大自然が作り出す記録③ - 三角州
川は山から平野を抜け、やがて海へと出る。
その途中で生まれるのが扇状地、そして河岸段丘。
とうとうと流れていき、最後に辿り着く川の旅の終着点。海へ向かって枝分かれする大河と、そこに暮らす人々の営み。
その地形、もしかしたら「三角州」かもしれないよ。
前回の「扇状地」に関する記事はこちら。
三角州ってなんだっけ?
三角州(さんかくす)。
河口付近、海との境目にできる、川に囲まれた低くて平らな陸地だよ。枝分かれした川と海岸線の作る形が三角形に見えることからこの名がついている。
ギリシャ文字のΔ(デルタ)にも似ていることから、デルタともよばれるよ。
どうやってできるの?
川の上流から流れてきた砂や泥が、河口付近で水の流れが急に緩やかになることで沈み、堆積してできるよ。
一方で、海まで出た堆積物は沿岸流で流されるため、海岸線側は削られて三角形になるんだ。
三角州ができるには、こんな条件が必要なんだよ。
川から十分な量の砂や泥が運ばれてくること
河口付近の海底が、土砂のたまりやすい地形であること
沿岸流が強すぎないこと
扇状地は大きめの岩や礫が多かったのに対して、三角州は細かい砂や泥が溜まるんだ。だから保水性が高く、水はけの悪い土地になるよ。

三角州の種類
こうしてできた三角州は、場所の環境や沿岸流の影響によって、大きく以下の3つに分類されるよ。
鳥趾(ちょうし)状三角州
遠浅で土砂が堆積しやすく、沿岸流が弱い場所に形成される。河道に沿って堆積した陸地が海側に突き出し、三角州がまるで鳥の趾(あし)のような形になることから、この名前が付けられている。円弧状三角州
川から供給され堆積する土砂と、沿岸流による侵食のバランスが取れている時に形成される。その名の通り、海岸線は円弧状になる。尖状(せんじょう)三角州
またの名をカスプ状三角州。川から土砂は供給されるが、沿岸流による侵食が強い場合に形成される。河口から離れるほど海岸線が削られるため、尖った形となる。カスプは英単語でcusp。「先端」「尖った」を意味する。
日本各地の三角州
日本の多くの海岸は沖へ向かって急に深くなるため、大規模な三角州はあまり発達しないんだ。
世界には
アメリカ・ミシシッピ川(鳥趾状三角州)
エジプト・ナイル川(円弧状三角州)
イタリア・テヴェレ川(尖状三角州)
など、教科書でもおなじみの大規模な三角州があるけれど、ここではあえて日本の代表的な三角州を、地理院地図で見ていこう。
広島県太田川
広島市の中心部である中区、南区、西区を流れる太田川。
中国山地に源流を持ち、瀬戸内海に流れ出る河口に、広がりのある三角州をつくっているよ。

とてもわかりやすく、お手本のような三角州だね。
下流域は広島市の都市開発で埋め立てられているため、先端部には人工的な地形も見られるよ。
開発前の古地図を見ると、自然状態では円弧状三角州に近かったように感じるね。
三角州は平坦で水が確保しやすく、肥沃な土地で農耕にも適している。
さらに、川と海をつなぐ交通の要衝にもなるため、古くから都市が発展しやすい場所なんだ。
太田川の河口には、そうした地形の特徴を活かして、広島市の市街地が広がっているよ。
北海道網走川
大空町に位置する、鳥趾状三角州の代表格。
阿寒山系・阿幌岳に源流を持つ網走川が、網走湖に流れ出る河口に広がっているよ。

三角州は海だけでなく、湖に注ぐ河口にも形成されることがあるんだ。
沿岸流の影響が少ない網走湖だからこそ、鳥趾状の形がはっきりと発達したのかもしれないね。
地図記号を見ると、周囲には水田が広がり、紅葉樹林も見られるよ。
千葉県小櫃川
木更津市に位置する、円弧状三角州の代表格。
上総丘陵に源流を持つ小櫃川が、東京湾へ流れ出る河口に広がっているよ。

やや小ぶりながらも、円弧状の形がはっきりとわかるね。
この三角州は、東京湾では数少ない干潟をともなっていて、周囲には水田も広がっているよ。
ちなみに少し脱線するけど、ここには「浸透実験池跡」という、ちょっと変わった形の産業遺産があるんだ。
(三角州の話からは外れるので、今回は割愛するね)
尖状三角州は?
日本には、明確な尖状三角州に関する資料は見つからなかったよ。
ただ、静岡県安倍川、静岡県天竜川、石川県川尻川では尖状に近い地形を指摘されることがあるんだ。
ここでは川尻川の地形を見てみるね。石川県七尾市にあり、七尾湾に流れ出ているよ。

ただ、河道の改変によってできた地形の可能性も高く、自然の尖状三角州とは言い切れないんだ。
日本でははっきりとした例が見つからないので、尖状三角州は珍しい地形だといえるのかもしれないね。
三角州と暮らし
前述のとおり、三角州は保水性が高く水はけが悪いため、水田として利用されやすい土地だよ。
また、川に囲まれて水を得やすく、川と海をつなぐ交通の要衝にもなることから、古くから都市が発達しやすいんだ。
だけど、メリットばかりではない。
低地で川に囲まれているため、昔からたびたび水害に見舞われてきた。さらに海が近いことから、高潮の被害も受けやすいんだ。
細かい砂や泥でできた地盤は、大地震の際に液状化や津波の影響を受けやすいという弱点もある。
それでも人々は、そうした自然の厳しさに向き合いながら暮らしてきた。
そして今では、多くの三角州の上に大都市の景色が広がっているんだ。
まとめ
山から流れ出た水は、扇状地をつくり、やがて河岸段丘を刻みながら流れ下り、最後は三角州をともなって海へとそそぐ。
これまで紹介してきた河川地形の代表的な3つ、扇状地・河岸段丘・三角州は、ひとつの川の旅の物語でもあるんだ。
海沿いの大都市を訪れたら、その大地にも注目してみてね。
大きな川の河口部に広がる街は、三角州の上に築かれているかもしれないよ。
もし「ここもおすすめ」という三角州がありましたら、ぜひコメントで教えてください。
地形の話で盛り上がりましょう!
次回は「リアス海岸」を投稿予定!
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それでは、また!
出典・参考資料
国土地理院「地理院地図」
https://maps.gsi.go.jp
国土地理院「三角州」
https://www.gsi.go.jp/CHIRIKYOUIKU/kawa_1-4-6.html
