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なぜたぬきなのか|ある里のFIELD NOTE

 「何故メンバーシップのプラン名がたぬきなのか」
 それについて一度も触れてこなかったので、ここにこっそり書き置いておきます。

【PR】この記事はたぬき関連の書籍紹介を含みます


創作活動における「たぬき」

 実はこれまでに創作活動(小説執筆など)において、「たぬき」を象徴的に登場させるなど、私にとっては愛着のある存在です。人語を話すもふもふキャラとかではなく、むしろその舞台における素粒子みたいな位置付けで。

 とにかく自分の手元でできる範囲で、たぬきを増殖させ、人の意識から「たぬき」と言う日本固有の存在を忘れ去られないよう努めてきました。

 一体何を言ってるの? ハイ、ご尤も。

故郷から姿を消した「たぬき」

 私の故郷は私が生まれる前から大阪のベッドタウンとして開発され始め、私が幼少期の頃より里山としての姿はどんどん削られてゆく一方です。 
 今もなお。

 昔はまだ、日本の里山の象徴的な存在である「たぬき」を見かけることがありました。と言っても里山風景の中ではなく、こっそり溝の中を駆け回って移動するなど、急速に宅地化が進む環境下でなんとか生きている「たぬき」たちの姿です。

 それもこの十数年は見かけなくなってきました。
 増え始めたアライグマ(気性が荒く、生息環境や食べ物がたぬきと同じ)との競合により、居場所を奪われている可能性も少なくありません。

 私が十数年前にたぬきを見かけた溝も、数年前に人間の都合(小さな住宅街に家が増え、大きな車で侵入してくる車が増えた)で蓋をされてしまいました。
 元は生活排水が流れていた溝ですが、近年は浄化槽の整備が進んでいます。取り外しができないものなので、もしかすると溝自体が埋め立てられてしまったのかもしれません。

 そのようにして、かろうじて見かけていた彼らすら、もう見かけることがなくなってしまいました。
 私がたぬきの活動時間に外へ出なくなったからだと信じたいところです。

あの「たぬき」映画から30年

 そのほか、害獣捕獲の檻に掛かってしまい、安楽死させられた個体も少なくないのかもしれません。
 掛かったのが「たぬき」だったら逃がすと言う人も居ますが……

 里山環境に馴染みのない人が町に増え、役所や市議会などの構成要員の大部分を占め始めると、野生動物の生息地環境を含めた里山環境の保全に対する理解を深めるよりも、市街化・商業区開発、ビジネス発起などへ税金を投入する傾向にあるように感じます。

 スタジオジブリが制作し、1994年に公開されたアニメーション映画『平成狸合戦ぽんぽこ』は、多摩ニュータウンの宅地開発による森林破壊に狸たちが異を唱える話でした。
 作中の狸たちは日本各地の化け狸にも助力を乞い、伝統変化術・化学ばけがくによる抵抗を様々に試みて……結局、多くの狸が命を落とし、一部は人間に化けてストレスを感じながら生きるしかない結末に。

 それと同じことが自分の町でも起こっているように思えてなりません。

 唯一心の救いは、化けることが出来ない狸たちが緑残る地へと逃れ、静かに暮らしていたこと。今大事なのは、そのわずかに残された場所さえもメガソーラーの建設や不法投棄、放射性廃棄物の地中埋め立て(地層処分)などによって奪ってはいけないということです。

 日本で人間が穏やかに過ごせる環境と、「たぬき」が幸せに暮らせる環境は、同じものであるはず。
 何しろ、元々は里山という場で共存していたのですから。

研究者が見つめる「たぬき」

 昨今、野生動物に注目が集まる中、SNSではたぬきとアナグマ、アライグマの区別が付いていない方をかなりお見かけします。

 日本人たるもの「たぬき」くらいは一目で判別できるものかと思っていましたが、どちらかというと日本の自然環境に居るはずのないカピバラやレッサーパンダの方が見慣れているようです。
 実は凄く驚いています。

