見出し画像

【読書】人間の脳はまだまだアナログ~勝手に応援!『ビッグイシュー日本版』(VOL.528 2026.6.1)~

『ビッグイシュー日本版』を勝手に応援する記事、第131弾です。
そもそも「『ビッグイシュー日本版』とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。


今号の特集は、「"紙とデジタル”を使い分ける」です。


実験から「文章の誤りを見つける校正作業では、タブレット端末より紙のほうが17.2%も検出率が高いこと」「複数の文書を参照する校正作業では紙がパソコンより25.5%も速く、文書の特定のページにジャンプして答えを探す実験では、紙はパソコンより36.5%、タブレット端末より38.6%も速いこと」などがわかった。

p.8

校正作業は紙の方が絶対に良いのは、実感として分かります。


「子どもの場合、ディスプレイで文章を読むと、読みのスピードや理解度が低下することを示す研究が数多くあります」

p.11

人間の脳は、まだまだ思う以上にアナログなのではないでしょうか。


「手書きは紙に物理的な痕跡を残すので、書き込んだ内容の印象が強くなると考えられます。パソコンのキーボードは圧倒的に早く(原文ママ)入力できますが、その分、認知負荷(作業に伴う心理的負担)が高いため、手書きのほうが書きながら思考を深められるメリットがあります」

p.12

だから私はアナログに、せっせとプリントを配り、書き込ませるのです。本当は中学生のうちはプリントさえ配らず、全部ノートに書いてほしいくらですが、今時さすがにそれは無理だし、板書する私も大変なので。


記事で紹介されていたQuoteというSNS、覗いてみましたが、面白そうです。「本の一部を引用して気軽にコメントできる」(p.13)そうです。とはいえ私自身はブログとnoteで手いっぱいなので、始めるのは無理そうですが。


同じ本でも、紙の本とデジタル版のセット販売があれば、外に行く時はデジタルで持ち運び、家にいる時は紙の本を読んで、読み終えたら紙の本はリサイクルに回して、デジタルで保存するといった使い分けもできるのではないでしょうか。

p.13

これ、実現にはいろいろ課題があるとは思いますが、すごく良いです。


特集以外では、まず映画『急に具合が悪くなる』に出演した岡本多緒さんのインタビューの一節が印象的でした。

本作では「ユマニチュード」の考え方や実践が一貫して丁寧に描かれている。ユマニチュードとは「人間らしさを取り戻す」ことを意味するフランス語。ケアを受ける人の尊厳を守るフランス発祥の認知症のケア技法だ。
「ユマニチュードの根底には、最期の時まで魂のある人間としてその人に向き合うという考え方があります」

p.6

「資本主義は”自分たちの外側に負担を強いて、今ここがうまくいっているように見せかけるシステム”」

p.6

この資本主義の捉え方、斎藤幸平さんの本を読んだばかりなので、とても納得がいきます。


「雨宮処凛の活動日誌」で紹介された、3月28日に国会前で開催された「オタクによる反戦デモ」、良いですね。

戦争のせいで紙の値段が上がれば同人誌も作れないこと、戦後80年、平和だったからこそ世界に誇る「日本のアニメ」文化が花開いたこと、戦時体制になれば国が押し付けるものしか見られなくなること、そういうものから自由であるためにオタクになったことなどが語られた。

p.17


昨今のデモで大量発生している謎の幟の説明には、なるほどと思いました。

もうなんのことだかよくわからないし戦争とか関係なくない?というものもあるが、これらすべて、架空の団体の幟。デモが特定の団体と結びつけられたり「金で動員されてる」的な言説に対抗し、個人参加であることを示すため韓国で始まったムーブメントだという。

p.17


AIと3Dプリンタを駆使し、従来の10分の1以下の価格で義足をつくることを可能にした、インスタリム株式会社の徳島泰さんの言葉には驚きました。

「実は義足ユーザーの8割以上は、血管性疾患の切断によるものなんです。特に深刻なのが糖尿病です。日本でも糖尿病は国民病として有名ですが、東南アジアなど発展途上国ではさらに罹患率が高く、足の壊疽で切断に至る人がとても多いんです」

p.22

「かつては贅沢病とも呼ばれた糖尿病も、今は反対に『貧困病』として捉えられています。日々飢えるほどの最貧困国からは脱しても、栄養バランスに富んだ食事は難しい。そんな途上国では、ほんの少しのおかずにパンや米、ナンなどの炭水化物を多く摂り、糖尿病を招きやすいんです」

p.22


徳島さんの夢が良いです。ぜひ叶いますように!

「10年以内に、世界中で義足に悩む人が一人もいなくなること!」ときっぱりと答えた。
「僕一人では世界の貧困や戦争をなくすことはできないかもしれません。でも義足をつくることで、『絶望の底を浅くさせる』ことはできる。10年しないうちに僕の夢が叶っていることを願っています」

p.23


今回の松久保肇さんの「原発ウォッチ」はビッグイシュー・オンラインで全文読めます。

以下の部分だけは衝撃だったので、引用しておきます。

武力紛争時のルールを定めたジュネーブ諸条約は原発への攻撃を禁じている。だが批准していないなどの理由から、この条約が適用されない場合もある。また条約上は核兵器の材料を製造できる再処理施設(プルトニウム)やウラン濃縮施設(高濃縮ウラン)への攻撃は明示的には禁じられていない。

p.24

なぜ「明示的には禁じられていない」のか、理解に苦しみます。


「マイ・オピニオン」のHemHemさんの嘆きには、驚きました。

「子育ての傍ら、パートとして介護の現場に立ち続け」、「介護福祉士の資格も取得し」たのに、「正社員への挑戦を決めましたが、そこで待っていたのは『未経験者と同じ最低額からのスタート』という現実」(p.26)って、ひどすぎます。なぜパートとしての経験も、介護福祉士の資格も給与に反映されないのでしょう。HemHemさんの就職された先に問題があるのか、介護の世界の問題なのか、どちらだとしても、これでは介護の仕事をしようという人の意欲をそいでしまいます。


今号も、多くの学びがありました。


『ビッグイシュー日本版』のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。


コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。


もちろん年間での定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。


見出し画像は、今号の封筒に貼られていたシールです。「小商い」で発送作業をしてくださった宮本さん、いつもありがとうございます。




いいなと思ったら応援しよう!

margrete(まるぐれーて) 記事の内容が、お役に立てれば幸いです。頂いたサポートは、記事を書くための書籍の購入代や映画のチケット代などの軍資金として、ありがたく使わせていただきます。

この記事が参加している募集