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Nutubeでオーディオアンプを作ろう~⑤パワーアンプ製作編

1 前回までのあらすじ

 前回はNutube本体の防振対策としてケースを作成し、各基板のレイアウト作業までをご報告した。

 ゴールデンウィークもあっという間に終わってしまい、作業時間の捻出が課題となりつつあるが、遊びを最優先に仕事と家事を優先しつつ作業を進めていきたい。今回はパワーアンプ基板の作成である。

2 パワーアンプ基板の製作

【プリント基板の作成】(2026.5.18~5.21)

 まずはプリント基板の作成からである。
 フリーソフトのFritzingで作成した原版PDFデータを原寸大でプリントアウトしたら、トナー式プリンタで、DAIS〇のプリント基板用原版用紙光沢紙にコピーする。これが原版となる。

失敗した時のために、光沢紙には複数コピーしておく…

 生基板は、Pカッター(プラスチックカッター)で切断する。切断したエッジ部分には軽くヤスリを当てておいた方が仕上がりが綺麗になる。
 アイロンでトナーを転写する前に、切断した生基板の銅板面を#800程度の耐水ペーパーで軽く整えてからシンナーで脱脂しておく。これを忘れると、転写されたはずのトナーがスルッと剥がれることがあるので要注意である…

今回は生基板の下処理もしっかり!

 アイロンでの加熱が不十分だと、紙を剥がすときにトナーも剥がれてしまうので、十分に熱を加えることが重要である。原版が焦げるほどというのはやり過ぎだろうが、アイロンを中温にしておけばそこまでのことにはならないようだ。

これくらいかな…

 アイロンによる加熱転写作業を終えたら、流水で基板を冷やしながら紙をふやかし、指でこそげ取るようにポロポロと剥がしていく。加熱転写が成功していると、基板にトナーが残った状態となる。紙が基板の表面に少し残っているような感じになることもあるが、エッチングの邪魔にはならないので、完璧を期す必要はない(ゴシゴシし過ぎてトナーを剥いでしまっては元も子もない、と経験者は語るのであった…)。
 今回は問題なかったが、トナーが欠けてしまった部分があれば、油性マジックを塗り込んだり、細切りにしたマスキングテープを貼り込んでおけば大丈夫である。要するに、エッチング液が触れなければ何でもよいのである。

白っぽく見えるのが、紙がうっすら残っている部分。

 エッチング液に基板を漬け込んだら、後は待つのみである。最初はなかなか反応が進まないように見えるが、気泡が発生していれば間違いなく化学反応が起きているので慌てる必要はない。
 時折液を掻き混ぜたり、基板を持ち上げて空気に触れさせたりすると反応が促進するような気がするが、たぶん気のせいだろう。
 むしろ、エッチング液を漬け込んでいる容器をお湯を入れた大きな容器に浮かべると、雰囲気温度が上昇することで反応が促進するのでそちらをお勧めする。

エッチング液投入直後、銅箔面に小さな気泡が発生している

 エッチング液の配合が適切であれば、小一時間ほどで露出している部分の銅が全て溶け切ってくれる。
 私のように気が短いと、ランドに銅箔が残っているのにエッチング作業を終了してしまいがちである。これをやらかすと、いったいどこで短絡しているのやら、トラブルシューティングで地獄を見る…私は既に何度も地獄に落ちているので、ランドに銅箔が残っていないかの確認を怠らないようにしている。銅箔が残っていれば、どんなに小さくても光の反射で確認できるので、デスクライトなど少し強い光を当てるとわかりやすい。
 間違いなくエッチングが完了したと確信できたら、基板を引き上げて重曹で中和し、中性洗剤で洗って乾燥させてから、銅板面にフラックスを塗布しておく。

 次は、ひたすら穴開け作業である。一般的な部品のリードであれば、0.8㎜径くらいがちょうどいい。
 この程度の基板でも、かなりの個数の穴を開けなければならないので(子の基板で55個?)、作業環境が許すのであれば、電動工具を使ったほうがよいだろう。
 どうしても家族の目を盗んでこっそり静かに作業をしなければならず、ピンバイスを使わなければならないならば…ある程度穴を開けては部品を仮装着してみるとテンションが上がるのでお勧めである。