 それって結構……異常事態なのでは?(小声)

 是非ともたぬきについて学び、たぬきの沼の出汁になってください。

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得られた収益はフィールドワークや資料費に充てさせていただきます

 こちらの書籍の紹介文からは、ビシバシと著者の熱狂が伝わってきます。
(個人的には漢字の言葉遊びも好き)

タヌキってなに?アライグマやアナグマとどこが違うの?どんな暮らしをしてるの?ほんとうに化けたり馬鹿したりするの?そして、タヌキにとっての幸せってなに?大いなる「狸想」を掲げ、「狸念」を重んじ、「真狸」の追求を続けるタヌキ学者が描くタヌキワールドへようこそ!

Amazonの作品紹介より

 この手の書籍の良いところは、たぬきの生態について学べるだけでなく、所変われば彼らも外来種であること、病気を媒介することもあることなども提示した上で、「野生のたぬきが野生のままに生きるには?」という「たぬき幸福論」についての命題を掲げているところです。

 野生動物をペット視しないことも含め、今の時代、わざわざ声を大きくして言わなければいけないほど大切な視点です。

人間と「たぬき」が穏やかに暮らせる環境

 今現在、ホンドタヌキはレッドデータリストには掲載されていません。

 ですが確実に数を減らしつつあります。
 それなのにタヌキは日本のどこにでも生息している、なんてAIが出力する始末。やっぱりネット上にある情報を学習するだけでは認識が古い。ネット検索でわかった気になる人がさらに増えるだけに思えてしまう。

 あの〜、リストに掲載されてから「近年タヌキは著しく数を減らして……」なんて言われても遅いのです。

 現在進行形の状況下でそのように出力されては、人々の認識に「とはいえタヌキは日本のどこにでも沢山いる」といった誤ったイメージが定着してしまいます。
 そういった認識の甘さが、「気づいたら絶滅していた」という状況を生むのです。絶滅していった日本の生き物たちの多くがそうであるように。

 繰り返しになりますが、日本で人間が穏やかに過ごせる環境と、「たぬき」が幸せに暮らせる環境は、同じものであるはず。
 何しろ、元々は里山という場で共存していたのですから。

 だから、たぬきを特別に保全などせずとも、彼らが勝手にのほほんと居付いてくれる自然な里山環境たぬき(雑食)の食べ物が豊富にある環境をちゃんと残したい訳です。

そんな願いは人間のエゴでしかありません

 環境活動は経済活動とは全く次元の異なる話。
 結局のところ、今、日本だけでなく、世界中で取り組んでいる生物多様性の回復(ネイチャーポジティブ)や、その先にある気候変動の緩和に繋がる糸口にもなり得るという価値なのですから。

 読んでくれた方の心のベクトルをほんの僅かでいいから、そういった方向に傾ける。それが筆を取る時に、私の根底にあるモチベーションです。

 そんな想いを込めて、私のメンバーシップのプラン名として、「たぬき」に登場していただくことにした次第です。

メンバーシップ『ある里のFIELD NOTE』は

・観光やビジネスではなく、自分が暮らす土地とその環境に目を向けること
自分の暮らしを足元から見直すこと
それが精神的にも経済的にもバランスが取れること
巡り巡って環境にまつわる諸問題解消のムーブメントにしていくこと

そんな風に実践的に考えたい人のための場です。
どうぞご贔屓に。

 私自身の暮らしのそばでほとんど見かけなくなってしまった、たぬき達。
 彼らは一体どこへ消えてしまったのか。
 もしかすると……各地にまだ残されている「まほろば(住みやすい最高の理想郷)」を調査する旅に出ているのではないか。それも新天地を探すためではなく、自らの故郷の環境を取り戻すために。

 そんなイメージから、各地でたぬき達が調査した記録の保管庫として、メンバーシップのメインのプラン名を『たぬきの野帳』と名付けました。


2026.06.20 Rewrite

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