多く、江戸時代には扇央で水を得るのが非常に難しかったんだ。
そこで江戸時代末期、松本藩は拾ケ堰(じっかぜき)などの大規模な用水路を開削して、農地の水不足を解決したんだよ。
今も広がる安曇野の田園風景は、この水利工事のおかげで広がってるんだね。

扇状地と暮らし

扇状地では、それぞれの位置によって土地利用のされ方が変わってくるよ。

扇頂部

水が得やすかったり、山間部の集落と平地部の集落をつなぐ交通の要衝となりやすいという理由から、集落が発達しやすいよ。
こういう集落を「谷口集落」というんだ。

扇央部

土地の水捌けが良く、水無川が多いため、水が得にくいという特徴があるよ。
そのため、果樹園に利用されることが多い。
また江戸時代などに用水路を開削し、農業用地として利用できるようにした場所もあるんだ。

扇端部

扇端湧水地が多く、水が得やすいよ。
そのため集落や水田に利用されることが多いんだ。
稲作は、湧水を安定して利用できる場所ならではの土地利用だね。

まとめ

扇状地。
一見するとただの斜面だけど、山脈の麓に広がり、それぞれの場所で暮らしに合った土地利用がされてきたんだね。
そしてその姿は、川の力と人の営みが作り上げた、長い時間の記録でもあったんだ。

もし旅先で果実豊かな斜面を見かけたら、そこは「扇状地」かも。
その時は扇頂や扇端を探したり、水無川が無いかも調べてみてね。

「こんなおすすめの扇状地もあるよ」
という情報や、
「読んだけどイマイチよく分からないから教えて」
という疑問も大歓迎です!
ぜひコメントで教えてください。

最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
次回は「三角州」を投稿予定!
それでは、また!

出典・参考資料

国土地理院「地理院地図」
https://maps.gsi.go.jp

富山県ホームページ
https://www.pref.toyama.jp/index.html

安曇野市ホームページ
https://www.city.azumino.nagano.jp

#Masaharuの学び記録 #自然地理メモ #扇状地

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