こんなふうに仮装着してみると気分も上がるというものだ…
銅箔面
部品装着面

 これらの基板は、スペーサーを介してシャーシにねじ止めする予定なので、基板の外周の4カ所に3㎜径の丸穴を開口しておいた。シャーシへの穴開け作業に備え、いつものDAIS〇の工作用紙で型紙を作成しておく。実に用意周到、と思っていただけると嬉しいが、直後に作成した型紙を見失ってしまったのはどうしたものか…

 部品装着面には、これまたDAIS〇で入手した、なんちゃってカーボンシートを貼っておく。
 もちろん、部品面にビニールシートを貼ったところで電気的な意味は全く無く、音に対する影響などは皆無である。そして、作業性という意味では、一旦裏から部品のリードを通しても、部品装着面から穴が見つけ辛くなってイライラするというデメリットしかない。
 でも、見た目がちょっと良くなる、というのが何より重要である(組み上がったら自分も含めて誰の目にも触れないというのに…)。

シートを貼ったら基板のエッジが歪んで見えるぞ…

【パワーアンプモジュールの加工】(2026.5.22)

 まずは、パワーアンプモジュールの加工である。
 このモジュール、なんとDIP8ピンICサイズ(10.5mm×11㎜)という小ささである。こんな小さいのに、電源を繋ぐだけで2W出力のパワーアンプになるなんて、いったいどうなっているんだろう…小さいのは素晴らしいことだが、加工を考えるとここまで小さくなくても…

この小ささである…

〈ICソケット対応〉
 まず、モジュールがICソケットに抜き差しできるようにする。
 ICソケット対応にする必然性は無いように思われるのだが、次に行う作業が必ずしも成功するとは限らないので…

 当初はピンヘッダを使えば良いと思っていたのだが、ピンヘッダが太すぎてICソケットの丸ピンに入らなかったので、錫メッキ線(というかハンダ付け後に切り取った抵抗などの足の再利用である。ここでもSDGs…)を使用した。
 錫メッキ線の角度を揃えて、モジュールのICソケットへの抜き差しがスムーズにできるようにしておきたい。そこで、ピンヘッダのプラ部分を流用し、プラ部分をガイドにして錫メッキ線をICソケットに仮止めした状態でモジュールと錫メッキ線のハンダ付け作業を行う。

手前は錫メッキ線を刺しただけ。奥がピンヘッダのプラ部品を装着した状態
この段階はまだ肉眼でいけるが…

〈表面実装コンデンサのバイパス作業〉 
 次は、パワーアンプモジュールに表面実装された入力コンデンサ0.1μFをバイパスさせる、という作業である。もしかすると、これが本プロジェクトの中で最も難しい作業かもしれない。
 下の画像の赤いラインをハンダ付けすればいいだけの話なのであるが…老眼にとっては極めて厳しい作業である…

チップコンデンサを取り外すまでのことはしなくていいかな?

 デスクライトの照度を全開にして、作業用ルーペを使いながら、最終的には野生の勘で(え?)ハンダ付けを敢行した。

つ、付いたのか?!

 モジュールは片チャンネルにつき一個なので、もう一個同じ作業を繰り返す。あまりに小さくて、テスタープローブを正確に当てることすら容易ではないが、一応導通しているようである。この加工作業の成否は、通電しての動作確認までおあずけである…

【基板の組み立て作業】(2026.5.22)

 パワーアンプモジュールの加工作業に続いて、プリント基板への各部品のハンダ付けである。先ほどまでの難作業に比べれば簡単な作業であり、なんちゃってカーボンシートを貼りつけたことによる部品の通し辛さもかわいいものである。
 すぐにでも動作確認をしたいところであるが、少なくとも私の場合、慌ててはならない。もう夜も更けているので、あとは明日の朝である。こういうときに慌てて作業して、壊れてもいないのに壊してしまったりすることが多いので…

インダクタの向きを左右CHで変えているので見た目がイマイチ…
この角度から見るとWIMAのお洒落コンデンサのおかげでカッコイイぞ!!

【動作確認、そして…】(2026.5.23~5.24)

 さて、一夜明けて週末の早朝から作業再開である。
 電源、入力および出力の線材を長めに用意してハンダ付けする。パワーアンプモジュールの動作確認が最優先なので、入出力の配線は片チャンネルだけ行っておく。
 電源を投入する前に、テスターで各部の導通チェックを行い、ハンダ不良などがないことを確認する。
 5V電源と適当なスピーカー、そして入力信号(音源はAmazon Fire HDの音楽再生。同タブレットのイヤホンジャックにDAIS〇の安イヤホンを繋ぎ、イヤホンのケーブルを途中でぶった切って基板の入力線に繋ぐ、という極めてやっつけ度の高い感じ…)を準備して、パワーアンプ基板の線材に繋いだら、いよいよ動作確認である。
 
 さて、電源を投入し、音楽再生!
 あれ?なんだか音が小さいな…
 スピーカーから音楽が聞こえては来るが、かなり小さい。出力が2Wもあれば、それなりの音量になるような気がするが、全然増幅されていないような…こんなものか?!
 基板の入出力線は片チャンネル分しか結線していないので、パワーアンプモジュールをもう一つの方に入れ替えてみると…
 おぉ、めちゃくちゃいい音!いや、それ以前に家族が目を覚ましてしまうくらいの音量だ!!

 というわけで、どうやら加工を行ったモジュールのうち一つは失敗作であるようだ。あらためて、テスターによる導通チェックやルーペを使って目視によるチェックを行ってはみるものの、どこがおかしいのか全然わからない…

 でも、大丈夫!こんなこともあろうかと、パワーアンプモジュールは想定される加工作業の難易度の高さにビビって予備を調達してあるのだ。
 予備部品を投入してもう一度モジュールの加工を行えばいいだけである。それにしても、モジュールをICソケット着脱式にしておいて本当に良かった…

 モジュールの加工作業も、都合3回目になると慣れたものである(いや、1個は失敗してるよね?)。
 ICソケット装着のための足をハンダ付けし、モジュール上のコンデンサを短絡させるべく慎重にハンダごてを当て…なかなかいい感じで作業を進めていたのだが、ついうっかりPAM8012そのものにこて先をひっかけてしまったら、チップ表面が剥がれてしまった!へ~、チップの中はこうなっているのか…いや、そうじゃない!

真ん中のチップ(正方形のやつ)の表面が取れてしまっている…

 いや、まだ大丈夫!!こんなこともあろうかと、まだスペアがある(さすがに2個も予備があれば問題ないだろうと思っていたのだが、それに手を出す羽目になろうとは…)。
 もはや最後の1個。これ以上破壊工作を繰り返すわけにはいかない。
 とにかく慎重に作業を行い、問題なく動作することを確認できた。
 それにしても、ネット上では表面実装パーツを活用して自作している方たちも見受けられるが、一体どうやっているんだろう…

左の2個がやらかしてしまったPAM8012モジュールの残骸…

 あとはもう片方のチャンネルの入出力配線を行って、パワーアンプ基板は無事完成である。
 入力信号が安イヤホンのケーブル経由であるなど、テスト環境は極めて劣悪であるのだが、なかなか良い音で、ノイズなども全く気にならない。これは期待できそうである…

 このパワーアンプ基板の作成に要した時間を集計してみたところ、合計で約4時間であった(エッチングの反応時間を除く)。

3 次回予告

 パワーアンプモジュールを2つも昇天させるというミスを犯しつつ(300円×2個の損害である)、どうにかパワーアンプ基板まで完成した。
 パワーアンプモジュールは1個300円なので、失敗も許容範囲であるが、Nutube本体となると笑えない。今後の作業はより慎重に行っていきたいところである…

 次回

お楽しみに~!

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